8月21日に配信されたONE Championship「ONE: NO SURRENDER III」で、現役最強との呼び声高いセンマニー・クロンスアンプルリゾート(タイ)が、クラップダム・ソー・チョー・ピャッウータイ(タイ)に衝撃の失神KO負けを喫し、ファンに衝撃が走った。
センマニーはムエタイの2大殿堂タイトル、ラジャナンとルンピニー王者に加え、ムエタイS1世界選手権など7度の戴冠をした現役最高の選手。一方のクラップダムも元ルンピニー2階級王者で、日本では梅野源治をKOしたことで、その名が知られている実力者だ。ONEのムエタイ・バンタム級ランキングでもセンマニーが1位、クラップダムが3位と、上位ランカー同士の対戦となった。
1ラウンド、立ち上がりはムエタイ戦らしく様子を見合う静かな展開。互いにサウスポーに構えローやミドルを当て相手を探り合うような攻防が続いた。
最初に仕掛けたのはクラップダムだ。鋭い右アッパーを2発当て、さらに蹴りを掴んでボディへ一発。対するセンマニーも右左のコンビネーションにエグい左ヒジを叩き込んだ。本来ならここまではいつものムエタイ戦、軽い手合わせで何ごともなくラウンド終了となるはずだったが……。
ラウンド終了間際、残り30秒で衝撃の場面が訪れた。クラップダムの右をセンマニーが身体を反らすように逃れ、左パンチ、左ローを返すと、クラップダムが再び右アッパー、そして強烈な左ストレートを叩き込んだ。「ガシッ」と乾いた音とともにセンマニーがリングに仰向けに倒れ込み、ラウンド終了15秒前にレフェリーが試合を止めた。
予想を遥かに上回る衝撃の結末にネット上には「身体が硬直してる」「完全に飛んでた」「センマニーが負けるなんて…」と驚きの書き込みが多数。ニコリともせずに勝ち名乗りを受けたクラップダムに「恐ろしい21歳」「全然浮かれてない」「すごい冷静だ」との声などさまざま。ABEMAで解説を務めた大沢ケンジも「思ってたのと違う」と驚きを隠せない様子だった。
じつはこの大会は新型コロナウイルス拡大の影響で数週間前に完全無観客で録画されており、試合結果には箝口令(かんこうれい)が敷かれていた。しかし、タイ国内では「センマニーが負けたらしい」との噂が流れ、日本のSNS上でもファンの間で話題が持ちきりだった。下克上を果たしたクラップダムは、トーナメント決勝でセーマペッチ・フェアテックスと対戦。その勝者が王者ロッタン・ジットムアンノンに挑むことになる。