青木真也が語る「コロナ禍のいま、相手に勝つよりも大事なこと」
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 こんにちは。青木真也です。

 緊急事態宣言の解除。プロ野球が日程を発表。日本スポーツの中心となるプロ野球が動き出したので、それに引っ張られる形で、課題は山積みだろうけど、多くのスポーツが活動を再開することでしょう。オリンピックが延期になっていなければ、この時期はオリンピックを目前に盛り上がっていた時期のはずです。

 オリンピックが延期になったことで代表選考も止まっていますし、選手は練習も大っぴらにはできていないでしょう。そもそも決まっている代表も選び直すのか、そのままの代表で行くのかは競技によって違うとは思いますが、選手も関係者も外野も込みでわちゃわちゃしそうです。日本人の真面目さがあるからこそ、何か変化が起こったときの対応が苦手な感じがモロに出そうで冷や冷やしています。延期がなくとも代表選考は揉めるのに延期ってどうなっちゃうんだよ。

 通常通りに今夏開催されるよりも心身ともに消耗するであろうことは確実です。代表確実でメダルを期待され、注目を集めていた選手ほどコンディション作りは難しくなってくるはずです。選手は試合時期にピークを持ってくるように調整します。オリンピックスポーツは4年に1度のオリンピックにピークがくるように調整しますし、代表選考が熾烈な競技ほど、国内予選にピークを持ってきてしまうから、本戦でピークを持ってこれないケースが挙げられるほどです。

 日本柔道の場合、国内の選手層が充実しているせいで、代表争いにより消耗し、選手がべストな状態で本戦に上がれないのではと僕は考えているほどです。トップレベルになればなるほど、どこにピークパフォーマンスを持ってくるかが勝負になってくるのです。

 オリンピックが2021年に開催されたとしても、選手の状態が必ずしもベストな状態ではないでしょうし、伏兵が優勝をさらうケースも出てくると思っています。オリンピックの延期によって、競技面でも混沌としてくるはずです。今あるベストを尽くすしかないのですが、少しでも選手活動がスムーズにいくことを祈っております。

 相手に勝つよりも自滅しないことが大事で、自滅を誘うゲームに入ったようにも思っているので、焦りは禁物です。

 コロナ期間で練習が不自由な競技もあったと思うのですが、僕の場合は変わらずに練習をしていました。37歳で格闘技選手としてベテランになっているので、焦ることもなく、淡々と練習をしていました。焦るほど自分に期待はしていないし、焦っていいことがないのは今までの経験が教えてくれるので、淡々と練習をしていました。

 5月31日に修斗が開催されて、徐々に国内の格闘技大会も再開していくはずです。焦っても仕方がないですが、やらないと始まらないですから、目の前にあることをコツコツとやっていきましょう。今、一番気をつけることは自滅です。

文/青木真也(格闘家)

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