感染急拡大の沖縄 米軍基地、離島といった特有の問題も 医師「秋・冬の本格的な波が怖い」
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 観光シーズンを迎えた沖縄県で、新型コロナウイルスの新規感染者が急増している。直近のデータでは人口10万人当たりの新規感染者の割合が東京を上回って全国最多となっており、県では今月1日から15日までを期間とする独自の緊急事態宣言を発令。有名観光スポットなどが次々に閉鎖され、普段は観光客で賑わう国際通りも人がまばらだ。

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 最前線で患者の治療に当たる傍ら、県への提言も行っている群星沖縄臨床研究センター長の徳田安春医師は「当初は米軍基地内での大規模なアウトブレイクだったのが、県民への2次感染が起きたことが確認されている」と話す。

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 「7月4日のアメリカ独立記念日には基地の内外で多数の軍関係者が参加したパーティーなどが開かれた。その中には県民や旅行者も入っていた。米軍の方々は若くて体力もある方々なので、ほとんどが軽症、無症状。感染に対する恐怖心が少ないということがきっかけになったと思う。実は、基地内でどれくらいの検査が行われ、どれくらいの陽性率だったのか、といった情報はいまだにオープンになっていない。感染者の行動歴も不明だ。つまり、基地の外に出て2次感染があった場合、濃厚接触者も分からないわけだ。その結果として、県内に経路不明の陽性者が増えているということだと思う」。

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 ジャーナリストの堀潤氏は「やはり米軍関係者が基地から自由に出入りできてしまっている。普天間基地を取材させてもらった際に、若い隊員たちは海兵隊員としての適正を見られるために沖縄に送られてくるという話を聞いた。つまり、若者たちにいかに社会性を身に付けさせるかが任務なのだと。やはり米軍に対して日本政府がどれだけ要求ができるかだと思う」と指摘する。

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 さらに徳田医師は「これに加えて、Go To トラベルの影響があったと見ている。感染が収束してから実施するという前提だったのが、感染拡大が始まる中でスタートさせてしまった。また、これは日本全国どこにでも言えることだが、第1波の時は欧米と比べて感染者数が少なかった。それが油断につながり、徹底した検査を行って封じ込める作戦を行うという方向に行かなかった。検査を拡充させ、感染のホットスポットとなっているところを見つけ、封じ込めに行くというアジアで成功したモデルがある。これを取り入れて、日本ならではのやり方でやって欲しいと思う」とした。

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 医療体制の不安もある。玉城知事は2日、「医療提供体制は逼迫した局面にある。病床が大幅に不足している状態だ。看護師、または保健師として働いた経験のある方、即戦力として協力していただける方々には、ぜひ現場復帰をしていただき、この状況にある沖縄県を助けていただきますよう心から協力のお願いを申し上げる」と呼びかけている。

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 徳田医師は「重症の使用率は0.7%なので、大部分は軽症者だ。法律で指定感染症になってしまったがために、原則入院ということになった。途中から軽症者に関しては宿泊施設でもよいという形になったが、宿泊施設の確保が追い付かないくらいに急速に感染が拡大しているということだ。場合によっては、自宅での療養も必要になってくると思う。また、沖縄の場合、離島の病床確保・感染者の運搬も重要だ。宮古や石垣島でも大きな病院は少ないし、西表島のような島でも診療所が2つという状況だ。こちらも水際で検査をして、陽性者を待機させるような仕組みを導入することが求められると思う」と説明。「秋・冬の本格的な波が怖い。そこを乗り越えるためにも、この出口戦略で良かったのかというのを見直して、皆で一致団結して運動を起こした方がいいと思う」と訴えた。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

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