去る8月16日、原大智選手(117期・宮城)が競輪デビュー13レース目で初勝利を挙げました。
原大智選手と言えば2018年平昌冬季五輪フリースタイルスキー・男子モーグルの銅メダリスト。特別選抜入学試験で入所した日本競輪選手養成所を今年卒業してデビューした新人で、在所成績45位ながらもトップ選手を目指して日々努力を重ねています。
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とはいえ、モーグルから完全に転向したわけではなく、2022年の北京冬季五輪も目指して練習も再開しており、競輪とモーグルの二刀流に挑んでいます。がんばって夢を叶えてほしいですね。
オリンピアンで二刀流というと東京オリンピック・パラリンピック担当大臣の橋本聖子さんが思い出されます。1984年のサラエボ冬季五輪、1988年のカルガリー冬季五輪にて、スピードスケート女子全種目に出場。ところが1988年のソウル五輪では自転車競技の代表選手として出場し、日本人として史上初めて夏季・冬季の五輪に出場した選手となったのです。その後も出場を続けて、合計7回(夏季3回・冬季4回)の五輪出場は日本女子最多記録になっています。
橋本聖子さんがもし競輪選手になっていたら、歴史に名を残していたのは間違いないでしょう。スピードスケートのオリンピアンで競輪に移行して歴史に名を残したといえば、武田豊樹選手(88期・茨城)が挙げられます。
2002年ソルトレイクシティ冬季五輪でスピードスケート日本代表。同大会後に五輪で8位以内入賞者を対象に日本競輪学校(現・日本競輪選手養成所)の特別選抜入学の応募条件が29歳未満に引き上げられたことで、かつて夢見た競輪選手の道を再度志し、見事入所。デビュー後は数々のタイトルを獲得し、スピードスケートだけでなく競輪の歴史にも名を残す選手となりました。
ちなみに武田豊樹選手は過去に橋本聖子さんの運転手をやっていたことがあるらしいです。
他にスピードスケートから競輪に転向しているのは、松井宏佑選手(113期・神奈川)。日本ナショナルチームの一員として自転車競技で五輪を目指しています。梅川風子選手(112期・東京)は大学時代に全日本学生スピードスケート選手権500mで優勝経験があります。
ウィンタースポーツでいうと、8月15日に名古屋競輪場で行われた「ガールズケイリンコレクション名古屋ステージ・ガールズドリームレース」で児玉碧衣選手を差し切って優勝した石井貴子選手(106期・千葉)は元々、スキーの選手。2007年の全校高等学校選抜スキー大会では大回転で2位に入っています。同じく過去にスキーのインターハイで優勝(回転)しているのは、奥井迪選手(106期・東京)。2004年の国体でも優勝(大回転)しています。
アイスホッケー女子日本代表としてバンクーバー冬季五輪に出場したのは荒牧聖未選手(102期・栃木)。氷上ではないホッケーのゴールキーパーとして北京五輪に出場したのは岡村育子選手(102期・埼玉)。
海老根惠太選手(86期・千葉)はその昔、陸上競技の110mハードルで活躍していました。1999年の日本学生陸上競技対校選手権大会で優勝。TOTO国際スーパー陸上にも出場経験があります。中高一貫の陸上競技強豪校である埼玉県立伊奈学園出身なのが、太田りゆ選手(112期・埼玉)。今は日本ナショナルチームで五輪を目指しています。
自転車、陸上、水泳の能力を求められるトライアスロンの選手だったのは、梶田舞選手(104期・栃木)。2010年にトライアスロン関東選手権で5位に入っているのですが、このとき11位だったのが加瀬加奈子選手(102期・新潟)だったりするのは面白いですね。
野球からは、2000年にドラフト3位でヤクルトスワローズに入団した松谷秀幸選手(96期・神奈川)。S級1班まで登り詰めているのですから、凄いことです。ちなみにS級S班の郡司浩平選手(99期・神奈川)は全日本リトルリーグ野球選手権大会で優勝経験のある、野球小僧でした。
サッカーではJ1のサンフレッチェ広島や水戸ホーリーホックで活躍した河野淳吾選手(99期・神奈川)がいます。
バレーボールといえば尾崎睦選手(108期・神奈川)。ビーチバレーで活躍し、「ビーチの申し子」と呼ばれていました。小林優香選手(106期・福岡)は高校時代にインターハイ出場経験あり。長澤彩選手(106期・愛知)は春高バレーに出場経験があります。
三谷竜生選手(101期・奈良)は関東学院大学ラグビー部出身。中井勇介選手(100期・大阪)は甲子園ボウルに出場経験があり、日本代表でも活躍したアメリカンフットボールの選手でした。
他にも十文字貴信選手(75期・福島)は小中学校時代に全国大会で3回優勝している元レスリング選手。戸田みよ子選手(102期・広島)はバトミントン強豪チームの北都銀行出身。奈良岡彩子選手(104期・青森)はルネサス高崎で全日本総合女子ソフトボール選手権大会の2年連続優勝に貢献しています。
珍しいところだと、世界学生空手道選手権大会で銅メダル獲得経験のあるのが志村龍己選手(98期・山梨)。元重量挙げ五輪代表でアテネ五輪に出場したのが今村俊雄選手(99期・山梨)。過去には大相撲の力士から転向した伊藤強(28期・神奈川)という選手もいました(時津風部屋所属。当時のしこ名は若葉山)。
これだけいろいろな競技から選手が集まっていると知ると、競輪がまたひとつ趣深くなりますね。