7月12日の『RISEonABEMA』無観客大会で行なわれる、那須川天心の2020年初ファイト。その対戦相手は公募から選ばれた。白羽の矢が立ったのは笠原友希。シュートボクシングのフェザー級1位で、兄の弘希とともに兄弟ファイターとして活躍している。
日本キック界トップの一角である小笠原瑛作に勝利したこともあり、そのポテンシャルは高い。しかも那須川より年下の19歳。笠原にとって那須川は「映像を見て勉強したり、憧れの選手」だった。
もちろん格闘家である以上、抱いていたのは憧れだけではない。
「いつか闘う時が来る。闘いたいと思っていました」
そう笠原は言う。キャリアを積み、ベルトを巻き、実績を重ねていけば機会が来るはずだと考えていたのだ。だがその機会は、思っていたよりも早く訪れた。憧れの選手を、具体的に対戦相手として研究する日々が始まった。
「自分が選ばれてビックリしたのと、やるぞという気持ちがありますね。ここまで練習してきて動きがよくなっているし、レベルアップできているなと思います」
緊急事態宣言中はジムでの練習はできず。しかし自宅の中ではあるが、兄弟でトレーニングを重ねてきた。ジムに比べれば十分ではないにせよ、兄弟ファイターならではのメリットだ。
7月7日のリモート公開練習では、タイ人トレーナーのダムさんがミットをオーソドックスで構えていた。左右両方の構えに対するミット打ちをしているそうだ。
「リーチ、身長では自分の方が上。那須川選手は距離を詰めるためにどんどん前に出て圧力をかけてくると思います。自分の距離を保つことが大事になってくる。でもそれだけじゃダメで、那須川選手が何を仕掛けてきても対応できるようにしなくてはいけない。そういう練習をしてきました」
ミット打ちでは跳びヒザ蹴りやバックブローを放つ場面も。これも「一つのパターンになるとやられてしまう。いろんな攻撃を出して当てていきたい」という考えからだ。
那須川対策を“これ”と決めつけず、あらゆる場面に対応していこうというのが笠原のスタンス。そうでなければ那須川には勝てないということだ。
闘うタイミングとしては、まだ早かったのかもしれない。それでも「今チャンスを掴みにいかなかったら、次はいつになるか分からないですし」という思いもある。そして闘うからには、全力で勝ちにいく。
「必死で食らいついて、笠原友希という若い選手がいるんだぞということを見せたい」
RISEのリングに乗り込んでの一戦に「シュートボクシングの代表として、という気持ちもあります」。大波乱を起こせるかどうか。少なくとも本人は“奇跡”に頼るつもりはない。