棋士には重要で貴重だった外出自粛で「対局のない2カ月間」斎藤慎太郎八段「いろいろ勉強になった」
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 今なお猛威をふるう新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、プロの将棋界は4月・5月とほぼ2カ月間、公式戦の延期が相次いだ。対局はもちろん、ファンとの交流イベントや、棋士が集まって行う研究会もできなかった。ただ、この「対局のない2カ月間」は、対局のスケジュールとともに生きてきた棋士によって、重要で貴重な期間にもなっていた。早指し棋戦「将棋日本シリーズ JTプロ公式戦」に出場した斎藤慎太郎八段(27)も「いろいろな勉強になった期間でした」と振り返った。

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 思うように活動できないことは、もちろん悲しむべきことでもあったが、ここで生まれた時間をどう活かすかで、大きな差がつく。実力者ほど、対局で忙しくなる将棋界において、トップ棋士に2カ月という時間は、とても貴重だった。「対局が少なくなり、今まで普通に対局ができていたのがありがたいと感じるようになったのが一番」と語った斎藤八段だが、プロ入りして丸8年経ったところで、将棋に対する思いを見つめ直せたことは大きかった。「6月、最初の対局では、久々という緊張感がありましたが、対局ができる楽しみ・喜びがあって、これまで以上に充実した気持ちで戦えています」と、精神面での充実ぶりを加えた。

 効果があったのは気持ちの面だけではない。多数あった対局がなくなったことで、じっくりと研究する時間も取れた。「やはり日々の生活の中で、次の対局に向かうという気持ちがずっとあって、休まる時がなかったですが(自粛期間は)いろいろ勉強にもなりました。将棋の勉強もしましたし、好きな詰将棋の問題を解いたり作ったり、という時間も多く取ることができました」とも語った。

 この「2カ月間」について、最も多く質問を受けている棋士と言えば、最年少タイトル獲得に注目が集まる藤井聡太七段(17)。会見で「自分の将棋を見つめ直すことができた」とコメントしたことがあったが、斎藤八段も思いは一緒だ。スポーツ界のようにオンシーズン・オフシーズンがあるわけでもなく、年中対局が入る将棋界においては、この期間が今までにない「合宿」「キャンプ」のような効果をもたらしたのかもしれない。

 6月以降、延期になった分も含めて、各棋士が多数の対局をこなすようになっているが、直前の2カ月をどう過ごしたかが如実に結果となって現れる、そんな状況が訪れている。

ABEMA/将棋チャンネルより)

2020年度「将棋日本シリーズ」 一回戦第三局 菅井竜也八段 対 藤井聡太七段
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将棋日本シリーズ JTプロ公式戦
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