4月24日(日)に渋谷で開催される『SYNCHRONICITY』は2005年にスタートし、今年で11年目を迎える都市型フェスの先駆けと言える存在だ。そして、今回の『SYNCHRONICITY 16'』は日本の音楽シーンを支えるenvy、MONO、downyというベテランアーティストたちが立ち上げた新イベント『After Hours』とタッグを組み、今まで以上に超豪華なラインナップで開催される。

そんな『SYNCHRONICITY』にシンパシーを感じたAbemaTIMESは、開催直前のタイミングにも関わらず主催者の麻生潤氏にインタビューを敢行した。

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■フェス同士が手をつなぎ合ってもいい

― 今回も、バランスのいいラインナップですね。すでにチケットはソールドアウトしているとお聞きしました。

麻生:今めっちゃ問い合わせが多くて、どうしようって感じです(笑)。バラエティ豊かななんだけど、筋が通ってる、世代やジャンルがクロスオーバーできるような環境をテーマにしました。今回のラインナップでチケットが売れるかどうかは、挑戦だった部分もあります。

―この反響の大きさは、やはり外部チームと一緒に進めていくことで生まれた相乗効果もあるのでしょうか?

麻生:そういう部分はありますね。もともとそういうところをすごく考えてる部分があって。やっぱり自分もどんどん歳をとっていくし、新しい物を拾っていくのって難しくなってくるんですよ。

ただ、年齢とともに役割も変わっていくと思うんです。僕は39歳なんですが、逆に今じゃないと、envy、MONO、downyっていうクセの強いバンドたちと握手して、強い気持ちを持って一緒にフェスを作っていく、ってことはできなかっただろうなと。若い人には若い人の役割があるし、彼らが拾っていくものって大切だと思うので、そこをしっかり掴んで、カッコいいところを知ってもらいたいし、クロスオーバーさせていきたいですね。

― 10年以上フェスを運営されていると、エゴでガチガチになりそうなものですが、『SYNCHRONICITY』は外部との交流に全く躊躇がないですよね。

麻生:結局、目的が何かだと思うんですよ。やっぱり良い音楽やカッコいい音楽、世界で戦っていける音楽とか、そういうシーンを作っていきたいし、相乗効果でもっと良いものを作っていきたい。それって自分だけでは絶対できないんだけど、でも昔できなかったことの後悔とかもちょっとあって……。友達が主催していた『Sense of Wonder』や『KAIKOO』といったイベントと、僕がハブになって一緒に何かできれば良かったんですけど、上手くできなかった。これからはそういうこともしっかりやっていきたい。フェス同士が手を繫ぎあってもいいじゃないですか。

― リスナーからしても、終わってしまうよりは一緒になって盛り上がってくれたほうが嬉しいですよね。麻生さんのようなアツい人がフェスを率いていると頼もしいです。

麻生:いやあ、けっこう地べたに這いつくばってやってますよ(笑)。ぶっちゃけて言うと“次、できるかな?”と思うことも結構ある。赤字を出したときとか特にね。それで翌年も開催するのって実はすごく大変なんだけど、かなり迷って間髪入れずに半年後に開催したこともありますね(笑)。“ここで終わったらダメだ。踏ん張りどころだ!”と思って。

もちろん、赤字に関しては全部ケツ拭いて。ただ“取り返す”って気持ちよりも、ここで肩落として“ダメだな”って思ってもしょうがないし、次回に良くない感覚のまま続くのは嫌だなって。だったら何がダメだったか見つけ出して、追い込んで早く結果出した方がいい。

― そういうエピソードを聞くと、『SYNCHRONICITY』自体がバンドっぽいというか、生き物っぽい感じがしますね。生々しい所も含めて人間らしいというか。

麻生:そう、人間っぽいんですよ(笑)

■半分はフェス主催者、もう半分はアーティスト側。だから儲からない(笑)

― でも、都市型だけに瞬発力もあるじゃないですか。それこそ大きいところと組むことで、急に規模が大きくなる可能性もありますよね?

麻生:そうですね。規模を大きくしない理由はシンプルで“ケツを拭けるかどうか”だけなんです。もし“野外で大きくやるか!”って言って1000万の赤字を出したら、次はできない。なんで『SYNCHRONICITY』が地べたに這いつくばりながらも続けていけるのかっていうと、“120%は出すけど200%は出さない”ってところですね。いつも120%でやってるつもりなんです。それで限界を超えられるし、新しいものも経験として手に入れることができる。ただ200%出したら、ハイリスク・ハイリターンかもしれないけど、それで失敗してしまったら多くの素晴らしいフェスと同じように、お金の問題で終わってしまう。

― フェスが終わった後に自分の足で帰れないと……っていうことですよね。

麻生:そうそう(笑)。きっちり責任持ってやらないとね。やっぱり、一緒にやってる人たちとしっかりした信頼関係を築いていきたいっていうのは一番ありますね。結局、信頼できないと良い仕事もできないし、良いライブもできないと思うんです、僕は。その積み重ねで何とかやってこられてるって感じですね。“何系ですか?”って聞かれたら、“地べたに這いつくばってる系です”って(笑)

― もともと麻生さんご自身が音楽を演られてたっていうことも関係しているのかもしれませんが、そういうところもバンドっぽいですよね。半分はフェスの主催者だけど、半分はアーティスト側というか。

麻生:そう、だから儲からない(笑)

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■R-指定(CreepyNuts)は天才!「フリースタイルダンジョン」とも絡んでいきたい

― たとえば、今後『SYNCHRONICITY』に呼びたいヒップホップアーティストはいますか?

麻生:いますよ! CreepyNuts(R-指定 & DJ 松永)はもちろん、今回出ますけどDOTAMAくんとか、鎮座DOPENESSとか。田我流やTHA BLUE HERBも大好きです。

―R-指定さんもDOTAMAさんも天才ですよね。

麻生:みんな頭が良いし面白い。直球じゃない感じも好きだし、今っぽくて洗練されてるんですよね。

― DOTAMAさんは今回、大物アーティストたちと出演時間が被っていますが、入場規制がかかる可能性は十分ありますよね。サイバーエージェントがスポンサードしている「フリースタイルダンジョン」のお茶の間レベルにまで波及した盛り上がりが、『SYNCHRONICITY』という生の現場に出ることによって、しっかりヒップホップとして受け入れられるのは素晴らしいことだと思うんです。

麻生:そうですよね。本当は今回も、もっと「フリースタイルダンジョン」の流れを取り入れたかったんですよ。ヒップホップのシーンとクロスオーバーさせるなら今がチャンスだ! って思って。Creepy Nutsはオファーしたんですが、すでに予定が入っちゃってて。“もっと早く言ってくださいよ”って言われて(笑)

R-指定くんはずば抜けてスゴいなと思っていて。天才だなと。彼やサイプレス上野さんが「フリースタイルダンジョン」に入ることでオルタナティブな魅力が加わって、より面白くなってますよね。あまりゴツいノリになっちゃうと一般の視聴者はついていけないかもしれない。

― 日本のヒップホップってことで言うと、AbemaTVでは宇多丸さんとサ上さんの番組もあるし、Kダブシャインさんもいるんですよ。

麻生:いいですね!ライムスター大好きなんですよ。『SYNCHRONICITY』にぜひ出演していただきたいですね! 音楽性豊かなグループですし。実はオファーしたこともあるんです。以前『夏びらき MUSIC FESTIVAL』でも観て、すごくカッコよくて。本気なのにエンタメ性も完璧。『SYNCHRONICITY』のイメージにもぴったりなんです。

―絶対にマッチしますよね!ヒップホップ勢が動いたらAbemaTVも黙ってないので!来年とかは何かしら組みたいですね!

麻生:そうしようそうしよう!AbemaTVさん、是非『SYNCHRONICITY』をバックアップして下さい(笑)

『SYNCHRONICITY』は、けっこうトークセッションもやってるんですよ。もともと「未来に繋ぐ」というテーマを掲げているので、一過性のイベントじゃなく、その空間であったことをそれぞれのライフスタイルに持って帰ってほしい。楽しい体験プラス、いろいろな知識や考えをインプットしてもらいたいなと思って「フューチャートークセッション」っていう形でやったりしてきました。

過去には津田大介さんや岩井俊二監督、松田美由紀さんに登壇していただいたので、いつか藤田社長にも来ていただければ(笑)

サイバーエージェントは『SYNCHRONICITY』の会場(渋谷O-group)と同じエリアにあるのし、社屋を含めたサーキットイベントも可能です!

『SYNCHRONICITY'16』

開催:2016年4月24日(日) 開場/開演:15:00(予定) 閉演22:00(予定)

TSUTAYA O-EAST、duo MUSIC EXCHANGE、TSUTAYA O-WEST、TSUTAYA O-nest (4会場連結開催, 往来自由)

公演当日に、熊本を中心に発生している地震の義援金募集とチャリティー販売を行う予定です。 詳細は 『SYNCHRONICITY - After Hours - 』オフィシャルサイトで更新します。

[出演]envy / MONO / downy / THE NOVEMBERS / BRAHMAN / clammbon / 渋さ知らズオーケストラ / world's end girlfriend / MOROHA / D.A.N. / fox capture plan / jizue / toconoma / JABBERLOOP / Yogee New Waves / never young beach / 在日ファンク / group_inou / the band apart / CICADA / DALLJUB STEP CLUB / DOTAMA / PAELLAS / JABBA DA HUTT FOOTBALL CLUB / パブリック娘。 / SHERBETS / rega / 思い出野郎Aチーム / CAR10 / ko umehara / 矢吹和彦 / Gravityfree [DJ]New Action!

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