小池都知事が再び国政に戻る可能性も? コロナ禍による財政難も待ち受ける都政、舵取りを任せられるのは
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 コロナ禍の中の東京都議会が10日に閉会、小池都知事の任期満了に伴う知事選(来週18日告示、7月5日投開票)に向け、立候補予定者たちが動き出している。

・【映像】コロナ禍で支持率UPの小池都政 就任4年で"7つのゼロ"公約は実現? withコロナ時代の都知事選の争点は?

 現状の構図について、行政学者の佐々木信夫・中央大学名誉教授は「まだ“役者不足”で、対立構造が見えてこない感じがする」、政治ジャーナリストの安積明子氏は「もし小池さんが出馬するとなれば“一強多弱”のような構図になるだろう。また、自民党は小池さんを支援する見通しだが、東京都連の一部は強硬に反対している。立憲民主は独自の候補を擁立できないだろうし、国民民主も野党共闘という建前がありながら2017年の衆院選の絡みもあって自由投票という方向になっている。つまり、政党が表に出てこないという構図になっているところも非常に興味深い」と話す。

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 再選出馬すると見られている小池都知事の支持率は約7割に達し、新型コロナウイルスへの対応による評価が高まっているようだが、「希望の党」を立ち上げ、衆院選で惨敗した際には支持率が34.0%と低迷、不支持が上回った時期もある。また、4年間の都政を振り返ると、公約に掲げた「7つのゼロ」(待機児童や介護離職、残業、都道電柱、満員電車、多摩格差、ペット殺処分のゼロを目指す)のうち、達成できたのは「ペットの殺処分」、コロナ対策に伴う「満員電車」の解消のみで、他は道半ばと言わざるを得ない。加えて、都政の透明化、五輪関連予算・運営の適正化、行財政改革の推進、都知事報酬の削減、特区制度の徹底活用の5つからなる「東京大改革宣言」の進捗、土壌汚染対策への不安などから移転先送りの是非をめぐり争点になった豊洲新市場問題での判断などについて、都民はどのような審判を下すのだろうか。

■“テレビ的””劇場型”の都政…小池都知事が再び国政に戻る可能性も?

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 この4年について、佐々木信夫氏は「最初の都議選までの1年間の勢いはものすごかった。しかし希望の党である意味失敗をして以降、鳴かず飛ばずの都政になっていき、支持率が不支持を下回らないで維持されてきたのが不思議なくらいだ。昨年の12月頃からはオリンピックの話題が盛り上がり、今年2月終わり頃から話題がコロナに切り替わるとテレビでの露出度がぐっと増えてきたので、都知事が何をやっているのかが都民に見えるようになってきたと思う。ただ、やはり4年間全体で見れば豊洲の話もあったし、“7つのゼロ”についても二重丸が付くものがあまりない」と指摘。

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 安積氏は「ある意味で“アイドル的な”方。支援者が作られたかわいらしい布製マスクが話題になったが、そういった“形作り”がすごくうまい。しかし豊洲ではバンと打ち出しておいて、結果的には全然違うことをやったので、支援してくれていた築地の女将さん会の方々が“裏切られた”というような感じになっている。オリンピックについてもそうで、花形競技がどんどん東京都の外に出てしまった。そのように、いわば“愛と裏切り”のような構図が4年間続いてきた感じだ」と話す。

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 「常につきまとってきたのが、“国政に戻りたいのでは”という憶測だ。コロナ発生前には、“次は出ないのではないか”という話もあったくらいだ。その代わりに、次はオリンピックをある程度成功させた元知事という肩書きで衆議院選に出るのではないかと。二階幹事長に近づいたのも、二階派の後継の領袖として永田町に戻るというような筋書きができているのではないかというような話すらあった」。

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 また、ジャーナリストの佐々木俊尚氏は「北大の西浦先生などの専門家を隣に置いてテキパキと会見を進めている小池さんを見ているとすごく上手いなと思うし、イメージも良くなったと思う。その一方で、豊洲の件や東京オリンピックの会場見直し問題などではズルズルと何もしないままで終わってしまった。結局、小池さんはすごく“テレビ的”、”劇場型”だ。ワーっと話を盛り上げるのがうまい。ただ、そこからは意見を集約して最後には落とし所を作り、政策を実行して解決するという、地道で長いプロセスを見届けることこそが政治。そういう点では評価されないと思うが、このような極めて“コミュ力”の高い人が政治家として支持されるのが現実の民主主義の限界とも感じている。かと言って、小池さん以外に人がいないのも問題だ」とコメントした。

■コロナ禍による財政難で厳しい舵取りに…どんな都知事が必要?

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 都知事選後の東京には、引き続き感染症とそれに伴う経済対策、そして高齢化問題や多摩格差、生活インフラの老朽化問題、国際都市としての地位低下問題などの課題が山積している。

 安積氏は「コロナで支出をしたために、9000億円以上あった積立金が500億になってしまった。加えて本年度はかなり法人税が激減するのではないかと予想される。勝ったとしても、これからの4年間は財政難で苦労の都政になると思う。だから小池さんは任期途中のいいところで口実をつけて国政に戻るのではという噂もある。今後、コロナによって保育や小学校の在り方などが変わっていかざるを得ない。そういう部分で日本の先駆けになるようなモデルを作るのが、人もいて知恵もある東京の役割じゃないかと思うし、その能力のある方に次の知事になっていただきたい」とコメント。

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 佐々木信夫氏は「小池さんが出馬し、再選されればオリンピックまでは勢いを保てると思う。しかし安積さんも仰ったことだが、その後は財政再建のために石原慎太郎さんが1期目にやったような大幅な人員削減などに取り組まなければならないと思う。加えて、これからの都知事には“経営者”としての役割が求められる。税収が減る中、これだけ大きな組織をきちんと回していけるのか、また、都庁はこの20年間、行政改革を行っていない。橋下徹さん以降、大阪で話題になったような行政の再建を逃げずにやり切れるのか、見てみたい」とした上で、次のように述べた。

 「都知事選挙は、どうしても知名度選挙になってしまう。しかし、これからの東京が経済的に“日本の機関車”だというイメージを持ち続けることは無理なのではないか。たとえば国税の4割は東京から上がってきたものなので、東京が稼いだお金を地方交付税として分配をして日本全体が保ってきたとも言えるが、東京はこれから人が老いていくのと同時に、50年前に整備された道路、橋などのインフラの寿命がやってくるので、そこに一気にお金が必要になってくる。東京と地方は共倒れにならないようにするためにも、今回のコロナをテコにして、地方分散・地方分権を進め、各地が持っている能力を発揮させるような国家を作るという構造改革に入っていかなければいけない。そのためにも、私はこれからの10年で東京を2割減らすことが必要だと考える。つまり企業も人も大学も2割減らして1400万都市ではなく、1000万都市の東京にする。そうしれば地方も活性化するし、東京の質も上がっていくということだ。そういうことを議論する都知事選をやってほしい」。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

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