新型コロナウイルスの影響で増え続ける“コロナ解雇”。厚生労働省の調査によると、新型コロナウイルスに関連して8月31日までに解雇や雇い止めとなった人は、見込みも含めると5万326人に上った。このうち、非正規で働く人は2万412人だった。
厚生労働省は、今年2月から新型コロナウイルスによる解雇と雇い止めの調査を開始。5月に1万人、6月に2万人を超え、およそ1カ月ごとに1万人ずつ増え続けていることが分かっている。これまで業種別では宿泊業や飲食業が目立っていたが、8月からは製造業が最多だった。
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全国で失業者が5万人を超える事態に、ネット上でも“コロナ解雇”について「これ以上、感染者増えないで……」「仕事なくなるし転職すらもできない」「お金も底をついた」「まだ仕事続けてるけど、一寸先は闇だ」など、不安の声が上がっている。
政府は、従業員に休業手当を支払った企業に支給する雇用調整助成金の特例措置を年末まで延長するなどして対応しているが、状況は深刻だ。特例措置が延長になったとはいえ「その後の解雇はもっと増えるのではないか」という声もあり、「せめて3月まで延長してほしい」などの要望も寄せられている。
雇用状況の悪化に、ニュース番組「ABEMAヒルズ」のコメンテーターで慶応大学特任准教授などを務めるプロデューサーの若新雄純氏は、長年フリーランスとして仕事をしてきた立場から「仕事ができる優秀な人から辞めて独立したりするのが社会としては理想ではないか」と持論を投げかける。
「企業は生き残るために、現場で非正規の人、雇用関係の立場が弱い人から契約を終了させたり、解雇したりする。それも苦渋の決断だとは思うが、仕事もスポーツと一緒で、上手な人、下手な人がいる。真面目で一生懸命やっていても、ずっと苦手なままという場合もある。仕事がで得意でバリバリ稼げる人なら、次の仕事も見つけやすいだろうし、フリーランスとして稼げる可能性も高い。優秀な人が、ビジネス活動が苦手な人のために“正規雇用を残す”という考え方があってもいいのではないか。突然の不況や不測の事態のときは、特に優秀な人から正社員は辞めて、成果報酬の非正規契約などに変えてもいいはず」
企業にとっても苦渋の決断である解雇。若新氏は、立場の弱い人から解雇されていく現実について「日本の社会には生活保護もあって、転職活動がうまくいかなかった人たちを最後は社会が支えていくことになるが、今後コロナ禍で社会保障のお金はギリギリのはず。それなら、優秀な人たちほど自分で自分の仕事をつくるというのが理想ではないか」と指摘する。
「企業の中でも仕事という種目が得意で、能力を発揮できる人は転職も得意なことが多い。会社を作って大きくすることは簡単ではないだろうけど、不況のときこそ、実績や信頼のあるすごく仕事ができる人からフリーになっていくことはできないのだろうか。エリートだという自負のある人は、首を切られたら本当に困るという人のために雇用を残す。それまでは給与が低いなど愚痴っていたうだつの上がらない社員も『あの人たちが独立して自分たちの雇用を残してくれたんだから頑張ろう』というやる気が出るのでは。独立した人は最初苦労するかもしれないが、自分の仕事の幅が広がり稼げるチャンスが広がると僕は思う」
一方、フリーアナウンサーの柴田阿弥は「優秀な人でも会社員向きな人はいる。空気が読めて、タフな人は会社員向きだと思う。空気が読めなくて、あまりタフじゃないけど得意分野では仕事ができるという人は、フリーランスに向いているのでは」と意見。「性格にもよるが、今後は働き方の価値観が変わってもいいのではないか」と語った。
人々の頭を悩ます新型コロナウイルスの猛威。厳しい雇用状況の出口はどこにあるのか。コロナ禍と向き合う企業に、柔軟な選択が求められている。
(ABEMA/『ABEMAヒルズ』より)
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