長時間対局なら望むところ 47歳・木村一基王位が17歳・藤井聡太七段も凌駕する“百折不撓の将棋体力”
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 一般的に育ち盛りの17歳と、50代の声も聞こえてきた47歳であれば、体力を比べれば前者が勝つと思うところだろう。ところが「将棋の強いおじさん」は、天才棋士と呼ばれる若者をも凌駕する“将棋体力”の持ち主だ。王位戦七番勝負で、藤井聡太七段(17)の挑戦を受けている木村一基王位(47)は、長時間・長手数の対局をむしろ得意としているほどの体力を誇っている。

▶中継:王位戦七番勝負第2局 木村一基王位 対 藤井聡太七段

 昨期、史上最年長46歳3カ月で涙の初タイトルを王位戦で勝ち取った木村王位。実はタイトル奪取の道中に、まさに“百折不撓”を地で行くような長時間・長手数の対局で勝利していた。ちょうど年号が平成から令和に変わったばかりの5月1日、挑戦者決定リーグ紅組2回戦で、菅井竜也八段(当時七段、28)との激闘は、317手にまで達した。200手を超えればかなりの長手数と言われる中で、無尽蔵の“将棋体力”に支えられて指し切った300手オーバーの一局。ここでの勝利は、後の挑戦権獲得、さらには奪取につながった。

 そして七番勝負。当時、王位のタイトル保持者だった豊島将之竜王・名人(30)との第4局(8月10、11日)は、タイトル戦最長手数となる285手で勝利。負ければ後がなくなる一局を制して、2勝2敗のタイに持ち込んだ。王位戦七番勝負は持ち時間各8時間の2日制。先日、初めて2日制対局に臨んだ藤井七段が、勝利したものの会見で疲労の色を濃く見せていたが、30歳も年上のベテランは、さらに長い対局を指しこなしていた。なおこの時期、豊島竜王・名人とは、竜王戦の挑戦者決定三番勝負も並行して戦っており「十番勝負」をいずれもフルセットまで戦ったことも、ファンの記憶には刻まれているはずだ。

 粘り合い、根比べにも負けない心は、日課にしているランニングでも培われている。体重は、中学生のころからほとんど変わらない。長時間座り続ける対局により、膝や腰など下半身に痛みを抱え始める棋士も多い中、スリムな体型を維持できていることは、長時間の戦いに耐えうる体力を生み、知力に影響を与える疲労を減らしている。1局指せば数キロ痩せるとも言われるプロの将棋の世界。盤外でのトレーニングも“中年の星”を輝かせる源だ。

 藤井七段の最年少タイトル獲得に大きな注目が集まる中、7月13・14日には王位戦七番勝負第2局が行われる。長い戦いになればなるほど、背筋が伸び、眼光の鋭さを増す木村王位の様子が見られれば、それは47歳のベテラン棋士が勢いに乗っている証拠だ。

第61期 王位戦 七番勝負 第二局 1日目 木村一基王位 対 藤井聡太七段
第61期 王位戦 七番勝負 第二局 1日目 木村一基王位 対 藤井聡太七段
王位戦七番勝負の第1局を制した藤井聡太七段
王位戦七番勝負の第1局を制した藤井聡太七段