“危険水位”の中国・三峡ダム、共産党系メディアも一面で報じる事態 「水害が政治にも関わる状況に」
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 ものすごい勢いで噴き出し、流れ込む水。これは中国・長江中流にある「三峡ダム」の映像だ。中国では6月の梅雨入り以降、南部と西南部で毎日のように大雨と集中豪雨が続いている。そのため多くの河川が氾濫し、各地で洪水が相次いだ。こうした水が三峡ダムに流れ込み、過去最大の水がいまだに流入を続けている。

【映像】三峡ダムの放水の様子

 琵琶湖の1.4倍にもなる総貯水量を誇る、世界最大級のダムは今どうなっているのか。『ABEMAヒルズ』はTwitter上で寄せられた「中国の三峡ダムの現状を詳しく知りたい」という声を受け、調査した。

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 三峡ダムは、万里の長城以来の世紀の大事業として2006年に完成。全長は663kmにのぼり、これは東京から兵庫県の姫路市までの距離に相当する。貯水量は393億立方メートルで、なんと琵琶湖のおよそ1.4倍にもなる。

 三峡ダムの設計上の最高水位は175メートルとされている。しかし、22日には過去最高の167メートルに到達。危険な水位を意味する「制限水位」とされているのは145メートルで、大きく超えてしまっている。

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 警戒を高めた中国当局は、船舶が長江を通航することを禁止。川には置き去りにされた貨物船が100隻以上滞留している。三峡ダムの水位が基準を下回るまで、物流は滞ることになるとみられる。

 国営中央テレビは連日、放水の様子を中継して管理が正常に行われていることを強調している。一方で当局は、SNS上に投稿された決壊を心配する書き込みを制限するなど、かなり神経をとがらせているとみられる。

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 中国国民が注目する三峡ダムは今後いったいどうなるのか。今の状況について、ANN中国総局長の千々岩森生氏は「昨日、今日で少し水位は下がっている」と説明。一方で、「2カ月半前くらいから断続的に雨が続いていて、ダムの危険性は当初から噂も含めていろいろあった。中国当局は正常な活動の範囲だとして、SNSを削除したりデマだと上書きする作業が続いていた。ただ、中国で一番読まれている新聞『新京報』が20日に一面トップで『危険レベルが上った』と報じ、21日には中国共産党系の『環球時報』も一面で報じていて、これまでとはフェーズが変わったという印象を受けている」という。

 長江は成都や重慶、武漢、上海など中国を横断する大河だ。もしダムが決壊することがあった場合、どのような影響が考えられるのか。千々岩氏は「(三峡ダムの)下流には人口1000万人以上の武漢がある。また、南京や上海などの下流域だけで中国のGDPの4分の1を稼ぐため、影響は甚大だ。長江は物流の大動脈でもあるので、中国全体への影響も考えられる。内陸部は発展が遅れているが、一番上流の雲南省や隣の貴州省は中国の中で最も貧しい地域で、長江の物流が止まってしまうことは、ここの開発にも大きな影響を与える」との見方を示す。

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 また、影響は政治にも及ぶ可能性があるといい、「先週、重慶市を李克強首相が、下流の安徽省を習近平国家主席が視察した。トップ2が時を同じくして(被害地の)視察に行くのは、ダムの決壊は置いておいても、今回の洪水・水害がいかに中国の政治、中国共産党の安定性にも関わる状況になっていることの証だと思う」とした。

ABEMA/『ABEMAヒルズ』より)

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