8日に告示され、14日に投開票が行われる見通しの自民党総裁選。その方法を巡って、党内の意見が割れている。
正式な自民党総裁選を実施する場合、選挙期間が12日以上かかることから、二階俊博幹事長は「政治の空白を片時も作ってはならないという決意で対応していきたい。わが党としては一日も早く後継を選び出して、政治の停滞が起こらないようにする」と説明。党執行部は安倍総理の辞任による“緊急事態”だとして地方の自民党員・党友による投票を省略し、国会議員らによる両院議員総会での選出する方針を示している。
・【映像】なぜ党員投票をせず簡素な形に?青年局長 小林史明議員が訴え
簡略化された総裁選は、2007年第一次安倍内閣、2008年福田内閣が任期途中で退陣した際にも行われた。ただ、2000年に小渕総理が病に倒れた際には、党内の実力者5人が森喜朗氏だけが後継にすることを決定、“密室談合”と批判された。
こうしたことから、出馬を検討している石破茂元幹事長は「何を考えるのかをきちんと有権者の前で、ある程度の時間をとって説明することは、やはり正式な総裁選でなければできないと思う」と、党員投票を実施すべきだとの考えを示しており、岸田文雄政調会長も「多くの党員の皆さんの声を聞くことが理想であると思っている」とコメントしている。
■「一部の執行部の方の意思決定で決めて良い問題ではない」
そんな中、「開かれた総裁公選の実施を求める申し入れ」への賛同を求める署名活動を行ってきたのが、党青年局長の小林史明衆院議員らだ。
31日夜の時点で石破氏のほか、小泉進次郎環境相、野田聖子元総務相、下村博文選対委員長など、所属国会議員の37%にあたる145名がすでに賛同。二階幹事長に申し入れも行った。
同日夜の『ABEMA Prime』に出演した小林議員は「政権を担っている自民党総裁を選ぶということは、総理大臣、つまり日本のリーダーを選ぶということだ。つまり自民党の中だけの話のように見えるかもしれないが、日本全体に関係するということだ。今、コロナが収まってきているのは、国民の皆さんに大変な強力をしていただいたおかげ。総裁候補者が国民の皆さんの前で議論し、一定の方々からの共感・納得を得る、そして党員・党友の皆さんの投票も経て選ばれる、これが重要だ。ここで適切な判断を下さなければ、自民党が国民から見放されてしまう」と危機感を示す。
複数の閣僚経験者をはじめ、ベテラン議員からの賛同も得ていることについては、「今朝9時に配って、締め切りは12時だった。実質3時間の中でこれだけの返信をいただいている。420名の地方議会議員の方々からも返ってきている。党全体が危機感を持っているということだと思う。派閥の偏りもないし、“世代間闘争”のように言われることもあるが、世代も広い。特にベテランの方は自民党の歴史を知っていて、やはり党員投票を経て選ばれたリーダーでなければ強いリーダーシップが発揮できず、結果的に短命に終わるということを実感しているのだと思う。下村選対委員長はダイバーシティを重んじる方で、“多様な声をすくい上げることが政治の基本だ”という熱い電話をいただいた。プラス1週間で総裁選ができると調べていただいたのも下村さんだ。また、引退されている山崎拓元幹事長からも“電報を送りたい。重要だから本当に頑張れ”という激励のお電話も頂いた」とした。
■地方からは「投票が省かれるのであれば辞めたい」との声も…
さらに小林議員の元には、地方の党員などから厳しい意見も寄せられているという。108万人(2019年)を超える自民党員だが、昨年は7年ぶりの減少も見られていることから、党では新規党員の開拓も進めてきた。一般党員4000円、特別党員2万円以上の年会費を2年間納めることで、総裁選挙前の投票権が得られることになっている。
「会費を払って自民党員になっている方々の唯一の意思表示が総裁選だ。この権利を奪うということがあってはならない。地方の青年局の仲間からも、“一生懸命党員になって欲しいというお願いをしているが、投票が省かれるのであれば辞めたい”という声ももらっている。そもそも国会議員に対しては各選挙区で1000名の党員を集めるよう課し、達成できなければ選挙区を変えると言っているのは幹事長だ」。
では、小林議員らの申し入れに対し、二階幹事長ら執行部の反応はどうだったのだろうか。
「危機感の共有はしていただいているとは思うし、我々が党職員に確認したところ、1週間プラスすればできるということだったし、安倍総理も会見で“十分な政策議論が取られるだろう”“その間、しっかり自分が務める”とおっしゃっている。しかし執行部からは党員名簿の整理や郵送には1カ月以上かかると説明された。仮に3カ月かかるということになると、さすがに厳しいということにもなると思うが、実際にどれくらいかかるのかと、その説明をきちんとしなければ、我々だけでなく党員、国民からも納得してもらえない。我々は国民に選ばれ、国民の生活を良くするために政治をやっているのであって、執行部の部下として政治をやっているわけではない。これまでも73歳定年制や9月入学の問題など、執行部に対する改革を求め、ひっくり返して来た。今回も目を覚まし、原点に立ち戻ることが、自民党が国民政党として必要なことだ」。
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