6月14日に行われるプロレスリング・ノアの無観客試合で、レジェンド・武藤敬司と新世代の旗手・清宮海斗が初めて対戦する。武藤は丸藤正道、望月成晃とチームを結成。対するは清宮&モハメド・ヨネ&谷口周平組だ。これまでタッグを組んだことはあるが、清宮と武藤が闘うのは初。清宮のアピールを受けてのカードだ。
【視聴予約】14日19時から放送「NOAH ”GOFORWARD Day1”」
この大会の中継で解説を担当する小橋建太は、清宮について「溌溂としたファイトをしている。好感が持てますね」と高く評価している。
「あのキャリアであれだけのファイトはなかなかできない。ピンチから盛り返していく姿がいい。先輩たちにも勝ってきてますし」
武藤という大きな壁に挑むことも、若い今だから重要だと小橋。
「今のうちにキャリアのある選手と闘うことが、自分の力になりますから。勝った負けたじゃなくて、対戦するだけでいろんなものが得られると思います」
昨年、GHCヘビー級王者として長期防衛を果たしてきた清宮。今年1月に潮崎豪に敗れてベルトを失ったが、むしろここからが大事だと小橋は見ているようだ。
「まだまだ足りない部分はありますが、今は一つ一つ進んでほしい。去年はチャンピオンになって急激に変化しました。これからはペースがゆっくりになっても一歩一歩、進んでほしい。これから経験することが、レスラーとしても人間としても大事になってくる。清宮は去年、チャンピオンとして急成長した時に、人間として謙虚だった。防衛を重ねて胸を張るようなところがなかったんですよ。勘違いしなかった。それがよかったし、だから彼はこれからも伸びると思います」
だがこの試合、小橋が注目しているのは清宮だけではない。
「清宮vs武藤の闘いに目が行く中で、僕は谷口、ヨネに喝を入れたい」
若いエースを支える中堅、ベテラン。そんなポジションに収まっていていいのか。小橋は2人にそう訴える。
「清宮よりガンガンいって“アイツなんだよ”と思わせるようなものを出してほしい。それこそがプロレスだと思うので。特に無観客ですから、何しようが構わないんですよ。必ず武藤さんと清宮が先に出ないといけないというわけではない。自分たちのほうが前に出ても、それでブーイングが出るわけでもない。谷口やヨネは自分で引いてしまうタイプなんです。周りの人を立てるタイプ。だけど無観客なんだから気を使う必要はない。自分が自分がでいけばいい。“自分なんか”じゃなくいけよ! と。無観客をどう自分にプラスに働かせるか。飛躍のきっかけにしてほしいですね」
清宮のための試合のようでいて、それは試合内容でいくらでもひっくり返すことが可能。最終的に試合で輝きを放つのは誰か、チーム内での競い合いも大きなポイントになってくる。
文/橋本宗洋