「コロナ禍の中、“望まない妊娠”で困っている子がたくさんいる」…バービー&EXITも疑問を呈する日本のアフターピル処方、性教育
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 緊急避妊薬について取り上げた29日放送のNHK『おはよう日本』の中で、日本産婦人科医会の前田津紀夫副会長が「日本では若い女性に対する性教育、避妊も含めて、ちゃんと教育してあげられる場があまりにも少ない」「“じゃあ次も使えばいいや”という安易な考えに流れてしまうことを心配している」と発言。これに対し「性教育は男女ともに必要だ」「避妊を怠る男性に原因がある」といった厳しい意見が出ている。

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■日本の「アフターピル」を取り巻く環境

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 今回話題になっている「アフターピル」と呼ばれる緊急避妊薬は、性暴力、避妊をしない性交渉、間違った知識の避妊などで起こる「予期せぬ妊娠」を避けるためのものだ。性交後なるべく早く、特に72時間以内の服用が有効とされていることから、世界約90カ国で薬局での購入が認められている。

 ところが日本においては「安易な販売は悪用や濫用の懸念がある」「避妊具の使用が減り性感染症のリスクが増大する」「薬局・薬剤師の知識で個別対応できるとは思えない」といった理由から、医師の診療、処方箋が必要で、特に未成年にとっては入手のハードルの高さが問題とされてきた。また、新型コロナの流行による休校・自宅待機が始まった3月以降、未成年からの妊娠相談が急激に増えているという。

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 そこで番組の放送に先立つ今月21日、こうした状況の改善を求める要望書を6万7000件超の署名とともに厚生労働大臣に提出したのが、「緊急避妊薬を薬局でプロジェクト」共同代表で、産婦人科医の遠見才希子医師だ。

■「コロナ禍の中、困っている子がたくさんいる」

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 『おはよう日本』にも出演した遠見医師は「困っている女性目線というよりは、安全を重視する医療者としての発言ではないか。ただ、女性の健康や権利を最優先に考え、適切な医療や情報を提供しなければならないのが産婦人科医だ。にもかかわらず女性に非があるような印象を与えるような発言をしてしまったのは、同じ産婦人科医として残念だ」と話す。

 「入手するためのハードルを上げているのは専門家団体なのではないかという気がしている。価格を高めに設定しているのも悪用を避けるためだという話を聞いているが、それがSNSや個人輸入を経由して安全性が担保されていない海外の薬を使ってしまうことにつながっている。薬局に置かれていないために、安易に“中出しできる薬“というような認識も広まってしまっている。コロナ対策の一つとしてアフターピルへのアクセスを確実にしなさいと国際機関が提言しているくらいだ。コロナ禍の中、困っている子がたくさんいる。早急に進めて欲しい」。

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 同じくプロジェクトの共同代表を務め、番組にも出演したNPO法人「ピルコン」染矢明日香理事長は「これまでも会議で同じような発言を聞くことがあったので、いつものことだな、という感じで受け止めていた。ただ、SNS上で“不当な扱いだ”と物議を醸したことで、結果として前に進むのではないかと励まされた思いもある。今後、検討会の場にいかに食い込んでいくかが課題だ」と指摘した。

 しかし、課題はそれだけではない。前田副会長が指摘したように、日本においてはアフターピルについての知識を得る場所が少なく、学校現場での教育も不十分なのだという。

■「高校の保健体育の教科書にも出てこない」

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 ピルコンが4000人以上の高校生にアンケートを採った所、「避妊に失敗した時、72時間以内に使える緊急避妊薬がある?」との問いに対し、不正解が11%、分からないが68%に上ったというのだ。

 「高校の保健体育の教科書にも出てこないし、ネットで調べられる子は、まだリテラシーが高く、多くの場合、どうしていいかも分からないまま、次の生理が来るのを待っている、というケースが多い。やはり“子どもが性行為をするのは良くない”、という考えが根底にあり、具体的に教えることが性行為を促進してしまうのではないかという懸念から、慎重になっているとされる。しかし、幼い時期から年齢に応じて繰り返し教えていくことで、むしろ性行為に慎重になるというのが国際的なスタンダードだ」(染矢氏)。

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 実際、ユネスコによる「国際セクシュアリティ教育ガイダンス」(5~12歳)を見てみると、9~12歳で「妊娠の主な特徴や確認方法を理解する」「性交しないことが意図しない妊娠を回避する最も効果的な方法であると共に、コンドーム等の避妊法は妊娠の予防に役立つことを理解する」といったことを教育指針として盛り込んでいる。また、欧米の学校現場でも、緊急避妊薬について早い段階から学べるようになっているという。

 「日本でもHIVが蔓延した1980年代には盛り上がったが、2000年代初めには性教育やジェンダーフリー教育へのバッシングもあり、停滞してしまった経緯がある。近年、性暴力の予防の教育やLGBTの教育の中で盛り上がってきてはいるが、国際的なスタンダードから比べれば、まだまだ少ない」(染矢氏)。

■「“まだまだ早い”なんて言っている大人は時代遅れじゃないか」

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 アフターピルの問題について自身のTwitterで発信を続けている、お笑いコンビ・フォーリンラブのバービーは「去年の緊急避妊薬の検討会でも、医師から“若い女性が悪用するかも”という発言があった。しかもその検討会には女性がたった1人だけ。やはり権威があり、決定権を持っている男性たち、アフターピルを現実に必要としている女性たちの間にはものすごい距離があると思う。そういう中で起きてきたのが、今回の署名活動だ。話題になってくれてよかったと思う」と話す。

 「欧米の性教育のベースにあるのは、自分の体と相手の体を尊重しましょうという考え方であって、いやらしいことではない。一方、日本の性教育では卵子と精子が受精するところから話が始まるので、挿入については一切触れない。そうやってぼかすことで、かえっていやらしいものだというイメージになってしまっていると思う。この、挿入の部分を隠したい大人や政治というハードルを超えるために、私も発信しなくてはいけないと思っている」。

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 EXIT兼近大樹は「アフターピルが簡単に手に入らないものだと知ったのは、このニュースがきっかけだった。我々男性の意識というのは、そのくらい低いと思う。まずはアフターピルをしっかり使えるようにしてから、男女ともに性教育の方をしっかりやっていくというふうにしなければならない」、りんたろー。は「最も守らなければならないティーンの手に届きにくいというのが謎だ。そして、好きな人と安心に安全に性交渉をするためにも、正しい知識を教えていくことが必要だ。これだけデジタルが発展しているし、バンバン情報が入ってきちゃうのに、正しい知識の方を遮断して“まだまだ早い”なんて言っている大人は時代遅れじゃないかなと思っちゃう」と話していた。

 遠見医師も「もちろん女性の体のことは女性が決められるというのが大事だが、妊娠は男性もいなければ成立しないもの。私たち女性がどれだけ必要だと言っても届かない以上、男性の意見が大事だ」と話していた。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

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