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 去る5月15日~17日までの3日間、広島競輪場にて『競輪ルーキーシリーズ2020』の初戦が開催されました。

 その昔、競輪には『新人リーグ』というものがありまして(1983年~1995年)。新人のみで半年間競走を行い、その結果に基づいて正式デビューのときの級班が格付けされました。ちなみに当時は3層9班制(S級1~3班、A級1~4班、B級1~2班)で、新人はA級1班~B級2班までに格付け。

 つまり生きのいい新人が、今でいうところのA級3班チャレンジレースからスタートして勝ちまくるという、いわゆる“頭が堅い美味しいレース”というのがなくなってしまうため、ファンに不評で廃止されたのです。

 まさかのそれの再来!?……いやいや、先日行われた広島開催に加えて、5月29日~31日に小倉競輪場での開催(ナイター)、6月12日~14日に伊東温泉競輪場での開催の全3節しかなく、1人2節までのあっせん。成績による格付けはなく、男子はA級3班、女子はL級1班からスタートすることになります。

 つまりファンへのお披露目シリーズという位置付け。2節で計6走という実戦でのデータが蓄積されるため、7月の本格的なデビュー前に是非とも見ておきたいシリーズなのです。

 さて、このシリーズに出場するのは3月に日本競輪選手養成所を卒業した男子117期生、女子118期生です。そう、早期卒業してデビューから18連勝でS級特別昇級を果たした寺崎浩平選手やデビューからの連勝は13でストップしてしまったもののA級2班で活躍している菊池岳人選手と同期。この2選手が抜けてしまっているのだから残りは大したことないだろうと思うかもしれませんが、とんでもない!

 115期以前は累計でわずか14人しか出なかったゴールデンキャップ受賞者が117期には寺崎選手と菊池選手を合わせて6人もいるんです! 女子も過去には5人しかいなかったのに118期には2人もいるという、男子117期と女子118期はまさにゴールデンエイジ!!

 7月から半年、いや1年以上に渡って車券に貢献してくれるであろう新人たちの脚を見ておけるシリーズなのです。というわけで、広島3日間開催のレースをレビューしていきましょう

 ちなみにWINTICKETでは過去のレース映像を観られるので、是非ともご覧ください。

 まずは男子117期から。出場選手の中で注目すべきはなんといっても3回の記録会すべてでゴールデンキャップ獲得という偉業を成し遂げた町田太我選手(寺崎選手は1回、菊池選手は2回)。優勝最有力候補と言っても過言ではないでしょう。他にはゴールデンキャップ獲得組の坂本紘規選手、在校順位1位の長田龍拳選手、平昌オリンピック男子モーグル銅メダリストの原大智選手などが気になるところ。

 初日は予選が5レース行われました。第8レースは高校時代にやり投げでインターハイ出場経験のある戸邉捺希選手が体を激しく揺らしながら1着。第9レースは坂本選手が最終バックから捲って1着。ちなみに原選手は3着でした。第10レースは自転車競技経験者の青野将大選手が最終コーナーから追い上げて1着。第11レースは予選で唯一ラインを組んだ長田選手が佐々木和紀選手を連れて南関東ラインでワンツー。第12レースは最終ホームから出て逃げ切った町田選手が地元広島でのデビュー戦を勝利で飾りました。

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 2日目もオールトライアル。ガールズケイリン同様、2日間の成績で決勝進出が決まります。第8レース、ホームから出た貴志修己選手に戸邉選手が付いて行くも最終コーナーで押し寄せた選手たちにズブズブズブと抜かされてしまって谷元奎心選手が1着。第9レースは前日同様に坂本選手が最終バックで捲りに出るも、その上を久田裕也選手、さらにその上を石原颯選手が追い込んで1着。第10レースは青野選手が最終バックから捲って連勝。第11レースは中団を取った長田選手が自在に立ち回って連勝。第12レースも中団を取った町田選手が2コーナーから捲って連勝しました。

 そして最終日、決勝は町田選手を先頭に中四国九州の3車ラインと、長田選手を先頭に南関東3車ラインに、坂本選手が単騎で構えるといった構成に。打鐘前に長田選手が前に出るも、最終ホームで叩きに行く町田選手。見事に叩き切って番手の石原選手を連れての優勝を決めました。

 町田選手は積極的に先行するタイプ。長田選手や青野選手は自在に立ち回れる上手さが見えました。

 続いて女子118期。在校順位1位でゴールデンキャプ獲得の永塚祐子選手が注目度ナンバーワンで優勝候補筆頭でしょう。他にはBMX世界選手権出場経験のある永禮美瑠選手や児玉碧衣選手が5月14日のツイッターで「まこさんハロン11.9だしたよん」とつぶやいていた廣木まこ選手も要チェックです。

 さて初日は予選2レース。第6レースは人気を背負った在校順位5位の下条未悠選手が行くのに合わせて永禮選手が行くも、その前を行っていた森内愛香選手に乗った青木美保選手が先着して勝利。第7レースを最初に動かしたのは廣木選手。最終バックで永塚選手と並んで力比べになり、最後は永塚選手が差して勝利となりました。

 2日目、第6レースはSを取った近澤諒香選手の後ろに付けた青木選手が後続をけん制しつつ、最後は出てそのまま1着でゴール。第7レースは永塚、永禮の対決。最終ホームから一気に仕掛けたのは永禮選手。大逃げに打って出ましたが、3コーナー手前でタレて永塚選手に捕まり、そのまま決着となりました。

 そして最終日の決勝、人気は連勝の永塚選手と青木選手。残り1周のタイミングで永塚が先頭に出ると廣木選手が付いていく。他の選手はやや踏み遅れ気味に発進。そのまま逃げる永塚、追う廣木のままでフィニッシュ。永塚選手の優勝となりました。

 永塚選手の強さ、青木選手の上手さが光った3日間。廣木選手は覚えておいて損はないでしょう。

 以上、広島3日間開催のレビューでした。次は5月29日~31日までの小倉ナイター。2度グランプリを制している山口幸二選手の息子でゴールデンキャップを獲得している山口拳矢選手、同じくゴールデンキャップ獲得の青柳靖起選手。女子では児玉碧衣選手の師匠でもある藤田剣次一門の尾方真生選手、大学時代にインカレのスプリントで全国優勝を果たしている西島叶子選手などに注目して見てみましょう♪

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宇都宮 G3 第2日 ワンダーランドカップ
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