プロレスリング・ノアのGHCヘビー級王者・潮崎豪が過酷な連続タイトルマッチに臨む。

(拳王のダブル王座戦要求に「覚悟を感じた」と潮崎)

 潮崎は8月5日に開催された、旗揚げ20周年の後楽園ホール大会に出場。メインで丸藤正道を下し、3度目の王座防衛に成功した。

 1月のベルト獲得以来「I am NOAH」を旗印とする潮崎。ノアを離れた時期もあり、紆余曲折を経ての戴冠だっただけに、この言葉へのこだわりも強い。

 対する丸藤は旗揚げメンバー。20年間つねにノアを守り、支えてきた。挑戦表明の際には「I am REAL NOAH」という言葉で己のプライドを示した丸藤は決戦前日、4日の後楽園大会でもオリジナル技パーフェクト・キーロックで潮崎に勝利している。

 チャンピオンにとっては追い詰められた状態。しかし、だからこそ潮崎は本領を発揮してみせた。

 久々のシングル王座挑戦、しかもノア20周年の“顔”を決める闘いに、丸藤は異名通りに“天才”ぶりを炸裂させる。鉄柱も使うシビアな腕攻め、エプロンでのパイルドライバー、飛び技に加え得意技の不知火は正調バージョンだけでなく前方回転式、雪崩式でも。さらにトラースキック、アゴを突き上げるヒザ蹴り「虎王」。オールラウンドかつ独創的な攻撃の数々で、丸藤は主導権を握り続けた。

 耐えながらチョップで反撃するチャンピオン。逆水平チョップの打撃音と迫力は、「声出しNG」の会場でも、観客から思わず声が漏れるほどだ。だが丸藤も打ち返す。潮崎はひたすら耐え、返し、そのことで“凄味”を感じさせた。圧倒的なタフさ、“受け”への自信。それがノアの真骨頂と言ってもいい。

 パーフェクト・キーロックはロープに逃れ、新技「真・虎王」をもカウント2で返した潮崎は三沢光晴の必殺技エメラルドフロウジョンを繰り出すとラリアット、そして最後は小橋建太から受け継いだムーンサルト・プレス。互いの奥の手を出し合うギリギリの攻防は、潮崎が上回った。インタビュースペースでのチャンピオンは、こんな言葉を残している。

「相手の引き出しをすべて受けて、それでなお立ってるのがGHCチャンピオン」

 受け切って勝つ。その姿はノアのベルトを巻く者にふさわしかった。まさに「I am NOAH」である。

 試合後には、次のタイトルマッチが決まった。リングに上がってきたのは拳王。前日の後楽園で潮崎のタッグパートナーである中嶋勝彦を下し、GHCナショナル王座を戴冠していた。

「プロレスリング・ノアに一番強い奴は2人もいらねえだろ。俺のベルト、そしてお前のベルトをかけて、正真正銘、一番強い奴を決めようじゃねえか」

 そうアピールした拳王に、潮崎も応える。

「よしやってやるよ! 横浜文体、そのベルトもってこい!」

 史上初、GHCヘビー級とGHCナショナルのダブルタイトル戦だ。反体制ユニット・金剛を率いる拳王が見ているのはトップだけ。潮崎としても、王座を盤石のものとするためには拳王は避けて通れない。

 舞台は潮崎が指定した、8月10日のビッグマッチ、横浜文化体育館大会。拳王は日本拳法で培った強烈な打撃を武器とする。潮崎との対戦が蹴りvsチョップ&ラリアットの“撃ち合い”になることは間違いない。そしてどちらが勝つにせよ、相手の攻撃を受け切ったほうが2つのベルトを巻くことになるだろう。

文/橋本宗洋

写真/プロレスリング・ノア

プロレスリング・ノア20周年記念NOAH the CHRONICLE vol.3 | 【ABEMA】テレビ&ビデオエンターテインメント
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