将棋指すより難しい?タイトル経験者・中村太地七段、YouTubeの再生数に悩む「頑張った目隠し二面指しが…」
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 盤面を見ずに将棋が指せるプロであっても、YouTubeという未知の領域には悪戦苦闘だ。王座のタイトル経験もある実力者・中村太地七段(32)が、6月末に開設した自身のYouTubeチャンネルで、いろいろな動画を公開している。まさにトップ棋士というようなタイトル戦の展望を語ったものから「利き茶」、さらには私物の紹介など、角度の異なる手を繰り出しているが、どうやら自分の「頑張り具合」と再生回数がマッチしていないと悩んでいるようだ。7月28日、ABEMAの将棋中継に出演した中村七段が、その赤裸々な思いを語った。

▶動画:YouTubeチャンセルを解説した中村太地七段

 中村七段がチャンネル開設したのは6月末のこと。記念すべき1本目の動画は6月27日にアップされた。今年に入って、新型コロナウイルスが感染拡大し、将棋界も大打撃。公式戦が延期、中止になっただけでなく、普及の面で大きな役割を果たしていたイベント、指導対局といったものも激減し、「オンライン指導対局」など形を変える必要に迫られた。ただ、この機会に若手だけでなくベテラン棋士までがSNSデビュー、さらにはYouTubeのチャンネルを続々と開設。大物という点では、永世名人の有資格者である森内俊之九段(49)のYouTube登場も将棋ファンの間で大きな話題となった。

 普及活動に熱心な中村七段は「『観る将』の方へのガイド的なチャンネルです。観戦のお供になればと。藤井聡太棋聖の影響で、ライトなファンがたくさん来ていただいていますが、さらに将棋界に少し深く入っていただきたい」とチャンセル開設の理由を述べた。まさに試行錯誤でのスタートといった具合だが、今の悩みは自分が考える「頑張り具合」と、再生回数が合わないことだ。

 最たるものが、渾身の力作「目隠し将棋の二面指し」だった。目隠し将棋とは、対局者が盤面を見ないまま「2六歩」「7八金」といったように、符号だけでやりとりし、対局を行うというものだ。9×9=81マスに配置された駒が移動する様子を、全て記憶していなければならないという神業だ。公開イベントなどでも、棋士が次々と間違えずに進める様子に盛り上がるという“鉄板ネタ”でもある。

 この目隠し将棋を、同時に2人と対局する「二面指し」ともなれば、まさに人外の離れ業とも言うべきで、話を聞いていた屋敷伸之九段(48)も「すごいです。人間業ではないですよ。私は全然できません」と称賛したが、当の中村七段は「全然伸びなくて…」と困り顔。一方で、私物のバッグの中身を公開したところ、その数倍もの再生回数を記録。「意外な動画が伸びて不思議なもんだなと。日々勉強です」と笑った。

 将棋そのものの研究に比べれば、まだまだ未知の領域がたくさんある「将棋YouTube」の世界。中村七段のチャンネルからも、近い将来“バズる”動画が誕生する?

(ABEMA/将棋チャンネルより)

自身のYouTubeについて語る中村太地七段
自身のYouTubeについて語る中村太地七段