ついに正式決定だ。武尊vsレオナ・ペタスの一戦が、8月25日の記者会見で発表された。舞台は新生K-1初の福岡大会(11月3日、福岡国際センター)。試合はK-1スーパー・フェザー級タイトルマッチとして行なわれる。
Krushの同級王者であるレオナは小宮山工介、村越優汰といった強豪を次々と撃破。目標をK-1のベルトに定め、常に武尊との対戦をアピールしてきた。
7月にはKrush王座防衛戦でレオナが武尊の親友・大岩龍矢に勝利。試合後、あらためて武尊のK-1王座に挑戦表明したレオナに、武尊も「やろうぜ!」と応え、対戦の機運が最高潮に高まっていた。
「パフォーマンスではなく実力でたどり着いたのは僕が初めてだと思う。その先をしっかり切り拓きたい」
会見でそう語ったのはレオナ。それだけの結果を残してきたのは間違いない。試合が決定したからにはアピールの必要もないということだろう、そのコメントは決して派手なものではなかった。
「自分が優っているのは身長だけ。今までの試合では対策をしてこなかったけど、今回は対策もするし、全部かけて闘います。優ってない部分も対策でひっくり返す」
実は身内にも「やらないほうがいい」と言われたことを明かし、苦笑したレオナ。
「僕は挑む側なので。自分のほうが強いと100%言い切れるわけではないです。武尊選手を認めているからこそ、強気なことは言えない」
本気で勝ちたい。だから大きなことは言えない。それもまたファイターの心理だ。そして勝つからには小細工なしで、とも考えている。
「真っ向勝負でいいと思ってます。真っ向勝負で勝ってこそチャンピオンでしょう。真っ向勝負で負けたらそれでいいし、そこで負けないために闘います」
その決意を、武尊も真っ向から受け止めるつもりだ。アマチュア時代に対戦し、1勝1敗の両者。「決着戦になる」という武尊だが「お互いアマチュアの時とは別物の選手になっている」と語る。「スピード、パワー、全部負けていたとしても気持ちで負けなければ勝てる。今回もそこだけは絶対に負けない」とも。
K-1を代表する“顔”として、試合に飢えてもいる。
「試合ができない期間があって、ついに決まって、やっとみんなに試合を見てもらえるのが嬉しいです。それが新生K-1初の福岡大会で、しかもタイトルマッチ」
武尊はK-1王者。レオナはKrush王者。レオナは以前、武尊戦について「これはK-1との闘い。K-1ごと倒す」と語っていた。そんなレオナを、武尊は「チャンピオンになってからのほうが格段に強くなったと思います」と評価している。
「同じ階級にチャンピオンが2人いるなら、闘ってどっちが強いか決めればいい。K-1最強を証明します」(武尊)
説得力のある結果を出し続けて武尊戦を実現させるレオナは、最強のチャレンジャーと言っていい。しかしプレッシャーについて聞かれると、武尊は「プレッシャーなら毎回死ぬほどあります」と答えた。
この覚悟、武尊が背負ってきたものと、レオナは闘うことになる。会見場登壇前、さらに会見後と2度の写真撮影の際、レオナは武尊を見て睨み合いを挑んだ。しかし武尊は正面を向いたまま黙殺。このスタンスの違いが試合でどう出るのかも興味深い。派手な舌戦も、もちろん乱闘もない静かな会見。だからこそ、そこには“パフォーマンス”では出せない重みがあった。
文/橋本宗洋