6月18日(木)から21日(日)までの4日間、和歌山競輪場で『第71回高松宮記念杯競輪』というGIレースが開催されます。
滋賀県大津市に競輪場を開設することになった際に選定した場所が近江神宮外苑だったことから、神宮と関わりのあった高松宮宣仁親王と宮妃に賜杯を下賜していただけるように請願したところ承諾を得たため、『高松宮同妃賜杯競輪』と最初は名付けられました。1950年(昭和25年)のことです。
それから1963年(昭和38年)の第14回大会まではその名で開催されていましたが、女子競輪(今のガールズケイリンとは別の、女子選手だけの競争)が廃止になったことで高松宮妃賜杯がなくなり、『高松宮賜杯競輪』に改称されました。それが1972年(昭和47年)まで。1973年(昭和48年)から1997年(平成9年)までは『高松宮杯競輪』との名称になりましたが、皇室経済法などの規定により高松宮家から「下賜を取りやめたい」という申し出があり、1998年(平成10年)から今まで『高松宮記念杯競輪』という名で開催されています。
正式名称はいろいろと変わってきましたが、ファンや関係者は親しみを込めて「宮杯(みやはい)」と呼んでいます。
今回71回目となる伝統の宮杯ですが、今年は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から無観客での開催となりました。GIでは初の無観客開催。ちなみに宮杯は2010年(平成22年)まで大津びわこ競輪場と開催されていましたが同競輪場の廃止に伴い、持ち回りとなりました。同じ近畿の岸和田競輪場で行われることが多いですが、同競輪場が場内改修工事をしていることもあって今年は和歌山競輪場で開催されます。和歌山競輪場でのGI開催は初めてです。
第24回大会以降、東西対抗戦の形式をとっている宮杯は、東日本地区と西日本地区に分かれて選手が選抜されます。東日本地区は北日本、関東、南関東のいずれか、西日本地区は中部、近畿、中四国、九州のいずれかに在籍する選手となります。6月の開催は「地区内あっせん」となっていますが、GIの宮杯は例外で全国各地から選手が呼ばれています。しかも今回はなんと、昨年末の『KEIRINグランプリ2019』以来となりS級S班9選手勢揃い! ナショナルチームのメンバーからも7名出場ということで、オールスターさながらの選手層になっています!そのレース展望についてはコチラを確認していただくとして、ここでは和歌山競輪場についてお話ししていきましょう。
和歌山競輪場は1949年(昭和24年)に全国では21番目、近畿では6番目の競輪場として誕生しました(近畿には今はなき『住之江』『宝ヶ池』『神戸』などがありました)。
毎年1月10日前後に開設記念競輪(GIII)『和歌山グランプリ』が開催されています。マスコットキャラクターはみかんの「わかちゃん」。2010年(平成22年)からは「わかちゃん杯争奪戦」が開催されています。
愛称「わかやまオレンジバンク」は1999年(平成11年)に日本最後のクロソイド曲線のバンクからマッコーネル曲線のバンクに全面改修。路面が軽くなって標準的な400バンクになったと選手からも好評です。
2コーナーからバックにかけての裏側に紀の川が流れており、河口付近ということもあって海風が入り込んできます。それによってバック側は追い風、ホーム側は向かい風というのが基本なのですが、方向や強さもまちまちで風を読めるかどうかが重要になります。強風が吹くことも有名で4~5メートルの風になることもあります。59.9メートルと400バンクにしては長いホーム側の見なし直線で強い向かい風が吹いていたら、風を受ける逃げや捲りの選手はキツく、差しや追込が決まりやすくなるでしょう。和歌山競輪場のピンポイント風予報を確認して予想に役立てましょう。ちなみに4コーナーから1コーナーに向かって北北東の方角になります。
風が穏やかであれば走りやすいバンク。決まり手は逃げが23%、捲りが31%、差しが46%(2020年6月10日現在)と、どんな戦法の選手でも勝てるバンクと言えるでしょう。しかし堅い決着になることが多いかというとそんなことはなく。直線が長いため、高配当となる3番手の突き抜けやスジ違いの車券が出やすいことで有名です。昨年、優勝した中川誠一郎選手や昨年のグランプリ覇者である佐藤慎太郎選手辺りの追込は要注意といったところでしょうか。
難しいけど予想しがいのあるバンク。目当てのレースがあるという場合もその前の2~3レースを見て傾向を探って穴を狙ってみるのも面白いかもしれませんよ♪