20日からスコットランド・ロイヤルトゥルーンGCにて開催されている「第44回全英女子オープンゴルフ」。初日4番ホールで渋野日向子がトリプルボギーをたたく場面に注目が集まった。
新型コロナウイルスの影響で大会中止が相次ぎ、5カ月ぶり、今季初のメジャー大会となった同大会。2連覇が期待される前回女王、渋野に密着した初日だが、最大風速18.2mという強風が吹き荒れる中でのプレーに苦戦が続いた。
4番ホールでポッドバンカーにハマった渋野。スタンスの位置にボールが跳ね返る3、4打目を経て、5打目でようやくバンカーを脱したが、このホール、トリプルボギーの大たたき。ポッドバンカーを脱した直後、苦しむ渋野の様子に「まだ笑顔は見えていません」と実況席が心配そうなコメントを漏らした。
この4番ホールでの出来事に関して渋野は試合後、「正直、ちょっと球が上がるんじゃないかと思った。100ちょっとだったので9番アイアンを持ったんですけどびっくりするぐらい中段に当たった。そこで青木さんに58度を渡されたんですけど『52度でいけるんじゃないのかな』って言って52度を受け取ったらもう1回(ボールが)返ってきたので、あれは私が悪かったです」と苦笑しながら語っていた。
海岸沿いの地形を生かしたリンクスコースに多いこのポッドバンカー。全英オープンの「名物」とも言われる小さく深い穴にハマると、目の前には90度の斜面が壁のようにそびえ立つ。落ちた場所が壁に近ければ近いほど、名選手でもなかなか抜け出すことができない。
ポッドバンカーといえば、1978年の全英オープンで中嶋常幸がハマり、4打かけて脱出。17番ホールで9打を叩き優勝争いから外れてしまった。そのバンカーが中嶋の海外での登録名にちなんで「トミーズバンカー」と名付けられたのは、ゴルフファンの中では有名だ。
また、2000年大会最終日にもこのトミーズバンカーの餌食になった選手がいた。アメリカのデビッド・デュバルだ。トップのタイガー・ウッズに3打差まで詰め寄ったデビッドだったが、17番ホールでトミーズバンカーにハマり、こちらも脱出に4打を要した。一方、優勝したタイガーは、大会を通し一度もバンカーにハマらなかった。
ポッドバンカーの攻略は難しい。どんなに腕のいい選手でも、一度ハマればなかなか抜け出せず、「優勝」の2文字がいとも簡単に遠のいてしまうこともある。目の前の90度の壁をなんとか1打で超えるか、もしくはタイガーのようにポッドバンカーをうまく避けられるか……。
大自然の中に大きく口を開けるポッドバンカーを制し、予選通過なるか。8番ホールでの初バーディ、そして最終ホールでもバーディを決め「気持ち良かったですね、ありがとうございます」とインタビューではいつもの笑顔を見せたしぶこ。大会2日目の渋野、そして日本人選手たちの活躍にも注目が集まりそうだ。