難関リンクス、日本人選手との相性は? 実力以上に“明暗”を分けたもの
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 20日からスコットランド・ロイヤルトゥルーンGCにて開催されている「第44回全英女子オープンゴルフ」。前回女王・渋野日向子をはじめ、多くの選手たちを苦しめている難関のリンクスについて「すごいコース」「こんなコースでプレーできない」とネットで多くの声が上がっている。

 自然の地形を生かした「リンクス」。リンクスに認定されるには海沿いに存在すること、砂地が多いこと、人工的に傾斜や平地を作らないことなどに加え、小さく深い、いわゆる「ポットバンカー」を多く設置することなど、さまざまな条件が定められている。

【映像】上田桃子、3日目ハイライト

 ゴルフ発祥の地とも言われ、同大会を開催するスコットランドに多いリンクスは砂地で地面が硬く、人の手があまり加えられていないこともあり木々が少ない。緑豊かで美しく整備されている、というイメージの強い日本のゴルフコースとは異なる印象だが、実は瀬戸内海からの潮風がプレーに大いに影響する岡山県「JFE瀬戸内海ゴルフ倶楽部」をはじめ、日本にも人工的ではあるものの全国にリンクスが点在。難易度の高いコースでのプレーを楽しみに行く人も少なくない。

 昨年同大会が開催された英ミルトンケインズのウォーバーンゴルフクラブは、比較的内陸部に位置し、木々や池などのある林間コース。決して簡単なコースではないが、コースセッティングや気候など、渋野が練習拠点としていた兵庫県の「パインレークゴルフクラブ」とも共通点が多いことから、初の海外メジャー挑戦だった渋野にとって「相性の良い」コースだったと言える。

 一方、今年のロイヤルトゥルーンGCは完全なるリンクス。プレーを見守る視聴者からも「難関コースすぎる」「このコースじゃプレーが楽しめない」「ここでやるなんてさすがプロ」と、コースに関するさまざまな声が集まった。

 日本のコースとは異なる気候やセッティングのコースに、日本人選手も苦戦。最大風速18.2mという強風の吹き荒れる悪天候の中、渋野も初日4番ホールで早速ポットバンカーの洗礼を受けた。

 予選2日目を終え9位と優勝を射程圏内に捉えた野村敏京。そして52位タイ、64位タイでそれぞれ予選を通過した上田子と畑岡奈紗。予選通過した3名と、リンクスの前に涙を飲んだ4名の日本人選手との明暗を分けたのは「経験値の差」だと言える。

 アメリカを拠点に活躍する野村、畑岡。アメリカにはリンクスは少ないが、海風にプレーを左右されるシーサイドコースが多く存在する。野村敏京は日本や韓国の試合でも優勝経験があり、リオデジャネイロオリンピックで競技として復活したゴルフの日本代表にも選ばれた。史上初のアマチュア優勝、最年少でのプロ転向という「華麗なる経歴」を持つ畑岡は、21歳ながらも世界に通用する実力を持っている。さまざまなコースで世界中の選手とプレーする機会の多い両者は、「経験値の高い選手」だと言えるだろう。また、全英女子オープンの出場回数もそれぞれ本大会が5回目、3回目で、イギリスのゴルフコースでの経験も少なくない。

 そして6月に34歳となった上田桃子。2005年のプロ転向後、2007年には賞金女王に。日米通算15勝、全英女子オープンも10回目の出場(最高位は2008年大会の7位)という圧倒的な実力と経験の持ち主で、日本女子ゴルフ界をけん引する存在ともいえる。

 ゴルフには実力や自分に合ったクラブ、強靭なメンタルなどの他に、経験値も必要とされる。経験の差が今回の難関コースとの相性の良し悪しに大きく影響したと言えるのではないだろうか。実際、予選を通過した3名と、惜しくも3日目に挑戦できなかった4名との間には、実力のみならず年齢や海外での試合出場経験などの差もあった。

 上田19位タイ、野村33位タイ、畑岡63位タイで迎える最終日。難関リンクスで最後に笑うのは誰か。4日目の全英女子オープンも、さまざまなドラマが生まれそうだ。

【映像】上田桃子、3日目ハイライト
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