「“しんどい”という認識も持たなかった」「自分が頑張らなければという一心だった」10代で進学・就職と介護の両立を迫られるヤングケアラーたち
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 少子高齢化が進む日本。“自分にとってはまだまだ先の話”だと考えている人も多い中、18歳未満で家族の介護を担う「ヤングケアラー」の存在が注目を集めている。総務省の2017年の推計によれば、家族の介護に携わる15歳~19歳の人数は、実に全国で37000人に上っているのだ。

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 成蹊大学の澁谷智子准教授は「昔から子どもが病気の親の世話をしたり、あるいは年長の子どもが年下のきょうだいの世話をするといったことはあったはずなので、最近になってヤングケアラーが増えたと言い切ることはできない。ただ、高度経済成長期以降、子どもは自分のことや勉強に時間を使うものだという考え方が定着していく中、“自分のやっていることはヤングケアラーなんじゃないか”と認識する方が増えてきている部分はあると思う」と話す。

■「“しんどい”という認識も持たなかった」

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 高橋唯さん(22)は、幼い頃から母・純子さん(50)のサポートをしながら暮らしてきた。純子さんは高校時代に交通事故に遭い、右半身麻痺や脳機能障害の後遺症がある。記憶力や注意力は徐々に低下、言葉が出てこないなど認知症に近い症状が出ているという。「お皿を汚れたまましまってしまうとか、冷蔵庫の中で何かをこぼしたままにしたり、扉を開けっ放しにしたりしてしまう」。

 中学生になると、“なんでお母さんの面倒を見なければならないんだろう”“今こうしている時間にも勉強している人はいるんだよな”と感じるようになったという唯さん。ただ、“これが自分にとっては当たり前。人に相談したところでどうにかなるものでもない”と考え、“しんどい”という認識も持たなかったと振り返った。

■「自分が頑張らなければという一心だった」

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 「自分が頑張らなければという一心だった」と明かすのは、高校生の頃から母の介護をするようになったふみかさん(29)だ。

 「脊椎が竹のように固くなってしまう強直性脊椎炎という難病で、重い物が持てなかったり、扉が開けられなかったりと、日常の家事全般ができない状況だった。私が高校生くらいの時に悪化して、ずっと寝ているような状況だった」。

 父親一人のケアには限界があり、遊びたい盛りのふみかさんもサポートに加わった。「自分が外に出られるのが申し訳ない気持ちでいっぱいだった。修学旅行に行った時にも、母を一人にしておくことが不安で、罪悪感みたいなものを感じてしまった。だから介護をして当然と思っていたし、進学先も親の介護をしながら行けるので、地元の大学を選んだ」。

 社会人になった今も悩みは尽きない。「結婚について、すごく不安を感じている。介護をしていることを明かすと、“君を支えきれない”と言われ、お別れされたこともある。一緒になってくれる人が出てくるのかなって」。

■「“自分を大切にする”という意識を」

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 宮﨑成悟さんは、突発性の難病で倒れ、常時介護が必要になった母の介護を16歳から続けてきた。「母はめまいがひどく、最初は病院の付き添いや買い物の補助などをやっていたが、僕が高校生の頃に病状が悪化して、ほぼ寝たきりの状態になってしまった。父がメイン、僕がサブのケアラーという感じだったが、父は働かなければならないので、そのうちに僕がメインになっていった。

 自分が介護をしているという認識すらなかったという宮﨑氏だが、周囲との環境の違いを感じるようになったのは、高校を卒業してからだという。

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 「母親を夜中にトイレに連れて行き、眠れないまま部活の朝練に出ていく、ということもあったが、当然のことなので、辛いとは思わなかった。介護をしているという認識も無かったので、友達にも学校にも伝えていなかったし、部活を休む時にも“母の体調が悪いので”みたいな感じで説明していた。みんなが大学や専門学校に行ったり、アルバイトや留学をしたり、サークルをやったりという中で、僕は介護があるので2年間、大学に行けなかった。まともに勉強することもできなければ、大学に入ってもサークル活動もできなかった。自分は何か違うんじゃないかと思った。やっぱり介護に時間を費やした結果、学校に行けなくなってしまったという人もいると思う」。

 大学を卒業、就職も無事にできたが、やはり介護離職のような形で転職した。以後、母のケアを続けながら支援をしている。「僕もそうだったが、家族の介護に一生懸命になった結果、周りが見えなくなっていってしまう。今になって思うのは、施設に入れるという選択肢や、他の家族に任せるという選択肢もあったと思う。やはり、“自分を大切にする”ということも意識しておいた方がいいと思う」と話した。

■「一緒になって考えてくれると感じられる、話しやすい雰囲気づくりを」

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 『週刊東洋経済』の山田俊浩編集長は「日本には、家族が責任を負いなさいという文化があって、人々もそういうものだと思いこんでいる。しかし北欧では税負担も大きい分、そういう部分を社会が一緒に担うという考え方がある。今後の日本が、どういうレベルで折り合いをつけていくのかが重要だ」と指摘。8年にわたって介護の現場でアルバイトをしていたEXITのりんたろー。「家の経済状況によって介護施設を使えない人もいるので、そういうサポートがあったらいい」と話した。

 こうした実態を受け、自治体も支援に乗り出している。埼玉県では今年3月、全国初となる「ケアラー支援条例」を制定、県内の学校などに実態の把握を求める方針だ。また、静岡県浜松市は昨年、当事者と面談を行い、実態調査と支援体制を構築することを検討している。

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 前出の澁谷准教授は「やはり“子どもや若者は、自分のことに時間やエネルギーを使えるものだ“という前提で社会のいろいろなものができているので、進学や就職などにおいて、“自分にはケアがあるし、仕方がない”と諦めてしまうことになる。そこから同世代の他の子に比べて取り残されているという気持ちになり、自己肯定感が得られないということに繋がってしまう」と指摘。

 その上で、「“言いたくないし、知られたら特別扱いされちゃうんじゃないか”“自分だけ、誘われなくなっちゃうんじゃないか”といった不安を抱いてしまい、自分の状況を他人に説明できない状況がある。この、自分の状況を他人に分かってもらう機会がなかなかないということが一番の問題だと思う。周りの大人も含めて、皆が一緒になって考えてくれると感じられる、話しやすい雰囲気づくりをすることが必要だ」と話していた。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

「親の介護をしながらでも行ける大学を選んだ」全国に約4万人もいる"ヤングケアラー"の実態は? 元介護士EXITりんたろー。と考える
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