後楽園ホールでの有観客興行再開を間近に控え、プロレスリング・ノアかスタジオマッチ『NOAH NEW HOPE』第3弾を実施した。7月5日に放送されたこの大会は、ABEMAのスタジオ内にリングを設置しての闘い。大会タイトルが示すように、新世代のエース・清宮海斗を中心とするものだ。
メインイベントでは、清宮と稲葉大樹のシングルマッチが組まれた。元WRESLE-1王者で、団体の活動休止にともないフリーとなっていた稲葉は、前回の『NOAH NEW HOPE』のメイン後に登場して清宮と睨み合いを展開。無言ではあったが、事実上の対戦要求だった。それを受けての、今回の一戦である。いきなり一騎打ちというところは、今のノアらしいスピード感だ。
稲葉は久しぶりの試合だったが実力者ぶりを発揮。エルボーの打ち合いも迫力充分だ。一方の清宮はこれまでノアの強豪たちと対戦して培った打たれ強さ、懐の深さを見せる。カメラの向こうのファンを意識した「いくぞ!」と吠えてからのミサイルキックも決まった。
クライマックスはタイガースープレックスの攻防だ。清宮はもちろん稲葉もこの技を得意としており、この試合で先に決めたのは稲葉だった。逆に清宮のタイガースープレックスは、稲葉がコーナーを蹴って押し潰す。三沢光晴が作ったノア、その新しい試みである『NOAH NEW HOPE』という舞台で繰り広げられるタイガースープレックスの攻防は意味のある、そして感慨深いものでもあった。
2段モーションかつ高角度で放つ「タイガースープレックス178」を喰らっていたら危ないところだったが、清宮はギリギリのところで形成逆転。稲葉のもう一つの得意技である極反り卍固めも脱出し、ジャーマン、そして切り札のタイガースープレックスで清宮が勝利を収めた。
(試合後はタッグ結成を誓いガッチリ握手)
ノアとW-1の元王者対決にして、プロレス界の次世代エース同士の激闘。清宮は試合後「今まで味わったことのない情熱、熱さを感じることができました」と稲葉を称えた。
すると稲葉は「まだまだ追いつけない。でもこれを“点”で終わらせたくない。だから俺と組んでください。近くで試合させてください」とタッグ結成を求めた。
これを清宮も快諾し、さっそく来週12日の『NOAH NEW HOPE』でタッグを組むことに。
「俺たちでプロレス業界に風穴あけてやりましょう」
魅力的なタッグ結成に、清宮も乗り気。キャリアでは上の稲葉は「清宮選手が後輩でも吸収するものは吸収したい。凄さは認めているので」と謙虚に語っており、お互いを高め合うチームになりそうだ。
展開しだいではノアのタッグ戦線における一大勢力ともなりうるだけに、まずは来週の『NOAH NEW HOPE』が大きなポイントとなる。
文/橋本宗洋
写真/プロレスリング・ノア