(会見中、常にカタい表情だった青木。注目の日本人対決なのは間違いない)

 青木真也の11カ月ぶりとなるMMAマッチが決定した。8月17日の会見で発表されたその舞台は『ROAD to ONE 3rd:TOKYO FIGHT NIGHT』。前回は会場非公開、無観客試合として行なわれた『Road to ONE』。今回の会場は渋谷のO-WESTとなり、有観客で開催される。

 青木の対戦相手は江藤公洋。レスリングで学生時代にトップレベルの結果を残し、総合格闘技でも活躍するとONEウォリアー・シリーズを経て本戦に駆け上った。日本を代表するMMAファイター・青木との対戦はキャリア最大のチャンスだ。

【映像】会見は超ピリピリムード

「不安や恐怖心もありますが、それを乗り越えたい。青木選手とは一緒に練習したこともありますし、強さは分かってます。知名度だったりを考えると、普通ならありえないカード。試合に向かう中で何かを伝えられたら」

 そう語った江藤は、ONEの中継で解説を務める大沢ケンジ氏が指導する選手だ。大沢氏は会見で「青木選手に誰が勝てるのかといって名前が出てくるのが江藤。(試合のポイントは)江藤が力を出せるかどうかですね。みなさんが思うのと逆の結果を出すことで格闘技が面白くなる。江藤にはまだ見せてないものがたくさんあるだろと言いたい」と、番狂わせへの期待感を語っている。

 この試合は青木の「MMAがやりたい」という強い希望を受けて決まったもの。青木自身がONEなどに働きかけたという。単に闘うだけでなく業界全体を意識しているからか、独自の表現で大会に向けての意気込みを語った。

「試合することもしないことも正解。個々に正解があるからこそ戦争、荒れた状態になるわけで。そんな中で大会ができる。言いたいことはいっぱいあるけど、自分が信じたものを作って、人の感情を揺さぶる表現がしたい」

 大会開催、試合決定について「なんとかしてよ、とずっと話をしてきて。こういう形で試合ができるのはラッキーなこと。いいものを作る、いい表現をして銭をもらう。その基本に立ち返ることが今は大事」としながら「今できるベストではあるけど、もうちょっと話題になる場所、話題になるカードは他にもあったと思う」という言葉も。

 大会の紛れもない“主役”なだけに、考えることも他の選手とは違ってくる。使命感も責任感もあるからだろう、会見での青木は終始ピリピリした状態。対戦相手と並んでの写真撮影でも顔を背けていた。質疑応答で相手の印象を聞かれ「なんで俺が(相手の)プロモーションしてやらなきゃいけないの」と回答を拒否する場面も。

 現時点でこの状態であれば、試合当日はどうなるのか。恐ろしくも楽しみでもある。しかも青木は8月27日にDDTの「路上電流爆破デスマッチinとしまえん」にも参戦する。突飛な連戦も、青木だからこその“覚悟”の見せ方、青木真也にしかできない表現なのだろう。『ROAD to ONE 3rd』の大会キャッチコピーは「覚悟を決めろよ」である。

 またONEの今後、海外大会への日本人選手出場に関しては、アンディ秦・日本支社長がコメント。現在「開催国の規制緩和と安全管理」、「日本からの渡航が可能かどうか」の二つの条件から可能性を検討しているという。「いつチャンスがあるか分からないので、選手のみなさんには今日だけでなく明日に向けてのギアアップをしておいてほしい」とアンディ支社長。

 今回の『ROAD to ONE 3rd』は世界同時生中継が決定しており、ONEが世界につながる舞台であることには今も変わりがない。会見では、猿田洋祐vs内藤のび太のストロー級トップ対決も発表された。勝者は王座挑戦の最有力候補になることが有力視される、重要な一戦だ。コロナ禍でできないことはたくさんある。しかしその中でできる最大限を世界に向けて投げかける。そのための“覚悟”が『ROAD to ONE 3rd』のテーマだ。

文/橋本宗洋

【映像】会見は超ピリピリムード
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