「納得と共感」を掲げて自民党総裁選に出馬した石破茂氏。安倍政権とは距離を置いてきた石破氏は、少子化対策や選択的夫婦別姓についてどのようなスタンスなのだろうか。『ABEMA Prime』で話を聞いた。
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安部敏樹(リディラバ代表):第二次安倍政権で後から批判されることとして、少子化対策やり切れなかったことがあると思う。この7年、8年の間は、ロスジェネ世代が子どもを産み育てる意思決定をする最後の時代だったが、そこへの十分なサポートがないまま40代半ばを過ぎてしまった。今から手を打っても取り返せないと思う。
石破:私も政権の中に一定期間いたので、少子化対策が十分でなかったことの責任は負わなくてはいけない。1970年は生涯未婚率2%だったのが、今は男性24%、女性14%と、結婚する人の数が減ってしまった。これには若い方々の所得が減ったという理由がある。そして、結婚する年齢がどんどん遅くなっている。大変むずかしいことだが、もう少し若いうちにお子さんを作りたければ作れるような所得環境を作っていかなければいけない。そして、女性の負担をいかに減らすか。第一子出産年齢が30歳だが、赤ちゃんが生まれたばかりで家での負担も職場での負担も地域での負担も重い中、2人目、3人目というのはかなりきつい。
安部:結婚せずに子育てをしようという選択肢もあると思う。
石破:フランスで出生率が最低だったのは1993年だったはずだが、当時も婚外子は認められていた。その後なぜ出生率が回復したかというと、一つは無痛分娩を無料にしたことが大きい。もう一つは国だけでなく企業も負担して、14日間の父親教育を徹底したことがあると思う。おむつの替え方が分からない。お風呂の入れ方も分からない。抱き方も分からない。離乳食も分からない。それはいかんだろうと。そういうことを日本でやっているだろうか。人のことを言えた義理じゃないけど、日本の男性が掃除、洗濯、炊事、育児に費やす時間はどうだろうか。その長さと第2子、第3子ができる比率はきれいに正の相関がある。そのことはきちんと認識しないといけない。
安部:自民党はかなり家族主義的なものが強いと思うが、そうではない選択肢も認める社会を作っていこうという考えもあるのか。
石破:社会で育てる、地域で育てるということも大事ではないだろうか。若い方々が地方に移住するという潮流もある。例えば、福岡県のうきは市で、集団移住した若い人たちの間に赤ちゃんが生まれた。すると、集落の人たちが“何年ぶりの子どもかな、よしよし”と面倒をみている。東京でそんなことは難しい。それから保育ママみたいな人たちの役割も大事だと思っている。家庭なのか社会なのかじゃない。地域で子どもを育てる地域があったっていい。
ハヤカワ五味(ウツワ代表):選択的夫婦別姓についてのスタンスはどうか。私は18歳で起業してたが、アベノミクスでも推進していた女性の活躍と選択的夫婦別姓を導入しないという方針は相反すると思う。
石破:私は導入すべきだと思っている。別姓を認めると家庭が不安定になるというが、じゃあ認めなければ安定するのかという話だ。どうやって郵便を届けるんだよいう人もいるが、そういうことはいくらでも解決できること。選択的夫婦別姓の問題は女性だけでなく、男性にとっても一緒の問題だ。選択制なんだから、それを阻むということには納得していない。
佐々木俊尚(ジャーナリスト):2012年の自民党の憲法改正草案には伝統的な家族観などの保守的な内容も入っているが、今でも正しいと考えているか。
石破:私は起草委員だったが、侃々諤々の議論の末に党議決定までしたものなので、これがベースだと思っているし、基本的人権の尊重は現行憲法よりも強く謳っているという認識もある。かなり保守的な部分もあるのは事実だし、いろんなご批判に答えるだけの準備はよりやっていかないとならない。“これしかない”という無謬のものは世の中に存在しないし、この草案がそのまま実現することはない。例えば臨時国会の召集についての時期が書いていないので、ずっと延ばしておいて召集即解散みたいなこともできる。それはおかしいでしょということで、野党の時に“20日以内”と書いた。我々がいつまでも与党だとは限らないし、政府は国民に対して説明する責務を負うと、わざわざ権利と義務の章の中に入れている。こういう点は誰も反対しないと思う。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)
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