19日、国民民主党が解党、立憲民主党と合流することが決定。無所属議員なども合わせ、150人規模の新しい野党が誕生した。
・【映像】「大きな塊を作ることが大事」労働会のトップ神津会長が生出演!
今回の合流について、「有権者がきちんとした選択肢を持ち得るような政治構造が必要。そのためには一つの大きな塊を目指してもらうのが最も望ましいということを言い続けてきた。今回、合流という大きい話が決められたこと自体は良かったと思うが、ちょっと“もやもや感”も残っていて、諸手を挙げて“良かった”と言える、すっきりした状態ではない、というのが正直なところだ」と話すのが、日本最大の労働組合「連合(日本労働組合総連合会)」の神津里季生会長だ。
平成元年、4つの労働団体が合流し結成された連合は、1993年の細川連立政権の誕生、1996年の旧民主党の成立、2009年の民主党の政権奪取など、一貫して非自民党系の政党・議員を支援、野党再編に大きな影響力を行使してきた。しかし2012年、自民党が政権を奪回、民主党が分裂と再編を繰り返す中、政治に対する影響力を低下させていく。
そんな中の2015年に就任したのが神津会長だ。当時、「やっぱり民主党が中心になって一強多弱ということでは政治状況としては非常に不正常だと思う」と述べていたが、あれから5年、今も安倍一強が続く中、政界再編についてどのように考えているのだろうか。『ABEMA Prime』が話を聞いた。
■玉木代表へ「今も一緒になって頑張ってほしいと思っている」
離合集散を繰り返してきた旧民主党、旧民進党。この数年間について神津会長は「やはり辛かった。僕らの中では、そんなに考えが違うわけでもないのに党が分かれるというのは非常にやりにくいし、特に連合としては両方を推した昨年の参院選は非常に厳しかった。ああいう選挙は二度とやりたくないという思いがあった」と話す。
そうした背景から、神津会長ら連合は合流をめぐって昨年秋から一進一退を繰り返してきた玉木・枝野両代表の交渉過程にも携わってきた。
「“党首同士で話ができてないね”という思いが一致したので、先日も玉木代表と枝野代表、そして私どもの相原事務局長が3人で集まった。これまで“ポストコロナ”の社会像を3者で共有していこうじゃないかという会話を重ねてきたので、私としては“全く同じ政党じゃないか”という思いを抱いていた。その場でも、相原事務局長からは“やっぱり一緒にやってほしい”ということを連合として申し上げた」。
そして迎えた19日。小沢一郎衆院議員は「自民党に代わって政権を担う政党がいない。両党の合併が了承されたことは、日本の戦後政治の憲政上の大きな出来事になった」と語ったものの、玉木氏など数人は新党に合流しない方針を表明している。
「政治家というのはこだわりを持つことも大事だ。しかし自民党は色々な議論があっても、“ちょっと不真面目だな”ぐらいの感じで最後にはまとまっちゃう。だけど旧民主党は最後にはバラバラになっちゃう。ガタガタになっちゃう。それは“生真面目”と言ってもいいのかもしれないけれど、有権者からすれば、不真面目でもちゃんとまとまる方に政権を任そうということになってしまう。だからこそ大きな塊になり、今の政治との違いを明確にすることが大切だ。玉木代表たちがどうしていくのか、まだもやもやとしているが、私は今も一緒になって頑張ってほしいと思っている」。
■共産党との協力、そして自民党との距離は?
野党第一党になる新党だが、共産党との選挙協力について、連合としてはどう考えているのだろうか。
神津会長は「雇用・労働、生活保障などの問題についての国会質問を見ていて、個々の議員さんについては素晴らしいなと思うことはある。しかし党としては歴史的な経緯もあって僕らが攻撃されるということもあるし、例えば志位委員長は党内の選挙で選ばれたわけではない。そういう問題点が残ってしまう」と説明。
一方、与党・自民党についは「残念ながら自民党は労働者側というよりも、経営者側、使用者側の目線を重んじる。ただ、これまでも連合は政府に対して“こういうふうに労働者の政策を考えてください”という要請をしてきたし、僕らの政策を理解している議員もいらっしゃる。やはり政治体制としては二大政党的なものが望ましいと私は思っているので、そういう意味でも自民党に対してはきちんと話をするし、敬意を持って接する」とした。
■「“原発ゼロ”という表現は残念」
慶應大学特別招聘教授の夏野剛氏が「経営者たちが反対する中、この5年間で働き方改革と労働者の自由を実現したのは皮肉にも安倍政権だった」と話すと、神津会長「確かに、我々が言い続けてきた長時間労働是正と同一労働同一賃金が安倍政権で通ったのは事実だ。ただ、これが本物になるかどうかは、“この権利は自分たちのものだ”とひとりひとりが思えるような環境ができるかどうかだ。しかし未だ日本社会は、経営者、使用者側中心という傾向が抜きがたい。36協定についても、ちゃんと労使で協定を結んでいるのは半分ぐらいではないだろうか。同一労働同一賃金も、労使の共通理解がないと機能しない。しかし残念ながら労働組合の組織率は17%くらいなので、8割以上の人たちは話し合いをするという枠組み自体を持ち得ていない。裁判に訴えるハードルも高いので、やはり我慢をしている労働者が多いのが実態ではないか」とした。
さらに元経産官僚の宇佐美典也氏は「立憲民主党は“原発即時ゼロ”と言っているが、国民民主党は電力総連と電機連合が支持団体にいるので“原発ゼロ”とは言えない。そこのすり合わせはどうするのか」と質問。
すると神津氏は「連合では“2030年代”とか“即時ゼロ”などと特定はしていないが、あれだけの事故から目を背けることはできないし、原子力エネルギーから脱却するということは決めている。今回、合流してできる新党では“原発ゼロ”を政策から格上げして、綱領で謳っている。このこと自体は意味のあることだと思うが、廃炉技術の確立も含め、原子力に携わる方々もものすごく大事だ。それが“原発ゼロ”という言葉のイメージによって、自分たちの仕事は世の中にとってマイナスなのか、と思われてしまう問題がある。加えて、今すぐに稼働を止めればリスクがゼロになるのか、ということがある。稼働していようがいまいが、リスクを低減させていくことが重要だ。今回の新党はそのことに向かっていっていると思うが、だからこそ“原発ゼロ”という言葉が残ったのは残念だ。今後、しっかり議論をしながら有権者に示していく責任があると思う」と答えた。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)
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