6月27日のAbemaTV『NewsBAR橋下』に出演したジャーナリストの津田大介氏が、橋下徹氏に道州制、地方分権について話を聞いた。
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津田:橋下さんは維新を立ち上げられたし、ずっと道州制と地方分権を仰っていたが、東日本大震災や今回のコロナを見ても、中央集権型ではきめ細やかな対応がしにくいということが浮き彫りになったと思う。それによって道州制、地方分権の議論が再び活性化するんじゃないかという感触がある。
橋下:正直難しい。必要だということはみんなも分かってきたし、今回も地方の知事たちが切磋琢磨しながら腰の重い国を動かしたところがある。でも、国会議員は地方分権に反対するし、都道府県知事、都道府県会議員やそこに関係して補助金もらっている各種団体は今の体制の方が楽だから。幕末、大名たちが「江戸幕府でもええやん。将来のことは将来なんとかしたらええやん」と言っていたのと同じ。そこに「日本ヤバいぞ」と思った維新の志士たちが出てきて幕藩体制を倒して、明治政府を作った。この過程は、もう戦争だもん。
僕はもちろん道州制には賛成なんだけど、そうすれば知事のポストが減るし、都道府県会議員の議席も減る。そして、国会議員の権限はものすごく少なくなる。権力を持っている側は当然、大反対するだろうね。やり遂げようと思ったら、本当に戦争をするようなつもりでいかないといけないけど、今は戦争なんてできないから、選挙でやるしかない。それを大阪でやろうとしたのが大阪都構想。大阪府庁、大阪市役所みたいな巨大な役所を一から作り直すんだ、ということに10年かかって、やっと11月に2回目の住民投票だ。
ここで重要なポイントは、大阪市の松井市長が大阪府の吉村知事の指揮・命令に服すること。大阪ではその仕組みを作った。そこをはっきり決めておいたから、コロナ対策でも大阪は動けた。他のところを見て欲しい。名古屋市長が愛知県知事の言うことを聞くだろうか。今の仕組みでは動かないと思う。
津田:大阪都構想については色々見たし、自分なりに調べたが、まだ日本ではこのような形が実現したことはないし、どのような行政サービスへの悪影響、あるいは好影響があるのかはまだわからない。
橋下:役所の仕組みを変えるということだから、ある意味で、道州制の第一歩だ。府庁と市役所を作り直すとか、都構想くらいのことができなければ、47都道府県を9~13の道州に作り直すことは不可能だ。
もちろん都構想には問題点もいっぱいあるが、現状の大阪府・大阪市と都構想のどっちがマシなの?というところだ。道州制にもいろんな問題点があるが、だからといって進めないのか、という話になる。そうではなく、今の日本の仕組みと道州制との比較だと思う。そこで判断してほしい。だけど、大阪都構想ですら選挙の繰り返しで10年かかっているんだから、道州制をやろうと思ったら、20年、30年はかかるだろうね。(ABEMA/『NewsBAR橋下』より)