令和に“萌え”は要らない? 環境省のイメージキャラが炎上 『ネギま!』作者・赤松健氏「世界はより良い方向性を模索中」
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 環境省の地球温暖化対策をPRするイメージキャラクターが、ネット上で物議を醸している。

【映像】何が問題? 女子高生キャラクターを使った環境省のYouTube動画

 きっかけは、環境省が8月21日に投稿した1件のツイート。動画の中でエコにまつわる言葉をつぶやくのは、3年前に発表された公式キャラクター「君野イマ」と「君野ミライ」だ。環境省の『COOL CHOICE(地球温暖化対策のための賢い選択)』の認知度向上のために誕生したキャラクターで、2017年から活動している。

 動画の内容は、ぐうたらで不摂生な生活を送る女子高生「君野イマ」が世界を救うために、“並行世界のもう一人の自分”であるしっかり者の女子高生「君野ミライ」が現れ、COOL CHOICEを伝授するというもの。

令和に“萌え”は要らない? 環境省のイメージキャラが炎上 『ネギま!』作者・赤松健氏「世界はより良い方向性を模索中」

 公式サイトでは共に身長158cmの“萌えキャラクター”として紹介されており、環境省によるとアニメの制作や動画作成などを含めこれまでに1億2000万円がかかったという。動画は合わせて320万再生、特に若年層の気候変動問題の意識向上につながったとして「PR効果はあった」としている。

 しかし、Twitterではこの動画を観た人から「何でもかんでも、若い女性たちを漫画化したり動画にしたら『受ける』って思ってないよね?」「もうこういうの無理。令和にこれはない。価値観アップデートしてください」「可愛いかどうかでなく若者に興味を持ってもらうならアニメや萌えという安直な発想がダメなんです」「僕は可愛いと思うけどな~。これの何がいけないんだろ」など、賛否の声が殺到。物議を醸す事態に発展している。

■漫画家・赤松健「議論を重ねてチューニングしていく」 現場では女性デザイナーの起用も

 これまでも、日本赤十字社の献血のポスターなど、度々“炎上”してきた、公的機関の萌えキャラクターPR。COOL CHOICEの女子高生キャラクターには一見、性的なデザイン要素は見受けられないが、一体何が問題なのだろうか。『ラブひな』『魔法先生ネギま!』などの人気作を手がけた漫画家で、日本漫画家協会常務理事の赤松健氏はこう述べる。

「献血PRポスターの『宇崎ちゃんは遊びたい!』の件もありましたが、(萌えキャラクターを)否定したい側の言い分は2つある。1つは『公共機関だったり、税金を使っているのだから、もっと万人に向けて作る必要がある』というもの。しかし根底にあるのはジェンダーの問題で、今回のCOOL CHOICEの動画では、特に女子高生キャラクターに環境問題を押し付けているとされ、そもそも美少女の絵を使うのは女性の性的消費であり、このキャラの中身はむしろ中年男性じゃないか、という意見がある」

令和に“萌え”は要らない? 環境省のイメージキャラが炎上 『ネギま!』作者・赤松健氏「世界はより良い方向性を模索中」

 萌えキャラクターとジェンダーの問題。“萌え”はもう時代遅れなのだろうか。赤松氏は「最近は制作側も(女性キャラクターの)仕草や服装など描き方に相当気を遣っている。また女性デザイナーを起用する場合も多く、女性によるチェックも盛んで、そうなると男性中心の目線とは言えない。萌えキャラは今後も多く発表されていくだろう」と紹介。その上で「あえて言えば、(今回の君野イマと君野ミライのように)『どっちが可愛い?』という話題になっていることが、性的消費と思われている可能性はある。萌えキャラが叩かれやすいのは、現実の女性モデルを叩くと『女vs女』の構図になり得るし訴訟リスクもあるので、その危険性の無い萌えキャラがより叩きやすいという側面があるかもしれない」と指摘した。

 赤松氏の意見にフリーアナウンサーの柴田阿弥は「(環境省の動画が)過度な性的かと言われたら、キャラクターとして普通だと感じた。これが駄目だったら、環境省の官僚が出てきて、普通に地球温暖化対策をPRするしかない。そのコンセプトムービーがはたして300万回再生を記録するかといったら疑問」とコメント。女性タレントが起用しづらくなっていく現実を危惧した。

令和に“萌え”は要らない? 環境省のイメージキャラが炎上 『ネギま!』作者・赤松健氏「世界はより良い方向性を模索中」

 度々Twitterで物議を醸す、公的機関の萌えキャラクターを使ったPR。赤松氏は「実は我々クリエイター側(の表現)がどんどん過激になりすぎてしまうことだってある。それを諫めてくれる存在が全くいないのも逆に不安なので、お互い議論を尽くして調整していくのが重要」と話す。

「世界的には、ブラック・ライブズ・マター(BLM=黒人の命は大切だ)運動を頂点に、より納得されやすい、より良い方向性を人類は模索中なんだと思います。今はその過渡期なのであって、今後数年の中で受け入れられる部分と破棄される部分が出てきてバランスが取れてくるはず。徐々にチューニングされ、より良い方向に行ってくれることを信じたい」

ABEMA/『ABEMAヒルズ』より)

 【映像】環境省“萌えキャラ”炎上 漫画家は
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