「人はアホだから境界を作る」チームラボ猪子代表が描く“ボーダレス” コロナ禍の次なる仕掛けは? 時間の概念を覆す“マニアックすぎる”作品を解説
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 米TIME誌が選ぶ「世界で最も素晴らしい場所」(2019年)に選ばれた、「森ビル デジタルアート ミュージアム:エプソン チームラボボーダレス」。「チームラボ」の作品といえば、アートとテクノロジーの掛け合わせ。“アートを全身で感じる”という新しい体験が魅力の1つとなっている。

【映像】チームラボのアートの数々

 彼らが作る独自の世界観は各国からの注目の的だ。海外セレブもミュージアムを訪れ、ウィル・スミスは「アートとテクノロジーの融合が刺激的だ」、ミランダ・カーは「今までで一番夢のような時間だったわ」と大絶賛した。

「人はアホだから境界を作る」チームラボ猪子代表が描く“ボーダレス” コロナ禍の次なる仕掛けは? 時間の概念を覆す“マニアックすぎる”作品を解説

 「この世界っていうのは連続的なんだけど、人は認識する時に切り取って認識する。だから、認識が境界を生んでいる。例えば、地球と宇宙に境界はないんだけど、地球って言った瞬間に境界を作って切り取る。だから言葉にするというのは、人間が意識によって境界を作り、切り取っている。境界を作って切り取らないと人は理解できない。なぜなら多分アホだから。アホだから境界を作り認識する」(チームラボ・猪子寿之代表)

 「作品と作品」の境界をなくし、「作品と鑑賞者」の境界もなくす。そんな「ボーダレス」の哲学について、6日の『ABEMA Prime』は猪子氏に直撃した。

■SNS映えにとどまらない新作アート

 SNS映えだけにとどまらない、チームラボの新作アートを見ていく。

・「捕まえて集める森」(チームラボフォレスト/福岡)

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 お笑いコンビ・EXITの2人も、福岡にある「チームラボフォレスト」をCM撮影で訪れたという。ここで展示している「捕まえて集める森」は、アプリのカメラで壁にいる動物に矢を投げ、命中し捕まえると壁から動物が消え自分のスマートフォンに入るというもの。

 体験した兼近大樹は「これはすごくて、矢で捕まえると情報が全部出る。いろんな動物を捕まえ続けてコレクターみたいにできるので、子どもが喜ぶポケモンみたいな。そういう子どもも楽しめるような情報が入っている」と話す。

 猪子氏は「これは結構新しくて。行かないと全然伝わらないと思うが、結構変な感覚で、実際に携帯に映っているものに空間が変化する。いわゆる人工知能みたいなもので、いま携帯が何を見ているかを常に把握して、カメラが見ているものに反応する」と説明した。

・「質量のない雲、彫刻と生命の間」(teamLab SuperNature Macao/ベネチアン・マカオ)

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 コロナ禍で作ったという作品「質量のない雲、彫刻と生命の間」。猪子氏は次のように話す。

 「白い塊が、地面でもなく天井でもなく間の中空に浮いている。普通は軽いと天井にいくし重たいと沈むが、空間の途中に浮き続ける。エネルギーから見た時に生命だけすごく特異で、本来宇宙の全てはエントロピーの法則に従って崩れていくが、生命だけがこの法則に反している。ただ、エントロピーの法則に反するようなことは生命以外でもあって、ウイルスが生命と生命じゃないものの中間にあるように、実は生命と生命じゃないものも連続的かもしれない。このエントロピーの法則に反する場を作ると、突如白い巨大な塊が浮き上がってきて、中空で浮き続ける。人が入ると塊は割れるが、自分で治って穴が塞がっていく。まるで生命のように不思議な、おかしい状態だ。重力から見てもおかしいし、白い塊のまま居続けるというのもおかしいし、そういう彫刻を作った」

 エントロピー増大の法則とは、宇宙の大原則として「秩序があるものはその秩序が崩壊される方向にしか動かない」というもの。例えば、お湯は時間が経つと冷め、熱さを保つことができないといったことだ。

 また、EXITのりんたろー。が「チームラボは映像をいろいろなものに映し出すイメージがあったが、こういうこともやるのか」と話すと、猪子氏は「今までは光で塊を作ろうとしたりしていたが、これはもう少し何か違ったエネルギーを作ることで塊にした。根本的には、何か自分との境界がないような塊、彫刻みたいなものをいつも作りたいと思っていて、今回はたまたま白い塊を作った」と答えた。

・「フラワーズ ボミング ホーム」

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 コロナ禍の今だからこそ作ったという、場所の境界を越えた作品「フラワーズ ボミング ホーム」。6日に公開されたばかりだ。これは、世界中の人々が描いた花が1つの作品となるもの。紙に花を描いて写真を撮ったり、スマートフォンやPCで花を描いたものをアップロードすると、世界中のテレビでその花が咲く。

 この作品を通して伝えたいメッセージについて、猪子氏は次のように話す。

 「今自分の花が咲いている瞬間は、世界中のテレビでも同じように咲いている。家にいないといけないようなタイミングだったり時期だったりしても、世界と繋がっている。直接ではしないかもしれないが、世界のいろいろな人たちと連続的に繋がっていることが祝福されるような作品を、家にいても体験ができたらいいなと思った」

 また、テレビ朝日・平石アナウンサーからの「作品の中であえて言葉を使わないようにしているのか。世界の人が見ただけ、触っただけでわかる状態にしているのか」との質問には、「元々言葉で説明するとかがあまり好きじゃない。だから自然と」と話した。

・「The Sculpture of Time Distortion in a Mirror」(teamLab Borderless Shanghai/上海)

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 時間という概念に疑問を投げかけた作品「The Sculpture of Time Distortion in a Mirror」。女性と光の塊、奥の鏡に写った女性はそのままだが、鏡に写った光の塊だけ時間の流れが遅くなる。

 これは上海での作品展示だが、海外の人の反応について猪子氏はこう漏らす。

 「マニアックすぎて誰も気づいていない(笑)。他の作品が派手なので、誰もこれについて触れてくれない。自分の中では時間を狂わせたぐらい、人類の歴史に残る発明をしたつもりなのに、誰も触れてくれないから寂しくなった。誰も上海に行けないからここで喋ってもしょうがないが、言いたかった」

■チームラボが進める都市開発、「パーソナライズドシティ」とは

 チームラボはこれまで、芸術の都・パリやハイテク企業の聖地・シリコンバレーで展示会をし、世界各国で高い評価を受けてきた。そんな中、未来都市とも言われる中国・深センで都市開発を進めているという。

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 新しい都市のコンセプトは「パーソナライズドシティ」。デジタルテクノロジーとアート、公共物をかけ合わせた「パブリック(公)とパーソナル(個)が共存できる都市」だ。

 シンガポールのマリーナベイ・サンズで展示中の作品「Digtal Light Canvas.」をもとに、猪子氏は次のように説明する。

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 「人が歩いてくと足元から書が描かれていく。自分は書いているが、はたから見るとパブリックなアートとして成り立っている。実はここで結婚を祝ったり誕生会を祝ったりできる。誕生日の人の名前を打つと、足元から出る書がその人の名前の字を書く。その人からすると、公共の場所を個人利用しているが、全然知らない人から見ると名前を書かれているとは気付かなくて、パブリックな場所にアートがある感じになる。都市における公共な場所は、実はアートとテクノロジーによってすごくパーソナライズ化していくことが可能な時代になっている」

 また、深センの都市開発についても見てみる。2023年に完成予定の「Crystal Forest Square」のイメージ映像を見ながら、猪子氏はこう話す。

「人はアホだから境界を作る」チームラボ猪子代表が描く“ボーダレス” コロナ禍の次なる仕掛けは? 時間の概念を覆す“マニアックすぎる”作品を解説

 「公共の場所が1個のアート空間になっていて、ここで待ち合わせをしたり散歩をしたり、結婚式を挙げるとかパーソナルな使い方もできる。この都市は、何かをいつもセレブレートしてくれる都市で、記念日にこの街にいると街全体が個人的なお祝いをしてくれる。ただ、お祝いしていることを他の人はそんなに気にならない。アートであり続けることによって、公共性を維持する」

 このコンセプトに慶應大学特任准教授の若新雄純氏は「レストランとかでご飯を食べていて、隣のグループが『ハッピーバースデー』ってやっているような時。あれはちょっと嬉しいような早く終わって欲しいような気持ちだが、テクノロジーでその限界を超えている」と感想を述べる。

「人はアホだから境界を作る」チームラボ猪子代表が描く“ボーダレス” コロナ禍の次なる仕掛けは? 時間の概念を覆す“マニアックすぎる”作品を解説

 猪子氏は「誕生会が他者にとってアートであるならば許せる。公共物をテクノロジー化することでシェアリングされる。パーソナルなことがアートの力によってもう1回パブリックになるようなコンセプトを作って、深センでやっていた」と話した。

■猪子氏「少しでも分断ではない方向に価値観が進めば」

 チームラボはミュージアムや都市開発だけではなく、実はラーメン屋の演出もするなど国内外で幅広い活動をしている。チームラボは今後どこへ向かうのか。

「人はアホだから境界を作る」チームラボ猪子代表が描く“ボーダレス” コロナ禍の次なる仕掛けは? 時間の概念を覆す“マニアックすぎる”作品を解説

 猪子氏は「いろいろな作品を作っていけたらいいなと思うし、今は世界中に行けないが、いずれコロナが落ち着いたら世界中に行っていろいろなものを作っていけたらいいなと思う。それを通して、少しでも何か世界が連続していること、もしくは自分が他者と連続していることが美しいと思うような体験を作れたら。少しでも分断ではない方向に価値観が進めばいいとほんの少し思う」と話す。

 チームラボが手掛ける主な国内展示には、東京・お台場の「チームラボボーダレス」、東京・豊洲の「チームラボプラネッツ」(2022年末まで)、福岡の「チームラボフォレスト」、佐賀の「チームラボかみさまがすまう森」(11月8日まで)、埼玉・所沢の「チームラボどんぐりの森の呼応する生命」がある。

「人はアホだから境界を作る」チームラボ猪子代表が描く“ボーダレス” コロナ禍の次なる仕掛けは? 時間の概念を覆す“マニアックすぎる”作品を解説

 猪子氏は、おすすめの展示について「東京の2つ、お台場も豊洲も新しい作品が加わったので、来ていただけたら」とした上で、お台場・チームラボボーダレスの「運動の森」プロジェクトについて、「平面で育つとアホになる。今みんな平面で育つので、下手すると全員アホになる。だからちょっとでも立体的なところで賢くなってもらいたいと思ってやっている」と話した。

(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

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