「任期中の妊娠・出産は“職務放棄”」若手の女性議員として感じた“永田町の壁”に挑む鈴木貴子氏に聞く
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 イギリスや中国で取り入れられている議会のオンライン化、また女性の働き方など、国会、社会の改革を目指す自民党の若手議員が立ち上げた「コロナを機に社会改革プロジェクトチーム」。

・【映像】自民党・鈴木貴子議員に聞く なぜ国会は開かない?

 メンバーの一人が、維新所属の鈴木宗男参議院議員(72)の長女で、現在は自民党副幹事長も務める鈴木貴子・衆議院議員(34)だ。カナダの大学を卒業後、NHKに入局。2013年、27歳で衆院選に初当選。2016年に結婚し、現在、2児の母でもある。

■“なりたくなかった”マスコミ、政治家に…

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 そんな鈴木議員だが、実は高校時代に「なりたくない」と考えていた職業がマスコミ、司法、そして政治家だったという。

 「最も多感な15、16歳の時に、いわゆる“宗男騒動”、“宗男バッシング”があり、どうしてマスコミは事実を伝えてくれないんだと悶々として、世の不条理さを感じた。ただ、就職先を探す中で、私以上に事実を伝えることの重要性、必要性を感じている人間は他にいないんじゃないだろうかと考え、そのフレーズと共に最終面接に挑んだ。3年あまりで政界に転身してしまったので中途半端になってしまったかもしれないが、非常にいい経験をさせていただいた。“大変な上司”にも恵まれたので、それを糧に、今は働き方改革にも取り組んでいる」と苦笑。

 その上で、最近のマスコミ報道について「感染者が増えていることについては緊張感を持って見ていかなければいけない数字だと思っている。一方で、ニュース速報では日々の感染者数だけが出てくるのはどうか。国民の皆さんに状況を正しく理解して頂くためにも、例えば年齢別の構成、背景、重症者数なども含めたパッケージで示していくことが重要ではないか」と注文を付けた。

■「任期中の妊娠・出産は“職務放棄”」若手の女性議員として感じた“永田町の壁”

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 鈴木議員は出産を公表した際、「職務放棄だ」「一旦、辞めろ」とも言われたことがあったという。

 「第一子の時のことだが、どのタイミングで言うのが正しいのかが分からず、妊娠した事実を公にしていなかった。そういう中で切迫早産だと診断され、入院してくださいと言われてしまった。そこで、東京と地元との行き来もできなくなるということも含めてブログ書いた。すると、一般の方から“衆議院はいつ解散総選挙があるか分からない。任期中に妊娠するのは職務放棄だ”というご意見を頂戴した。家族からは“反論しても同じような意見が来るだけだから黙っていろ”と言われたが、世の中に同じような経験をしている女性がたくさんいるんじゃないかと思い、翌日、妊娠、出産、育児をしながらの議員活動というのは、議員活動をおろそかにする、中止するということではないんだ、あくまでも両輪で回していくんだと説明のブログを書いた。独身の時には“お前、いつ結婚するんだ”と言われる。結婚したらしたで“いつ子どもを産むんだ”と言われる。そして妊娠すると“職務放棄か”と。ため息の出るような経験だった」。

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 現状では、衆議院議員の女性比率は1割。「何かを訴えても、1割の声でしかない。これを3割まで持っていくともっと可視化される。そういう意味で女性議員を増やしていくということが議論の多様性につながっていくと思う」。

■「オンラインでも議決権を担保できる仕組みを」

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 そこで鈴木議員が訴えるのが、オンラインでも議決権を担保できるという仕組みづくりだ。

 「3月中旬に“コロナを機に社会変革プロジェクトチーム”を立ち上げ、緊急提言をした。その第1弾が、不測の事態が起こっても国会審議が止まらないよう、例えばオンラインを使った国会運営だ。我々としては、あえて“ハイブリッド国会”と呼んだ。また、"原則は出席が必要だ。しかしながら、コロナ禍において、時限的にオンラインも並行して使っていくべきではないか”という言い方もしている。“オンライン国会”などと言ってしまうと、すぐに叩かれてしまうからだ。これに併せて、中長期的には女性議員の妊娠・出産時における議決権の担保として、例えばオンラインを使った遠隔投票制度について議論をしてみないかと訴えた。例えばダイヤモンド・プリンセス号に乗り込んで対応に当たった副大臣と政務官は自主隔離をした2週間、国会に出て来られなかった。あくまでも公務に限ってだが、本会議欠席の際の議決権を担保すれば、大臣、副大臣、政務官などが海外でのトップセールスに行ったり、国際会議に出席したりしやすくなる。これを衆参両院の議運委員長、党内の政調会長などに持っていった」。

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 政府の審議会委員なども務める慶應義塾大学の夏野剛・特別招聘教授は「経験上、自民党の年配の議員は子育て世代の議員と見解が違うと感じる事が多い。60歳以上の女性議員の中にも、“女性を甘やかしちゃいけない”などと言う人もいる。男性議員にも、“でも国民はこう思ってるから…”と抽象的な言い方をして反対する人もいると思う。やっぱり“この代議士に言われた”と名前を出して、国民に対して説明しなければならないようにしなければいけない。民間企業のセクハラもパワハラも、“あの人、そんなことをして処分されたんだ”ということで変わっていった。デジタルに反対している議員の名前も挙げるべきだ。このご時世に、“オンラインのことなんてよくわからない”と言うようなリーダーはいらない」と訴えた。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

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