“わがまま”と誤解も…マスクをつけられない「感覚過敏」 “意思表示カード”で理解広める14歳の当事者
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 新型コロナウイルスがもたらした“新しい生活様式”の中で、かかせないものとなった「マスク」。しかし、ある理由からつけられない人たちもいる。

 「私は感覚過敏のためマスクが苦手。お店に入る時マスクを一応つけてみるけど2、3分で限界。マスクが無理な人がいることが広がってほしい」

【映像】感覚過敏を再現した映像

“わがまま”と誤解も…マスクをつけられない「感覚過敏」 “意思表示カード”で理解広める14歳の当事者

 「感覚過敏」とは、触覚や視覚、嗅覚、味覚、聴覚などの感覚が過剰に反応する症状。人によっては、マスクの肌触りや締め付けによって激しい痛みが生じるなど、体に異変が出ることもあるという。

■当事者の中学3年生が制作「意思表示カード」

 マスクをつけたくてもつけることができないが、見た目にはわからず周囲に理解されにくい――。そんな人たちのために作られたのが、「感覚過敏のためマスクやフェースシールドがつけられません」と意思表示をするカードだ。感覚過敏研究所がホームページ上で公開しており、ダウンロードして使用することができる。ホームページへのアクセスは1万6000件を超えているという。

“わがまま”と誤解も…マスクをつけられない「感覚過敏」 “意思表示カード”で理解広める14歳の当事者

 このカードを作ったのは加藤路瑛(じえい)さん。自身も感覚過敏を持つ、中学3年生の14歳だ。加藤さんは、マスクをつけると頭が痛くなったり気分が悪くなったりするそうで、「言葉で表現できないむずがゆさ。例えば、針で刺されたような痛みを感じるという人、ハンマーで叩かれたような痛みを感じるという人もいますし、ラップを口に押さえつけられた息苦しさと表現している人もいます」と話す。

 加藤さんが意思表示カードを作ろうと決めたのは4月末。きっかけは、マスクをつけていない子どもに対するSNS上の誹謗中傷だった。「『オキャクサマ』という言葉が出ていて、その漢字は“汚”客様というものだった。それを見た時に、(理由を)知らなければ配慮というか、何でこの人たちは(マスクを)つけていないんだろうという視点も持てない。何かしらつけられない理由があるんだろうと一回考えてほしいと思っていて」と加藤さん。

“わがまま”と誤解も…マスクをつけられない「感覚過敏」 “意思表示カード”で理解広める14歳の当事者

 加藤さんは1人でデザインを考案すると、自身が設立した感覚過敏研究所のメンバーからのアドバイスを受けて、カードを作成。わずか2日でインターネットでの無料配布を開始した。今では特別支援学級で配布されるなど、活動は徐々に広がりを見せ、街にはマスク着用が困難な人を受け入れるポスターを貼る店もある。

“わがまま”と誤解も…マスクをつけられない「感覚過敏」 “意思表示カード”で理解広める14歳の当事者

 加藤さんは「感覚過敏以外でもマスクをつけられない理由はたくさんあって、マスクをつけた方がいいとはわかっていても、それでも本当につらくてつけられないということをまずは想像してもらいたい。(意思表示カードを)免罪符としてではなくコミュニケーションのきっかけとして使ってほしいと思います」と語った。

 感覚過敏は、触覚のほか視覚や聴覚、味覚、嗅覚など、あらゆる感覚領域で起きることがわかっている。程度には個人差があり、林大学医学部助教の渥美剛史氏は「様々な感覚にまたがって生じるという方もいるし、実は単一でという方もいらっしゃるが、感覚刺激というものが個々人によってその不快さだとか辛さだとかが少しずつ変わってくると言える」と話す。

“わがまま”と誤解も…マスクをつけられない「感覚過敏」 “意思表示カード”で理解広める14歳の当事者

 一方で、「感覚過敏そのものは病名ではなくて、まだその実態はよくわかっていないところが多い」と渥美氏。いまだ謎が多く、治療法も見つかっていないという。渥美氏は刺激を避けることはもちろん、大切なのは周りの人の気遣いだとした。

■動き出している企業も「みんなの一歩が大きな配慮に」

 感覚過敏への理解をより多くの人に広めようと、動きだしている企業もある。

 大手電機メーカーの富士通が専門家や医師の監修のもと制作したのは、感覚過敏を再現したVR映像。感覚過敏の人たちが日常生活をどのように感じているかを体験することができる。

“わがまま”と誤解も…マスクをつけられない「感覚過敏」 “意思表示カード”で理解広める14歳の当事者

 感覚過敏の小学生の目線になると、校門では自動車の音や太陽の光など、日常生活のあらゆるものが強い刺激に感じられる。また教室では、外の光に目がチカチカし、大きい声や不規則な動きがあると不快な感覚が増幅される。

 映像を制作した富士通は、東京オリンピック・パラリンピック推進の活動をきっかけに、2年前から発達障がい児の感覚過敏にスポットを当てたプロジェクトを開始した。さらに、Jリーグの川崎フロンターレもこの活動に共感し、中村憲剛選手らが「感覚過敏」の広報VTRに出演。感覚過敏を持つ子どもたちのためのサッカー教室も開いてきた。

“わがまま”と誤解も…マスクをつけられない「感覚過敏」 “意思表示カード”で理解広める14歳の当事者

 「やはり無関心ではなく、知ろうとすること。そして知って、一歩配慮する。1人の一歩というよりも、みんなで一歩配慮するとそれがすごい大きな配慮になると思っています。少しずつですけれども裾野を広げていって、理解を促進していければと思います」(富士通 東京オリ・パラ推進本部の田中雄輝さん)

 一人ひとりが一歩知ろうとすることで広がる“支援の輪”。「意思表示」カードを作った中学生の加藤さんは、感覚過敏が“個性”として認められる日が来ることを願い、活動を続けている。

“わがまま”と誤解も…マスクをつけられない「感覚過敏」 “意思表示カード”で理解広める14歳の当事者

 「(周囲の人が)感覚過敏を知らなかったら、例えば“わがまま“だったり、“好き嫌いが多い子”みたいな捉え方をされることがやっぱり多い。“みんな違ってみんないい”、個性を認め合える考えが好きなので、僕としては最終的に、感覚過敏以外でも個性をそれぞれ認め合える社会を作りたいと思っています。『そういう感覚の過敏さとかもありだよね』『そういう人が、いろんな人がいていいよね』という、それぞれを認め合える社会にしたいと思っています」(加藤さん)

ABEMA/『ABEMAヒルズ』より)

※ABEMAヒルズでは「#アベヒル」で取材してほしいことなど随時募集中
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