プロレスリング・ノアのビッグマッチ、横浜文化体育館大会(8月10日)に向けた記者会見と調印式が8日に行なわれた。
HAYATAを相手にIPWジュニアヘビー級王座の防衛戦を行なう原田大輔、GHCヘビー級とGHCナショナルのダブル王座戦で対戦する潮崎豪と拳王、さらにスペシャルシングルマッチで激突する武藤敬司と清宮海斗も会見に出席。大一番に向けての意気込みを語った。
ノアの新時代を象徴する存在、清宮は自らアピールして武藤との対戦を決めた。ここまで6人タッグ、タッグでの闘いでは劣勢。だからこそ一騎打ちに気合いが入っている。
「闘うたびに武藤さんの偉大さに触れて、その領域にもっともっと踏み込みたいと思うようになりました。この試合はプロレス界のナンバーワンになるために踏み込まなきゃいけない領域の闘い、天命の闘い」
そう語った清宮。対するレジェンド・武藤はヒザの手術以来、久しぶりのシングルマッチとなる。それだけに「俺なりにいろいろ不安もある。若干オーバーワークぎみ」というほどの練習に取り組んできた。
この一戦は、清宮がさらに大きく飛躍するための試練ともいえる。そんなテーマを武藤も理解しているからこそ、手を抜くつもりはない。
「試合が終わった後、清宮の心が折れてるかもしれない。その時は“ごめんなさい”ですね。叩き潰しにいくこと(団体からの)要求じゃないか。この試合が組まれたのは彼に対する期待感があるからだと思う。誠心誠意、潰しにいきます」
そんな武藤の威圧感、オーラは、これまでの対戦でも十分に味わってきた清宮。「俺の心は折れません」ときっぱり言うと「作戦については余念がないです」とも。武藤からは「勝ちパターンはあるけど、若い選手は想定外のことをしてくる可能性がある。そうなったら怖い」というコメントもあり、武藤のプロレスセンスを清宮がどう超えていくかもポイントになりそうだ。清宮曰く「試合は想定外のことが起きるもの。一つ一つの闘いに集中していけば、そのタイミングは来ると思ってます」。
また、この8.10横浜大会ではZoomを使った観戦企画も実施。ファンがZoomを通して試合映像を観戦、応援する姿がスクリーンに映し出される。この企画には小橋建太さんも参加、当日は会場スクリーンのZoom画面から小橋さんが闘いを見つめることになる。
会見に映像でコメントを寄せた小橋さんは、出場選手にエールを送りつつ「武藤さん……は応援しなくていいか」。これに武藤も「俺のことは応援しないらしいんで意識しないでやりますよ」と笑わせた。対照的に清宮は「お客さんの存在を体感できるのは素晴らしいこと。リング上から(Zoom画面を)見ちゃうと思います」。清宮としては、ファンの力も味方につけて武藤という巨大な存在に挑みたい。
メインイベントのダブルタイトルマッチに関しては、ファンの意見も賛否両論。GHCナショナル王座は昨年できたばかり、拳王もタイトル奪取の翌日に2冠戦をアピールしており、会見では「時期尚早との声もある」という質問が。しかし拳王は「賛否があるのは当然。だがそれくらいの行動をしないと、今より早い歩みには変えられない。否定の意見をすべて肯定に変える気持ちでやる」。ノアの流れを「超特急に変える」ために潮崎との対戦を望んだという。
対する潮崎も「ダブルタイトルマッチは初めての試み、挑戦になる。賛否を超える闘いを見せるだけです」
なお、両者とも、勝った場合の王座統一は考えていないという。GHCヘビー、GHCナショナル、それぞれに個性があるだけに、それを活かした活動をしていきたいという考えだ。拳王は「オレがベルトを巻いたほうが選択肢が多い」とも。
いずれにしてもノアの真のトップを決める闘い。どちらかが2つのベルトを巻くことで、ノアの風景も変わるだろう。20周年のノアは、大きな変化の時を迎えようとしている。