緊急事態宣言が解除され、徐々に以前の働き方に戻りつつあった中での「東京アラート」。電車を利用する通勤客には「人が増えた」と少し不安を感じる人もいれば、「かつての満員電車に比べればマシだ」と考える人もいるなど、混雑の感じ方はそれぞれのようだ。
気を緩めることができない東京の新型コロナウイルスへの対応。小池都知事は東京アラートを発動した翌日、“新しい日常”について考える機会にしてほしいと訴えている。
「モニタリング指標などを総合的に勘案しての東京アラートの発令になった。事業者の方々は『ステップ2で仕事始めたばかりなのに』とお思いだろうが、逆に仕事を続けていただくためにも新しい日常で、ガイドラインに沿った事業を進めていただきたいという東京都として強い思いの表れでもある。テレワークも始めていろいろ体感し始めたと思うが、ぜひ制度、経営方針として徹底する機会にしていただきたい」
3日放送のABEMA『けやきヒルズ』では、東京アラート発動の経緯について、都民ファーストの会に所属する都議会議員の鈴木邦和氏にさらに詳しく話を聞いた。
都が東京アラート発動の目安としている基準のうち、1日の新規感染者「20人以上(週平均)」は16.3人と収まっているが、感染経路不明「50%以上」は50%、週単位の感染者「前週以上」は2.15倍と超過。ひとつでも基準を超えれば発動する方針を示している。
2日の都内の新規感染者は34人と、先月14日ぶりに30人を超えたことが東京アラート発動の大きな要因だったのか。鈴木都議は「すでに2つの指標が超えている状況を慎重に見ていたが、2日の新規感染者数がかなり増えたことはひとつの決め手になった」と説明する。
また、今後再び感染が拡大した場合、1日に「ステップ2」に移行した休業要請の段階的緩和が「ステップ0」へ逆戻りする可能性もあるという。「1日の新規感染者数が50人を超えたらステップ0に戻るというのは、東京都として考えは持っている。ただ、第1波の時のように全面的に制限することは個人的に難しいと思っている。今回は院内感染と夜の歓楽街での感染が多くなっているので、ここを集中的に対策・支援して、その代わりに他のところはできるだけ経済活動を動かしていただくというメリハリをつけていかないと、とても経済は持たないだろう」と鈴木都議。さらに、休業事業者に対する補償について「これまでのコロナ対策で東京都の財政調整基金もほぼ使い切ってしまった。第1波と同じように広範囲な協力金の支給は難しくなっている」と付け加えた。
鈴木都議によれば引き続き新規感染者数は重要指標だというが、「50人」という数字は見直していく必要があるとの認識を示す。「1日のPCR検査の数は、3月下旬は大体200件だったが、今は1300件まで増えている。当然、検査数が増えれば陽性患者もある程度増えるわけで、3月下旬の50人と今の50人の意味合いは大きく異なる。この人数はもう少し上げていかないと、50人を超えてすぐにステップ0に戻ってしまったら経済は持たない。感染者の中身を見ていかないといけない」と危機感を募らせた。
一方で、慶応大学特任准教授などを務めるプロデューサーの若新雄純氏は、東京アラートが“雰囲気”であると指摘。「安心してはいけないというメッセージであることはわかるが、具体的なアクションを促す情報の公開は難しいのか」と疑問を呈する。
この点について鈴木都議は「仰る通りで、どこでどのくらいの感染が起きているかという詳細なデータは、我々都議会ですら持っていない。これはクラスター班が収集して持っているので、そのデータを公開すべきだと思っている。その上で、『この施設は危ないから止めよう』とメッシュを細かくして具体的なデータに基づいて議論していかないと、感染は防げないと思う」と回答。都民へは「やはり感染リスクが高いところには行かない方がいい。ただ、できるだけ社会経済活動は動かしていかないと東京が持たないので、感染に気をつけてリスクの低いことはしていくというメリハリつけていただきたい」と呼びかけた。
(ABEMA/『けやきヒルズ』より)
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