こんにちは。青木真也です。
新型コロナウイルスの影響で社会(格闘技業界)がどう変わっていくのか。コロナ後の社会、格闘技業界なんて話はそこら中で語られています。そんな大きな話ではなくて、個人レベルでコロナを機に変わったことはそれぞれあると思います。
僕はこのタイミングで人生の棚卸しを考えたし、整理ができました。
コロナの影響で様々なことが停止しました。そして試合に関していえば今も白紙のままです。ただ自分でも驚くほどに焦らなかったのです。もし自分のキャリアが浅かったら動揺しただろうし、相当に焦ったはずです。実際に2006年のPRIDE買収で8カ月試合が空いた期間は不安で仕方がなかったです。ただ今回は焦ることなく、事実を「ああ。そうですか。」と受け容れていきました。
これはたくさんの経験をしてきたのもあるのですが、何より自分がキャリアのピークにいないからだと感じています。37歳を迎えて、選手生活の残された期間がそれほどなく、いつ終わりがきてもいい覚悟をしているからこそ、コロナで多少先行きが不透明になったくらいでは「ああ。そうですか」と受け容れることができるのです。
先日、練習をしていて若手選手のスピードについていけないことがありました。競技をしていたら、老いと衰えはセットにしてはいけないのです。比例する関係にあるのです。僕も確実に衰えはあるし、ピッチャーであれば、いつまでも先発して完投とはいかないのと同じようなものであることは、理解しています。コロナで大会が止まっていることもあって、自分のキャリアをよく考えたし、それでも競技で生き残るやりくりを考えました。
先のことを考えていくつかの選択肢を持つスタイルでここまでやってきました。
試合の収入がなくなっても好きな格闘技をやっていたい。だからこそ、話したり書いたり教えたりとやってきたし、楽しみと喜びを感じてやれています。裕福でなくとも細々とやっていけたらそれでいいなと考えているので、目線は決して高くないです。
好きだから練習も続けるし、試合もやっていきたいし、楽しいから仕事もやっていきます。ただ、カネがドカーンとほしいわけでも、有名になりたいわけでもなく、人生の潤いとしてやっていけたらいいなと思っています。隠居というのは語弊があるけれども、プチ隠居するくらいのテンションでのんびりとやっていきます。そんな中で、最高のものを作ろうと思っています。
現役のスポーツ選手という人生は永遠に続かないので、都度キャリアを切り替えていきますが、コロナで少し早まったり整理するだけの話であります。リモートワークがコロナで進んで、働き方が何年か早まったように選手生活も棚卸しが早まったくらいの感覚でやっていきましょうか。
変わらないのは目の前にあることをコツコツコツとやっていくことだけです。
日々手を抜かずに頑張っていきましょう。
文/青木真也(格闘家)