1R 2分20秒、右に見せかけての強烈な左フックが炸裂すると、レフェリーがたまらずに割って入り試合を止めた。衝撃的なKO劇にネットでは「殺傷力やばい」といった驚きの声が上がっている。
7月21日に後楽園ホールで開催された「Krush.115」。同い年の瑠久(K-1 GYM横浜Infinity)を1ラウンドKOで退け、Krushのタイトル挑戦を猛アピールしたのは、チャンピオンを量産するジム「POWER OF DREAM」の“第3の男”・中野滉太だ。
K-1スーパー・バンタム級王者の武居由樹、K-1フェザー級王者の江川優生など、チャンピオンを輩出し続けている「POWER OF DREAM」。その三男坊として脚光を浴びてきた中野は高いKO率誇り、その強さを示してきた。
武居いわく「中野はめちゃめちゃ強い。パンチも蹴りもヒザも…強い武器が多い」と突出した格闘センスに太鼓判を押す。そのアグレッシブなファイトスタイルからついたニックネームは「足立区の野生児」。一方、“横浜の暴れん坊”こと瑠久もまた、真っ向勝負が信条だ。ともに21歳、重ねてきたキャリアもよく似た2人の対戦だった。
ゴングが鳴って30秒、この日ABEMAでゲスト解説を務めた武居が「(中野は)練習通りの動きをしているのでKOで倒してほしい」と静かに口を開くと、序盤はローキック合戦。蹴られたら蹴り返す、2人の負けん気の強さを感じさせる出だしだ。続いてパンチの攻防。中野が鋭いボディへの左、ミドル、ローと固め打ちすると、瑠久も左、ローを返した。
試合を動かしたのは中野のストレートと右フックのコンビネーション。グラついた瑠久は、たまらずコーナーに後退。なんとか体勢を立て直すが、伸びのある右ストレート、左フックを被弾。さらに中野が右フックを当てると、前のめりにヒザをついた瑠久は1度目のダウンを喫した。
立ち上がった瑠久は、目の焦点が定まらない様子。対する中野は冷静にローを入れ、そこから振り回し系の右、さらに左ストレートと畳みかけると、最後は右に見せかけての強烈な左フックをねじ込んだ。ロープに寄りかかるように崩れ落ちた瑠久を支えるように、間に割って入ったレフェリーが試合を止めた。1R 2分20秒だった。
冷静にとどめを刺す中野のキラーぶりが際立ったシーンに視聴者から「中野滉太の殺傷力ヤバイ」「砲丸投げのようなゴスンとぶつけるパンチ」「強い…」などといった驚嘆のコメントが相次いだ。
一方、解説席で「うんうん」と頷いていた武居は「もう何も言うことないです。(中野は)パワーがすごいんですよ、この階級では。いいんじゃないですか(笑)。100点に近いんじゃないですか」と話すと「練習通りの動きをしているので大丈夫だと思いました。始まる前は不安で…滉太の試合はいつも不安なんです」と、10年間寝食をともにしている弟弟子の勝利を心から喜んだ。
4月から延期続きだった瑠久戦を“完全決着”で勝利した中野は「そろそろタイトルマッチかなと思っています」と佐々木大蔵の持つKrushスーパー・ライト級王座への挑戦へ名乗りを挙げた。