解除か、継続か。政府があす判断を下す予定になっている、8都府県の緊急事態宣言。現時点で解除の可能性が浮上しているのが、感染者が減少している大阪・京都・兵庫の3府県だ。一方、北海道、東京、神奈川は人口10万人当たりの新規感染者が解除の目安(0.5人以下)を上回っていることから、継続との見方が示されている。さらに埼玉と千葉は目安を下回ってはいるものの、東京との結びつきが強いことから、東京・神奈川を併せた関東1都3県で感染状況に関わらず一括して判断がされる見通しだ。
1都3県の解除について、WHOや厚生労働省で医療政策にも携わった坂元晴香・東京大学大学院特任研究員は「大都市では人が往来する通勤圏と地域差を組み合わせて判断すべき」「可能なところから区や市ごとに解除すべき」と提言している。
「例えば千葉県でも東京との県境の地域は日常的に往来が多いと思うが、それに比べれば銚子や館山方面からの通勤・通学はどうなのだろうか。そうした点について、もう少し自治体ごとに見ていってもいいと思う。リスクをゼロにはできないし、人の往来を再開すれば、数名の感染者は出るかもしれない。しかし専門家会議でも言われてきた通り、クラスターとして追えているうちは、ある程度のコントロールが可能だ。やはり全く感染者が出ていない地域、都心との人の往来が少ない地域に関しては解除を検討してもいいのではないか。その上で注意点としては、地方に行けば行くほど医療資源が足りないということだ。集中治療できるような医療機関がなく、広域搬送しなければならない地域もあるので、そこはバランスを見ながらだ」。
ジャーナリストの佐々木俊尚氏は「水害は自治体ごとではなく、川の流域ごとに起こるということで、慶應義塾大学の岸由二先生という方が“流域思考”という考え方を提唱されている。実はコロナも同様で、感染は自治体単位で起こるというよりも、人の流れに沿って感染するということだ。東京で言えば奥多摩町は都心との往来が少ないだろうし、都心から放射状に広がっているので、世田谷と都心の往来は多くても、地図上で縦に往来する人はそれよりも少ないはずだ。携帯電話の利用状況などのビッグデータを見れば人々の移動の状況がわかるので、そういったものを活用し、より柔軟で有機的な封鎖をした方が良いのではないか」と指摘。
両氏の意見を踏まえ、リディラバ代表の安部敏樹氏は「都道府県と市区町村で、誰に責任を持たせるか、ということが大事だと思う。たとえば保健所については特別区である23区にも一定の権限がある。もし市区町村に落としていくのであれば、都道府県との間でどのように責任を分け合うのか調整する会議を作って議論し、設計しておくべきだと思う」と提言した。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)
▶映像:1都3圏、感染状況や通勤圏で細分化すべき?
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