(対戦から即タッグ結成となった清宮と稲葉。次に稲葉が狙うのはノアでの自力初勝利だ)
ノアの次世代エース・清宮海斗が強力なタッグパートナーを得た。元WRESTLE-1王者の稲葉大樹だ。昨年大晦日、越境王者タッグを組んだ2人。この春にW-1が活動休止になると、稲葉はノアに活躍の場を求めた。
初登場は7月5日に配信されたスタジオマッチ『NOAH NEW HOPE』。いきなり清宮とシングルで対戦している。この試合で敗れた稲葉だが「全部受け止めてもらった上で負けて、凄くスッキリしました」と語っている。
清宮について「キラキラしている」という言葉で表現した稲葉。「もっと清宮選手を感じたい。そのためには隣にいたい」とタッグ結成を求め、さっそく12日の『NOAH NEW HOPE』で組むことになった。
対戦相手は小峠篤司&吉岡世起。ジュニアの実力者コンビだ。吉岡もW-1からノアに主戦場を変えた選手。当然、稲葉もその存在を意識することになった。
「自分より先に他のW-1の選手たちがノアのリングに上がったのは見てましたし、刺激になってましたね。ライバル心? ありますね、やっぱり」
稲葉は今年、W-1王座をノアの中嶋勝彦に奪われ、どん底に突き落とされるという経験をした。今はそのノアで一歩ずつ上に行こうとしている。
「中嶋選手との試合を見て、自分のことを(ノアに)いらないだろと思った人もいると思います。それは仕方ない。でもそれを乗り越えないと」
清宮とのタッグは久々だったが、清宮のタイガースープレックスで快勝を収めた。チームとして「自然にできた」と清宮は語っている。稲葉も同意見だ。
「それは分かるような気がしますし、嬉しいですね。“ここで来てほしい”とか“ここは自分にいかせてほしい”という感覚に通じるものがありました。パートナーとして頼もしいですよね。これを突き詰めていけば、いいタッグチームになれると思います。可能性を感じました」
このままタイトル戦線にも絡んでいくようなら、ノアマットはさらに活性化するだろう。だが稲葉は“清宮海斗のタッグパートナー”だけでは満足しない。
「それだけでは終わりたくないですね。今は一つ一つ結果を出すのが大事ですけど“ゆくゆくは……”という思いもあります」
清宮と稲葉は存在そのもの、期待のされ方が似ている部分がある。清宮はノア、稲葉はW-1の新エースと見られ、清宮はGHCヘビー級王座の長期防衛で期待に応えた。だが稲葉は団体そのものを失うことになってしまった。
「期待はひしひしと感じたし、応えようと頑張ってきました。そこは悩んだ部分でもありますね。そうした過去の自分を変えていきたいという思いもあります。ノアに上がって、清宮選手と組んで、というチャンスをせっかくもらったんですから」
新たな大勝負も控えている。7月24日の後楽園ホール大会では、トップ戦線の一角であるマサ北宮とシングルマッチ。ここで勝てば前進するチャンスだ。大きな決意とともにノアに乗り込んできた稲葉は、ここからまた新たなキャリアを築こうとしている。