GHCヘビー、GHCナショナル、GHCジュニアと3大タイトルマッチが行なわれたノアの6.14無観客大会で、セミファイナルとして組まれたのはノンタイトルの6人タッグマッチだった。
武藤敬司&丸藤正道&望月成晃vs清宮海斗&谷口周平&モハメド・ヨネ。最大のポイントは、ノアの新世代エース・清宮海斗とレジェンド・武藤敬司の対戦だ。これまでチームを組んだことはある2人だが、今回は清宮のアピールを受けて闘うことになった。1月にGHCヘビー級のベルトを失った清宮だが、“身軽”になったからこそ自由に動き、多様な相手と試合をしてレベルアップを図ることも重要だ。
しかし武藤にとっては、清宮は自分よりはるかにキャリアの浅い若者だ。実は清宮は武藤の息子と同い年なのだという。息子をプロレスラーに、と考えていた武藤だが、その夢はかなわず。そのため清宮について「仮想・息子じゃないけどさ」と言う。
息子のような相手との闘いで、武藤は“父”としての貫禄を見せつけた。序盤からグラウンドの攻防で優位なポジションをキープすると、ドラゴンスクリューに足4の字固め。回転エビ固めから脱出するとシャイニング・ウィザードをぶち込み、さらに4の字。清宮は叫び声をあげながら耐えるしかなかった。
試合は丸藤がヨネにパーフェクト・キーロックで勝利。丸藤のフィニッシュの際も武藤は清宮を4の字に捉え、徹底的に傷めつけた。試合終了のゴングが鳴っても、武藤はしばらく技を解かず。最初から最後まで厳しい攻めを貫いた。清宮が反撃する場面もあったものの、爪痕を残したとは言えないだろう。
「別の引き出しもある。まだまだ胸を貸すよ」
「潰すつもりでいったからね」
インタビュースペースでも武藤は余裕。清宮についての話題を切り上げると、パートナーである丸藤と望月を「頼もしいこと頼もしいこと。痒い所に手が届く」と絶賛した。
超実力者3人は奇しくもイニシャルが「M」。ここに同じイニシャルMの新メンバーも加えてユニット「M's allianae」を結成することにもなった。
一方、清宮はレジェンドの壁を痛感。
「自ら闘いたいと言ってこんなザマになって、自分が憎いです。このチャンスを逃すなんてバカなんじゃないかって。やっぱり武藤敬司は強かった」
しかし、本人としてはまったく手応えがなかったわけでもないようだ。何が通用し、どこが通用しなかったのか。この経験を次に活かすしか道はない。
「これで終わりにしたくない。武藤敬司というレスラーを、これからも追い続けたい」
昨年、清宮はGHCヘビー級王者として勝ち続けることで成長した。だが悔しさを味わいながらの成長もある。“紆余曲折”自体が、若い清宮には貴重な時間なのだ。
文/橋本宗洋
【映像】武藤の4の字地獄に悲鳴をあげる清宮
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