まもなくお盆休みに突入する中、西村経済再生担当大臣は2日、お盆の帰省について「家族旅行はやってもらっていいが、実家に帰るとなるとお年寄り、高齢のおじいちゃんおばあちゃんもおられるケースもあるので、慎重に考えないといけない」と述べた。今週中に新型コロナ対策分科会を開催し、移動の際の注意事項や対策を議論し発表するとしている。
「GoToキャンペーン」もあり帰省を迷う人も多い中、明星大学准教授で臨床心理士の藤井靖氏は「迷うほど結論はゆがみやすい」と指摘する。
「今は国、社会の情勢が非常にあいまいでちぐはぐな状況。その中で我々がいろいろな情報を受け取って判断する時に、自分の中で迷えば迷うほど判断の基準を外的なものに求めやすくなるため結論はゆがみやすいということがある。この時期『お盆だから帰省しようかな』『GoToを使えば安く済むけど感染のリスクはあるよな』などといろいろ考えると思うが、これらは『お盆は実家に帰るもの』『せっかくの夏休みはどこか出かけた方がいい』という前提や考えに実は縛られている。自分が決めているというよりは、結果的に見ると決めさせられている行動であることの方が多く、それを自覚する必要がある」
また、自分の行動を決めるに当たり「妄想の必要性」を指摘。「最悪の事態として、例えば自分が感染あるいは感染させてしまう両方の可能性がある。また、出先でクラスターに巻き込まれる可能性もある。あるいは予期しない3密環境や、消毒が十分ではない場所に直面するかもしれない。夏休みだから出かけてみようという時に、考えられうるネガティブな見通しや不安に大袈裟なくらい正直になって、いろいろなリスクがあることを自分自身で受け止めてみようということ」と勧めた。
その上で、「普段乗っている環境や国の動きや流れに決められるということではなく、自分自身がコントロールしていく側になること。誰もが正解と思える判断はなかなか存在しないからこそ、“自分で決められる人になる”という心理的転換は必要だろうと思う。どんな時間の使い方であれ、真に自分が主体的に決めた決断であれば不満やストレスは少なくなる。感染者数も日々増減あるが、例えば東京で200人300人と聞いてだんだん我々の感覚も麻痺してくる。心理学で『アンカー効果』というが、これが正に結論がゆがむひとつのスタートになるため、注意が必要」と述べた。
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