プロレスリング・ノアのTVマッチ『NOAH NEW HOPE』(ABEMA)では、スタジオでの試合という特性から、通常よりも小さいサイズのリングで試合が行なわれている。
それだけお互いの距離も近くなるし、映像的にも“密度”が濃い。独特の雰囲気かつファイトスタイルにも工夫が必要になってくる。逆に言えば、体の大きな選手がいつも通りの試合をすると、リングからはみ出さんばかりの闘いになることも。
7月12日に放送された『NOAH NEW HOPE』では、GHCタッグ王者であるレネ・デュプリと新鋭・稲村愛輝のシングルマッチが実現している。公式プロフィールによるとレネ113kg、稲村は115kg。まさに大型レスラー同士の対戦だ。
この試合、豊富なキャリアを持つレネにガムシャラに突進していく稲村の勢いが目立った。序盤に見せたヘッドロックから迫力充分。ロープに走って助走をつけてからのタックルを連発すると、レネも思わずヒザをつく。稲村が走るたびにリングが揺れているようにも見えた。
実際、関係者の間では「稲村があの小さなリングで暴れると、リングを壊しかねない」とさえ言われているそうだ。そのポテンシャルはレネ戦でも見られた。
コーナーから飛んだ相手をキャッチしてそのままフロントスープレックスで投げ捨て、今度は稲村がコーナーから飛ぶ。対空時間の長いダイビング・ショルダーアタックだ。
ただ、この得意技からのフォールがロールブレイクになってしまったのも小さなリングゆえ。最後はレネがダイビングエルボードロップで勝利を収めた。稲村の勢いに対し、レネは海千山千、懐の深い闘いぶりを見せた。
敗れた稲村は、試合後「デカいだけじゃない強さがそこにはあった。ですが、俺は俺の得意な正面突破を磨き続けます」とツイートしている。ノア屈指の大型パワーファイターへの期待感は大きく、有観客興行再開となる7月18日の後楽園ホール大会では第1試合に登場する。リスタートの口火を切る試合だけに、無観客試合で得た経験値を爆発させてくれるだろう。
写真/プロレスリング・ノア