肉親の葬儀に参列できないケースが相次ぐ…コロナ禍は遺族の意識や葬儀社に変化をもらたす?
【映像】ABEMAでみる
この記事の写真をみる(5枚)

 新型コロナウイルスによる肺炎で死去した志村けんさん。感染を防ぐため、兄の知之さんは入院中はもちろん、亡くなってからも弟と対面することは許されず、火葬に立ち会うことも叶わなかった。

・【映像】コロナ禍で"葬儀自粛"も 遺族の心のケア急務に

 新型コロナウイルスによって日本で亡くなった人の数は、クルーズ船を含めて国内で約770人超。外出自粛も相まって、離れて暮らす家族が、肉親の葬儀に参列することもできない状況が続いている。そして葬儀社もまた、先の見えない状況下で苦悩を抱えている。

 18日の『ABEMA Prime』では当事者とともに、コロナ禍と葬儀について考えた。

肉親の葬儀に参列できないケースが相次ぐ…コロナ禍は遺族の意識や葬儀社に変化をもらたす?
拡大する

 先月末、福岡県に住んでいた祖母を亡くしたホンマさん。死因は新型コロナウイルスではなかったが、全国的に外出自粛の最中。研修医として、患者の家族に面会制限をかけることもある立場。居住する熊本県の外に出た場合、職場の規定で2週間の自宅待機が定められている。葬儀への参列は、やはり諦めざるを得なかった。結局、火葬場まで行ったのは、父母ら5人だけだったという。

 「就職して2年目になるが、福岡を出てくる前から会っていないので、心残りだ。ただ、自分は患者さんに面会制限をしているのに、福岡に帰ってウイルスを持ち帰ってしまったらと考えると、仕方ないと思うしかない。父親もすごく寂しそうだったが、本当に親戚全てを集めるとなったら、それこそ“3密”の状態を作るということになってしまう。悔しいが、まずは花を送って、実家に帰れるようになったら孫だけで集まろうかといった話をしている」。

肉親の葬儀に参列できないケースが相次ぐ…コロナ禍は遺族の意識や葬儀社に変化をもらたす?
拡大する

 一方、全葬連(全日本葬祭業協同組合連合会)では、(新型コロナウイルスで亡くなった方について)病院でガラス張り越しに会えるようにするなど、できる限り親族に寄り添う形の配慮を検討している。

 遺体や遺族と向き合っているアーバンフューネス葬祭事業部の有坂立朗氏は「お別れの時間が長ければいいというふうには思っていないが、その先を生きていくご遺族が亡くなった方を見送る時間、区切りをつける時間をどう過ごせばよいのかということを常に考えながらやっているので、その価値観は大事にした。ただ、ご親戚と会うのが好きだった方のお葬儀でも規模を縮小せざるをえなかったり、お通夜は行いません、という案内をせざるを得なかったりというのが現状。非常に心苦しい」と話す。

肉親の葬儀に参列できないケースが相次ぐ…コロナ禍は遺族の意識や葬儀社に変化をもらたす?
拡大する

 それどころか、葬儀を普通に行うこともままならない現状があるという。理由は、二次感染を防ぐための防護服などの備品不足だ。「細心の注意を払って対応しているが、警察署で預かったご遺体が感染していたことが判明したということも報じられている。もともと感染症で亡くなられる方のお手伝いをすることは非常に少なく、年に1回あるかないか。防護服などの備品が手に入りづらい状況になってきている中、新型コロナウイルスで亡くなられる方が増えれば、請け負える数から考えて、厳しい状況になってしまう」。
 
 また、厚生労働省は「遺族による遺体の対面、火葬立ち会いは禁じていない」「遺体が“非透過性納体袋”に密封されていれば搬送しても差し支えない」「遺体に触れたい場合は手袋を着用」「触った後は手洗いやアルコール消毒を求める」などのガイドラインを示しているが、有坂氏によると、火葬場のある自治体によってもルールが異なっており、特に都市部は基本的に立会いを認めていないのだという。

肉親の葬儀に参列できないケースが相次ぐ…コロナ禍は遺族の意識や葬儀社に変化をもらたす?
拡大する

 当然、業績にも響く。「祭壇、食事、お返し物などもコンパクトにという要望が増えてきているので、経営面には関わってくる。もしこの先、請け負えなくなる状況が出てきてしまうと、ご遺体を一時お預かりする施設をいかに確保していくかといったことも問題になってくる」。

 人々の冠婚葬祭に対する価値観が代わり、よりシンプルさを求める人が増える中でのコロナ禍。遠方で暮らす高齢者や、外出自粛で葬儀に参列できない人のため、スカイプやZOOMを使った“オンライン葬儀”を導入し始めている葬儀社も現れている。ライフエンディングテクノロジーズの冨安達也取締役は「“死に目に会えなかった”と後悔の念を引きずる方もいらっしゃるので、そこをカバーするためにも遠隔は必要なのかなと思う」と話す。

 有坂氏は「確かに価値観は変わってきていて、本当にいろいろな葬式の形がある。やはりお葬式というのは、人数、規模、形について、ご遺族がいかに納得感を持てるかどうかが大きい。もちろん火葬だけでいい、短い時間で構わないという方だったらそれは尊重するが、生前に時間を持って向き合えていなかったという方に対しては、時間をどこかしらで持つようにということを推奨しているし、ご説明をすると納得される方も多い」と説明。

 「コロナ禍を背景に、スマホやタブレット片手に、来られない親戚の方に実況中継のような形で祭壇や写真を紹介する、といった方法も徐々に浸透している。弊社では海外勤務でどうしても参列できない、という方に向けたサービスとして以前から行ってはいたが、それが当然のように受け入れられる時代になってきているのかなと思う」。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

▶映像:コロナ禍で葬儀自粛も 遺族の心のケア急務に

コロナ禍で葬儀自粛も 遺族の心のケア急務に
コロナ禍で葬儀自粛も 遺族の心のケア急務に
「末端の教員からするとコロナで手一杯」
「末端の教員からするとコロナで手一杯」
「総理からすれば狐につままれた感じ。検察に説明責任」
「総理からすれば狐につままれた感じ。検察に説明責任」

■Pick Up

【Z世代に聞いた】ティーンの日用品お買い物事情「家族で使うものは私が選ぶ」が半数以上 

この記事の写真をみる(5枚)