世界に誇る高速バンク「伊豆ベロドローム」来夏、五輪「ケイリン」の舞台
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 7月28日から8月2日、自転車トラック競技ナショナルチームは1年後に行われる予定のオリンピック本番を想定した予行練習を非公開で行いました。選手だけでなくサポートするスタッフも五輪で帯同予定のメンバーに限定。中距離はペースメーカーとしてバイクを並走させ、短距離は男子B代表や日本競輪選手養成所の選手を集めて、本番同様のタイムスケジュールでレースが行われました。

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 その後、8月8日に行われた東京五輪出場内定者の激励会にて、予行練習について聞かれた脇本雄太選手は「得られたもの大きい」と話し、新田祐大選手も「非常に有意義な時間を過ごすことができた」と満足げに語っていました。小林優香選手は「ゾーンに入ったときに無敵だと感じた」と、本番と同じバンクでのシミュレーションレースに手応えを感じていました。

 本来なら今年の8月3日から9日の間、伊豆ベロドロームにて自転車のトラック競技は行われていたはず。来年の8月2日から8日に延期となりましたが、五輪出場内定者の選手には何とかモチベーションを維持してがんばってメダルを目指してもらいたいです。

 ところで会場となる『伊豆ベロドローム』とはどういったところなのでしょうか。東京五輪なのだから東京にある競輪場を会場にすることはできなかったのでしょうか。

 まず第一にオリンピックや国際的な自転車のトラックレースでは1周250mのトラックを使うことが規定されています。日本の競輪場は333m(335m)か400m、500mの3種類しかありません。さらに屋内で木製板張りといったスピードの出やすい走路を使うのが海外では一般的。10年以上前の日本にはそのような施設はありませんでした。

 では作ろうといっても木製は傷が付きやすく、メンテナンスが大変。湿度調整も重要で管理が難しい。走路を屋内に納める大きな建物が必要ですし、作るときも作ってからもコストがかかる。とりあえず250mの走路だけでもアスファルトで作ろうとしても競技用にはカントを40°前後にしなくてはならないため(日本一カントの大きな前橋競輪場でも36°)、崩れて壊れやすい。

 立ちはだかる壁がいくつもある中で「だから日本の選手は勝てない」と言われないようにするために、木製走路を持つことが自転車競技関係の悲願だったのです。

 それがようやく叶ったのが、2011年10月1日。伊豆ベロドロームが完成して、全日本自転車選手権大会トラックレースがこけら落としの開催となりました。今では日本競輪選手養成所の敷地内に『JKA250』もありますが、当時は日本で唯一、日本で初めての板張り250mバンクだったのが伊豆ベロドロームなのです。

世界に誇る高速バンク「伊豆ベロドローム」来夏、五輪「ケイリン」の舞台
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 ベロ(Velo)はフランス語で自転車、ドローム(drome)はラテン語で競技場。合わせて自転車競技場の意味で、欧米では一般的な名称です。設計は2008年の北京オリンピックで自転車トラック競技の会場となった『老山自転車館』を担当したドイツ人のラルフ・シューマン氏。シベリア松の木材を使用し、最大傾斜45°(!)という世界に誇れるスピードコースとなりました。

 場所は静岡県伊豆市(旧修善寺町)。ロードバイク、マウンテンバイク、BMXコース、ファミリーサーキット、ストライダーパークなど様々な自転車で遊べるコースがある『自転車の国 サイクルスポーツセンター』に隣接していて、近くには日本競輪選手養成所もあるといった、日本における“自転車の聖地”にあります。

 様々な遊具もあって子ども連れの家族にも人気のサイクルスポーツセンターですが、オリンピック関連の仮設建物や設備が設置されたままになっているため、2022年頃の春頃まで営業休止になっています。自転車好きでしたら1日遊べる施設なので、再開したら是非とも行ってみてください。

 オリンピック後も日本が誇る伊豆ベロドロームでは様々な大会が行われるはずです。走路と観客席の距離が近いので競輪場に負けず劣らず迫力のあるレースが楽しめますので、是非とも好きな競輪選手が出場するケイリンのレースを応援しに行ってみましょう♪

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