今、タイトル戦線とは別にノアファンの注目を集めているのが、稲村愛輝と岡田欣也の若手ライバル争いだ。
どちらもノア期待のヘビー級レスラー。同い年で誕生日も1日違い、かつ同期入門でもある。デビューも同時のはずだったが、ケガによって岡田が出遅れることに。数ヶ月後の岡田の正式デビュー戦で相手を務めたのは、他ならぬ稲村だった。
大型パワーファイターの稲村に対し、岡田は正攻法のテクニックが持ち味。7月5日に放送された『NOAH NEW HOPE』でのシングルマッチも、両者の個性のぶつかり合いになった。
岡田は多彩な腕攻めから逆さ抑え込みにサイドスープレックス、ブロックバスターホールド、さらに回転足折り固め。“古典的”と言ってもいい技で稲村を追い込んでいく。
しかしタックル一発で形成逆転できるのが稲村の強み。相手を真後ろに投げ飛ばすフロントスープレックスも鮮やかに決まった。最後はアバランシュホールドからスプラッシュマウンテン。“らしさ”で稲村が上回ってみせた。
「たった1人の同期だからこそ、切磋琢磨するとかじゃなく、ずっと追いつかせない。せっかくの同期だから蹴落として、先を走ってやる」
試合後、そうコメントした稲村。やはり岡田に対しては特別な思いがあるようだ。しかし今回の試合では岡田の攻撃も目立った。ファンの反応も「差は縮まっている」というものが多い。それだけに、これからライバルストーリーはさらに激しくなるだろう。
「有観客興行」再開となる7月18日の後楽園ホール大会、その第1試合でも、稲村vs岡田のシングルマッチが組まれている。短期間で試合が組まれていること、後楽園のオープニングを飾ることは、団体からの期待の表れでもあるだろう。近い将来、トップ戦線に食い込んでくるであろう2人の闘いは、さらに注目度を高めるはずだ。
写真/プロレスリング・ノア