「夢に出るくらい考えている」PCR検査、Go To、会見での悩み…西村大臣がコロナ対策への疑問に生回答
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 「感染防止と経済をどう両立させていくのか、新たな日常をどう作っていくのか、夢に出てくるくらい、毎日考えている…」。27日のABEMA Primeに西村康稔経済再生担当相が30分にわたって生出演、現状の認識や政府の対処方針を説明、さらにお笑いコンビEXITらの質問に回答した。

・【映像】生出演した西村大臣

■小池知事、吉村知事との歩調は?「毎日のように連絡を取っている」

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 休業・外出自粛要請をめぐって、国と自治体の間で対応が異なっているのではないかとの疑問の声がある。

 まず現状の感染状況、そして医療体制について西村大臣は「4月、5月の頃は新型コロナウイルス感染症についてよくわかっていない部分も多かったので、各知事からは幅広い休業要請などをお願いした。しかしその後、無症状の人はほとんどうつさないとか、発症する2日前にうつすケースが急増するといったことが分かってきた。また、我々も事業者の方も国民の皆さんも様々なことを経験して、感染対策が定着してきた。だから取るべき対策もエリアも絞られてきた。会話も距離をとってマスクをして、旅行も家族でだけで過ごしている分にはそんなにリスクは高くない。そういう“新たな日常”をみんなで実践していくというのが大事だということだ。また、重症者についてもレムデシビルやデキサメタゾンという薬が標準治療として定着するなど、医療機関の体制も整ってきた。東京で言えば院内感染や高齢者施設の感染は減っているし、クラスターも3~5月に比べてかなり減っている。経験を踏まえ対応が進化していると感じている」との認識を示した上で、次のように説明した。

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 「それでも1億2000万人をいっぺんに検査することはできないし、どこかに潜んでいる可能性はずっとある。無症状の人がたくさんいるし、中にはウイルスを1カ月くらい持ち続けている人もいる。また、感染者数は遅れて出てくるし、2週間ぐらいしてから重症化するケースも多い。どこかで感染がバッと増えた時にはPCR検査で検知をして封じ込めていくという努力をこれからも積み重ねて行かないといけないと思う。全国の知事たちとも毎日のように連絡を取り、緊密に連携している。もちろん考え方が違う時は調整しているし、何となく違うことを言っているように聞こえる部分があるかもしれないが、よく聞いていただければ重点を置く部分が違うというだけ。中でも東京は感染者数も多く、8月の旅行数も東京からが圧倒的に多いので、専門家の皆さんのご意見を聞き、Go To トラベルについては対象外にしたが、今日も小池知事からは“こういう方向で考えている”とお話をいただいた。休業要請をどの範囲で、いつまでやるか、というのは知事の権限だし、私も尊重したい。感染状況を踏まえながら、歩調を合わせてやっていければと思っている」。

■PCR検査拡大論に「リスクのあるところを中心に広く受けていく」

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 また、議論になりがちなPCR検査の問題については、「我々は“戦略的に広げていく”という言い方をしているが、感染者が出た場合、濃厚接触者対し無症状であってもPCR検査をしていけば、その範囲で封じ込めることができる。例えば歌舞伎町、すすきの、中洲などのホストクラブやキャバクラのみなさんなど、近い距離で会話をするので広がってしまいやすいリスクが高い業態の方に対しては、お店で陽性者が出ていなくても、無症状であっても無料で実施しますよ、ということを続けてきた。リスクが高い医療機関や高齢者施設についても幅広く受けてもらうようにしている。ただ、一般の無症状の人も全員が受けた方がいいかどうかについては考え方が分かれるところだ。ただきょう私が受けて陰性だったとしても、その後どこかでうつるもしれないし、それから偽陰性といって、かかっていても30%くらいは陰性と出てしまうので、毎日受けなければ意味がないということになる。この辺りをどう考えるかだが、やはりリスクのあるところを中心に広く受けていくという体制を作っていくことが大事だと考えている」とした。

 WHOは2年以内の収束を予想しているが、ワクチンや治療薬開発の開発についてはどのような見通しをもっているのだろうか。

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 西村大臣は「もちろんワクチンによって絶対にかからなくなる、というわけではないが、重症化しにくくなるという意味では安心に繋がると思う。専門家によって色々な意見があるが、安全性、有効性を見る治験が始まっているので、早いものはこの冬から打ち始めることができるのではないかといわれている。すでにアストラゼネカとファイザーから約6000万人ずつを確保しているし、国内でもアンジェス、タカラバイオというメーカーなどでワクチンの治験が始まっている。それぞれのワクチンの特徴を踏まえ、どういった人に打ってもらうかを判断していくことになる。やはりまずは高齢者や基礎疾患などをお持ちの方、医療従事者にも打ってもらいたいと思っている。治療薬についても、重症者向けのレムデシビル、デキサメタゾンという薬が定着してきているし、アビガンも600以上の医療機関で4000人以上の方に投与され、かなり効果が出ている。5月、6月に感染者数がぐっと減った結果、正式承認に必要な治験ができなかったが、海外ではこれが進んでいて、アビガンも承認されている。これらの有効性が確かめられていけば、オリンピックもできると信じている」。

■「丁寧に説明しようとすると、これも言いたいあれも言いたいとなる…」

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 テレビ朝日平石直之アナウンサーからは、メディアの伝え方に対して言いたいことはないか、西村大臣の説明が丁寧すぎるがゆえに、かえってわかりにくくなっているのではないか、との質問が出た。

 西村大臣は「地上波では全てを放送できないし、新聞も全ては書けないので、どうしても一部分を取られてしまう。これは仕方ないが、できるだけ丁寧に説明して多くの方に理解をしてもらえればと思っている。まさにABEMAもそうだが、ネットではフルに流していただいているので、私の説明から記者の皆さんの質問も含め、最初から最後まで全て聞いていただければ、できるだけ丁寧に、いろいろなデータも示しながら答えていることがわかると思う。ただ、私の説明についてはコミュニケーションの専門家の皆さんからも“今日は要点3つで”とか、“短く言おう”と言われている。丁寧に説明しようとすると、これも言いたいあれも言いたいとなって…(笑)」と答えた。

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 また、『週刊東洋経済』の山田俊浩編集長が「“新規感染者”という言い方ではなくて、“陽性だと分かった人”など、言葉の使い方も気を付けていくべきだと思う。危ないところで重点的にPCR検査にやっているわけだから、表に出て当たり前の数字だ。むしろ重症者が少ないことや退院数、実効再生産数(1人が何人にうつしているか)は下がっていることなど、医学的にも根拠のあるデータで見ていった方が不安も小さくなるのではないか」と問題提起。

 これについても「おっしゃる通り、全体の検査数が少ない中で、重点的に行えば陽性率は高くなる。東京でいえば4月の検査件数が1日500件くらいだったのが、今は5000件前後になっていて、それで陽性者数が250前後なので、5%を切るぐらいまできている。たくさん検査して陽性率が低くなっているということは感染が収まってきているという証にもなるので、そういった数字も日々できる限り丁寧に示さないといけないと思っている。実効再生産数も非常に大事な数字だ。2週間ぐらい前の数値しか出ないので足元の状況が出ないというところはあるが、0.8台になってきていると思う」と話した。

■「エンタメの方、フリーランスの方も何とか支えていければ」

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 さらにEXITの2人はイベントが相次ぎ中止になっていることなど、エンタメ業界の苦境を訴えた。

 西村大臣は「エンターテインメント、文化、芸術は我々の心を和ませてくれる。もちろん文化庁や経産省も支援はしているが、半分の観客数ではどうしても採算が合わず厳しい。プロ野球とかJリーグも、5000人の上限でやってもらっていて、大変申し訳ない。今後2週間後くらいにはお盆時期の移動による感染状況への影響が出てくると思うので、専門家の皆さんの判断も仰ぎながら、落ち着いているようであれば再開やGo To イベントもあると思う。吉本興業に関しては大企業にあたるかもしれないが、お笑いの皆さんについても事務所との雇用契約があれば、中小企業なら休んでいる間は月額で最大33万円まで支給される休業支援金、国が100%を助成する雇用調整助成金という仕組みがある。個人事業主のような形であれば、1カ月の収入が50%以上落ちていれば100万円までの申請もできる。そういったことで凌いでいただけるよう、何とか下支えをするというのをやっている。本当に苦しくなった方には3カ月で80万円まで、厳しい状態が続けば返さなくてもいいという緊急小口資金の貸付もある。そういったものを活用しながら、エンタメの方、個人事業主、フリーランスの方を何とか支えていければと思っている」と回答。

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 その上で「小さな波はまた起こると思うが、タクシーの運転手さんが宅配をやったり、道路上でカフェをできるように規制緩和で道路の利用の許可を出したりと、みんなで新たなやり方、新たな日常を作っていきたい。そして、オンライン申請でなんでこんなに時間がかかるんだと批判された国のデジタル化など、やらないといけないことが目の前にいっぱいある。何としても早く実現するために全力を挙げたい」と訴えた。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

西村康稔大臣が出演 EXITと考えるコロナ対策
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