「“地味だけど楽しい”が評価される文化を」迷惑系YouTuber「へずまりゅう」逮捕、どうすれば“過激コンテンツ”は防げる?
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 『店の商品、会計前に食ってやったぜー』。スーパーの店内で商品のラップを剥がし、手掴みで魚の切り身を口に入れる。そしてトレーをレジで差し出し「お腹が減って食べちゃった」と支払いを済ませ、困惑する係の女性を横目に、笑顔でピースサイン…。

・【映像】YouTuber“へずまりゅう“が迷惑行為で逮捕 垢BANは解決策にならないのか

「“地味だけど楽しい”が評価される文化を」迷惑系YouTuber「へずまりゅう」逮捕、どうすれば“過激コンテンツ”は防げる?
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 一連の迷惑行為の動画をアップ、警察に逮捕された“迷惑系YouTuber”「へずまりゅう」こと原田将大容疑者(29)。本人のものとみられるTwitterには「YouTube垢バン8回日本記録達成者」とのアピール文も記載しているとおり、人気YouTuberに“メントスコーラ凸撃”で、沖縄県・首里城復興メッセージボードに落書き、無許可で人気YouTuberの妻子を撮影、強引にコラボを迫り被害届を出されるなど、これまでも迷惑行為を繰り返し、その様子をYouTubeで公開してきた。

 YouTubeでは、「18歳以上」「チャンネル登録1000人以上」「直近12カ月の総再生時間が4000時間以上」といった条件を満たすことで、1再生当たり0.1円から数円とされる広告収入を得ることができる。その一方、運営会社では「ユーザーから違反動画の報告を受けアカウントに警告、3回の警告でアカウント停止」「2018年1月、不適切なコンテンツなどの監視チームを発足」「2019年1月、危険なチャレンジやいたずらなどを明確に禁止」などの対策を講じてきたが、中身の線引きの難しさ、“いたちごっこ”になるといった難しさもつきまとう。

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 YouTuberからの法律相談を多数受け、自身もYouTuberとしてニュース解説動画をアップしている岡野武志弁護士は「へずまりゅう」について、「他の動画でも業務妨害・暴行・傷害・迷惑行為など刑法犯が成立するものが多数あった。YouTubeの運営会社側も注視していたようで、アカウントを開設しても、早い段階で消されるというような状態にあったようだ」と話す。

 「規約も年々厳しくはなっていて、ヘイト動画や人の憎悪を煽る動画が最近は結構厳しく取り締まられるようになった。それでも新しいアカウントを作れないようにするのは難しい。また、影響力が強いYouTuberということで垢BANされても、TwitterなどのSNSにファンが付いている限り、すぐに新しいアカウントの登録者数が増え、再生時間も伸びてしまう。ただ、過激なものについてはアルゴリズムで広告が落とされてしまうので、少しずつ過激なことをやらなくなっている傾向にはある。その意味では、自浄作用も働いている」。

■ヒカキンくらいのクラスになると、地味だけど楽しい、居心地の良さがある。

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 YouTuberをめぐっては、タイ拠点の日本人YouTuberが現地でナンパを競う動画→タイ人女性を侮辱していると批判され謝罪(2020)、渋谷スクランブル交差点にベッドを置いて寝る動画→本人が出頭(2019)、強い酒を飲む動画を生配信→酔いすぎて女性を殴るところを生配信→逮捕(2018)、チェーンソーで宅配業者を脅す動画→逮捕の男『再生回数が伸びるのが楽しみだった』(2017)などのトラブルが報じられてきた。

 警察関係者は取材に対し、「ネットやSNS、これまでなかった世界が増えてきて注目はしている。演出や、やらせもあるのが難しいところだが迷ったらとにかく通報してほしい。被害者から警察に通報してもらえると良い形で捜査ができる」と話している。

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 ジャーナリストの佐々木俊尚氏は「どこまでの行為なら許されて、どこからは許されないのか、という基準をプラットフォーム側が明確にしていないことも問題だと思う。一方で、テレビだって昔はひどいことをいっぱいやってきた。迷惑行為が面白い、という笑いは必ずあるので、グレーゾーンすらも完全に社会から取り除いてしまうのはどうかとも思う。そして警察は一罰百戒を狙っているのだろうが、行き過ぎた権力の介入が起きないよう、自律的に防いでいかなければいけないと思う」と話す。

 「テレビ局の場合には編成があり、中央集権的なので、過激なことをやっても法律には抵触せず、でも道徳的に許容できるのかという議論をしてきた。そういう中でラインのようなものもできてきた。ところがインターネットは中央集権ではないし、コンテンツを流通させるプラットフォームとしては中身に口を出すべきではないというのがそもそも理念だった。それでもYouTubeやFacebook、Twitterなどの巨大プラットフォームは影響が大きいので、規制せざるを得なくなってきている。そういう中で、誰がどうグレーゾーンを判断するのかは難しい問題だ」。

 その上で佐々木氏は「例えばTwitterでは誰かを攻撃することで1000、5000とリツイートが集まるが、穏やかなコミュニケーションではあまりバズらない。YouTubeも過激なことをやるから再生回数が増えるのであって、人が気持ちよくなるような、ポジティブなことをやっていても伸びない。そういう構造があるから、どんどん人は過激になっていく。しかしYouTuberでもヒカキンくらいのクラスになると、地味だけど楽しい、居心地の良さがある。あれこそが本当のYouTubeの良さだ。だからこそ、長期的な信頼関係が築ける方向に持っていかなければならないし、そういう人が評価されるような文化を作らなければいけない」と指摘した。

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 リディラバ代表の安部敏樹氏は「追い詰められた“持たざる人”が広告収入などではなく、“俺の話を聞けよ”というようなモチベーションで、捨て身の投稿をしてしまうケースもあると思う。そういう人たちに対しては厳罰化だけでは意味がないし、再び繰り返さないような対応もセットで考えなければ防げないと思う」とも話していた。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

YouTuber“へずまりゅう“が迷惑行為で逮捕 垢BANは解決策にならないのか
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