8月28日にタイ・バンコクで開催されたONE Championship『ONE「A NEW BREED」』において、元ムエタイ戦士の執拗なローキック地獄に対戦相手が戦意を喪失するも試合はことごとく続行。視聴者がドン引きする「ローキック地獄」が展開される一幕があった。
ヨッカイカー・フェアテックス(タイ)はムエタイ90戦の実績のある選手で、現在は総合格闘技に転向している。ムエタイ仕込みの打撃の強さを武器に前回の大会でKO勝ちを収め、この日はアレックス・シルド(アメリカ)と対戦した。
序盤こそグラップリングで実績のあるシルドがバックチョークに引き込むシーンこそあったが、その後はヨッカイカーの打撃の前に防戦一方。ラウンド後半にはロー、左、右のストレートのコンビネーションで前から崩れ落ちるダウンを喫したシルド。本来ならここでKOでもおかしくはなかったが、直後に鳴ったゴングに救われた。
しかし、シルドにとっての本当の地獄はここからだった。
2ラウンド、ヨッカイカーが太もも目掛けて強烈なローを2発。足を引きずるシルドが、イチかバチかの足関節を狙って寝技に引き込もうとするも失敗。再びスタンドの展開になると、すでに傷んでいるシルドの左足を狙ったヨッカイカーの執拗なロー攻めが始まった。
その後、ガードがあいたシルドは左右のパンチを貰い、2度目のダウンを奪われると誰の目にも明らかな“戦意喪失”状態に。しかし、レフェリーはダウンを認めず「立て」の合図を繰り返すばかり。
消極的になり寝たままのシルドに、容赦なくローを2発蹴り込んだヨッカイカーも「立て」とアピール。戦意喪失している相手を仕留めにいく姿勢に視聴者からは「非道w」「立ちたくねえ」と同情の声も聞かれた。
露骨にスタンドでの戦いを拒否して寝技を狙うシルドがスタンドに引き戻されると、ヨッカイカーは笑みを浮かべながら再びローを連打。立ってはローで崩れ落ちるシルド。完全に気持ちは折れているが、如何せんレフェリーが試合を止めない。
足を引きずるシルドだが無情にも何度もスタンドに戻される。明らかに効いているジェスチャーを見せるが、それでも「立て」の合図。業を煮やしたようにABEMAで解説を務めた大沢ケンジも「これはレフェリーがおかしい、おいレフェリー!」と突っ込むほどの状況に。
あまりにも無慈悲なレフェリングに視聴者からも「鬼やな」「止めてあげて」「もうKOでいいじゃねえか」「いじめじゃん」とざわつき始める。すると大沢ケンジも「シルドの気持ちは、もう『どうやって終わるかだけです』」と苦しい心中を察した。
2ラウンドでは止めてもらえず、ついに3ラウンドへ突入。なぜかシルドも棄権することなく、試合は続行された。ゴングとともにコメント欄には「かわいそう」「シルドの味方は誰もいない」「足、折れるで」と絶望感が漂い始める。
そんな声も虚しく、案の定のローでシルドが倒れ込むと、ヨッカイカーが倒れたシルドに追い打ちのロー。ついに全く動かなくなったシルドを見て、ようやくレフェリーが試合をストップした。
余りにも一方的な試合展開に視聴者からは「レフェリーおせーよ」の大合唱。実況の清野茂樹アナも「もう見てられませんでしたよ…」と痛々しい試合を振り返っていた。