恋人・夫婦間でも無意識のうちに加害者に…“性的同意”、あなたは意識している? 紗倉まな「胸が痛む」
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 「雰囲気やムードが大事だから」と、直接的な言葉を避け、“なんとなく”“流れで”及びがちな性行為。しかしスウェーデンやイギリスでは同意のない性行為が犯罪となるなど、世界中で「性的同意」の重要性が議論されている。「性的同意」とは、キスやハグ、手を繋ぐといった行為も含め、お互いが“積極的にしたい”と望んでいるかどうかを確認する行為のことだ。

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 内閣府がまとめた「男女間における暴力に関する調査報告書」によれば、無理やり性交等をされたケースの加害者は配偶者・パートナー・元交際相手が47.6%、職場やバイト先の関係者が14.0%と、知人や身近な人が加害者のケースが多いのが実態だ。

■「無意識のうちに加害してしまうケースが多い」

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 「(だいちさんとしたいかも。でも恥ずかしいな、言ったら引かれるかな。でも好きだから伝えたいな」…ねえ、しよ?」「うん、しよ」。

 こうした状況を踏まえ、若者向けの動画を制作するなどの啓発活動を行っているのが任意団体「Genesis(ジェネシス)」だ。「性的同意」を分かりやすく解説したハンドブックを発行、大学・企業向けワークショップも開催している。共同代表を務める鈴木七海さんは「相手との関係性を大事にするためのもので、雰囲気を壊すものではない。むしろ相手を気遣っていることが伝わって、よりよいパートナーシップが築けるんだよということを伝えたい」と話す。

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 また、同じく共同代表の高島菜芭さんは「性的同意」はカップル同士のマナーにとどまらず、「ハラスメントや性暴力の被害者、加害者になることを予防する意味でも重要だ」と指摘する。「対等でないカップルや職場の関係の場合、被害者側も、“嫌”とは言いにくいというケースが多く、我慢するのがデフォルトになってしまっていると思う。もう一方も、“きっと大丈夫だろう”、“相手は嫌ではないだろう“と勘違いし、無意識のうちに加害してしまうケースが多いと感じている」と話す。

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 京都市男女共同参画センターが制作した「ウィングス京都・ジェンダーハンドブック」(平成30年)によれば、「キスをしたら性行為をしてもいい」「イヤと言っていても『イヤよイヤよも好きのうち』なので性行為をしてもいい」「家に泊まるのは性行為OKのサイン」「付き合っていれば性行為は当たり前」「同じ相手に毎回同意を取る必要はない」といった認識は、いずれも正しいものではないという。「ラブホテルに行くことに同意したからといって、性行為にも同意したわけではない。頷くなどのボディランゲージでもいいが、明示的に意思表示をすることが同意だ」(高島さん)。

■「性暴力の事件化はハードルが高い」

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 性暴力の被害に詳しい上谷さくら弁護士は、「“今日は嫌だ”と言って振られるような男だったら、こちらから別れてしまえばいいと思うが、やっぱり日本の女の子は“彼氏に嫌われたくない”とか、“合わせていれば彼の気分がいいから”など、おそるおそる恋愛しているようなところがあると思う。ただ、彼の方もそんな気持ちでいられて嬉しいわけはないと思う。お互いの心がすれ違っているのは非常に不幸なことなので、嫌だったのに、どうして“うん”と言ってしまったのか、といった話を日頃から話せる関係がいいと思う」と話す。

 また、「夫婦だからといって、同意していないのにセックスしていいわけではない。どちらかが嫌だったとしても、断ると不機嫌になる、家庭の空気が悪くなるといったことから我慢している、なあなあになっている、という話はよくあると思う。結局はそういうことが重なった結果、夫婦関係も悪くなり、“性の不一致”での離婚ということになってしまう。夫婦であったとしても、レイプは犯罪として成立するし、むしろコミュニケーションを積極的にとるべきかなと思う」と説明した。

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 一方、2ちゃんねる創設者のひろゆき(西村博之)氏は「“職場だからノーとは言わないのが普通だよね”という考え方自体が間違っているし、“絶対に嫌だから、これ以上やったら通報するぞ”と言うかどうかは本人の判断だと思う。もちろん判断能力が未熟な未成年は守るべきだと思うが、取引先との場合も、“取引した方が得だ”と自分で計算して判断しているのではないのか。また、性暴力は基本的には数分間はかかる。その間に“嫌だ”と意思表示すらできないような状態だというのはどういうことだろうか。口を押さえられていたとすれば、暴行に当たる。警察に行って証拠を出せば済む話だと思うし、どうすれば性犯罪の構成要件を満たすのかを啓蒙した方がいいのではないか」と疑問を呈する。

 上原弁護士は「咄嗟のこととなると、なかなか判断ができないし、上司・部下の関係や、大事な取引先の人だったりすると、“機嫌を損ねてはいけない”という意識がとても強く働く。“やめてください”くらいは言えても、なかなか拒絶しづらい。日本には“嫌よ嫌よも好きのうち”という文化もあるので、“いいじゃないか。大人同士なんだし”というようなことで押し切られてしまうケースが多い」と説明。「“嫌だ”と言ったのにそういうことをされたという相談もあるし、加害者も“そういえば嫌だというようなことは言っていた”というケースはある。しかし現行の刑法では、反抗を著しく困難にするほどの暴行、脅迫がないと犯罪として立件できないという、ものすごく高いハードルがある。男性の被害もなかなか表には出てこないが、かなりあると言われている。特に年齢の若い子、幼い男の子は狙われやすいと言われているし、“男のくせにそんな被害に遭った”と言われるかもしれないということで、なかなか声を上げにくい現実がある」とした。

紗倉まな「現実に自分がされたら本当に嫌」

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 「性的同意」と共に議論されているのが、「性的同意年齢」だ。日本の刑法の場合、性行為がどのような行為であるかを理解し、“したいかしたくないか”を自ら判断できる能力があるとみなされる年齢を13歳と定めている。そのため、性犯罪に巻き込まれた場合にも暴力や脅迫を証明する必要が生じる。一方、韓国では今年5月、性的同意年齢を13歳から16歳に引き上げている。日本でも6月、国際人権NGO「ヒューマンライツ・ナウ」が16歳に引き上げるなどの刑法改正案を発表。今月開かれた法務省の性犯罪刑法改正の検討会でも年齢引き上げが盛り込まれている。

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 上谷氏は「明治時代に法律が作られてから変わっていない。13歳といえば中学1年生だし、誕生日が早い人なら1カ月前まで小学生だったというようこともありえる年齢。知識もなければ、そんな局面になった場合、何をどうしたらいいのか分からないのが普通ではないか」と指摘。「反対派はよく“13歳同士のキスはどうするのか”などと主張する。今の刑法では無理やりキスした場合は強制わいせつになるが、強制性交等罪、いわゆるレイプと並列で語られている。その2つに13歳という性的同意年齢が求められているので、必ずカップルはどうするのかという問題になってきてしまう」と話す。

 ひろゆき氏も「キスに関しては13歳で同意すればいいが、性行為に関しては子どもが生まれてしまう可能性があり、本人にとっても育てられない、心に傷を負うなどの大きなリスクがある」とコメントした。

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 AV女優の紗倉まなは「性的同意の話が出る度に胸が痛む。AVでは、確かに“嫌よ嫌よ、でも受け入れる”というシチュエーションが好まれるので、よく撮る。でも、現実に自分がされたら本当に嫌だし、嫌だと言っているものは嫌に違いないのに、そこを履き違えたまま、自分の都合良いように歪曲してしまう人は多いと思う」と話す。

 「男性も女性も、今日は乗り気ではないということはあるし、1回の同意がずっと続くとは限らない。酔っ払ってしまって判断能力が低下して、そういう行為をしてしまう、という話もよく聞く。そういう時にちゃんとケアをするとか、相手のことを配慮して気遣うことがちゃんとできていれば揉めることはないと思う。自分を守る術や、相手からの誘いを断ることの大切さみたいなことを性教育の中でも学んでいくことができればいいと思う」。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

「嫌よ嫌よも好きのうちは誤解」意外と知らない"性的同意"
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