コロナ禍に伴って、様々な物事の価値が見直される昨今。特に家族が集まる冠婚葬祭も見直され、今年のお盆は墓参りに行かなかったという人も多いのではないだろうか。
・【映像】コロナ禍で墓じまいも増加 "家族を確かめる機会"代わりになる手段は?
近年、少子化などを理由に、管理が難しい事態を予想し、事前にお墓を撤去する「墓じまい」や、経済的理由などから、遺骨を家族ではなく将来にわたって霊園や寺院に供養・管理してもらう「永代供養」を検討、選択する人が増えているのだという。また、人気の樹木葬や海洋散骨、さらには宇宙葬など、お墓の形も多様になってきている。
昨年祖父が他界した浦上さんも、お墓をどうするか家族で話し合ったという。「2桁で済むものかなと思っていが、3桁いったから、死んでからもお金かかるのだなと…」と振り返る。また、中国人の父と日本人の母を持つ根岸月華さんは「もしお墓を中国に建ててしまうと、お参りすることが難しくなる。だから私はバーチャルのお墓でも十分かなと思う」と話す。
終活関連サービスを提供する株式会社鎌倉新書の矢野美紗子氏は「ご両親のお墓や自分自身のお墓についてどう考えるのか、何を大切にしたいのかを皆が発信していかなければならない時代だと思う」と指摘する。
「お子様がいらっしゃらない方もいるし、生まれた場所で人生の終わりを迎えるという時代でもなくなっている。“お墓じまい”や永代供養は以前からあったが、コロナ禍のリモートによって増加するのではないかと思う。また、地方にもよるが、基本的に一般墓は年に数千円~数万円程度の維持管理費がかかる一方、永代供養や樹木葬の場合、最初の契約金だけというところも多い」。
EXITのりんたろー。は「それこそコロナによって、お墓は必要なのかな考えさせられた。お墓参りすること自体が大事なのではなく、それによって亡くなった方のことを供養したり、思い出したり、リスペクトの気持ちを表したりすることが大事だと思う。それができるのであれば、お墓もお墓参りもいらないのかもしれない」、相方の兼近大樹も「僕自身はお墓はいらないと思っているが、お葬式やお墓参りで親戚が集まった時が、唯一血のつながりを確認できる機会になっていると思う。亡くなった方のことを思い出したり、思い出を共有したりするものとして、絶対にいらないとも言い切れない」と話す。
歌舞伎町のゲイバー店員のカマたくは「一応、私の一家はここ、という場所もある。ただ、私は同性愛者なので、子孫ができないというのが大前提。結局、お墓というのは生きている側の感情だという気がするし、“思い出して欲しいか?”と言われると、“別に大丈夫です”という感じもする。一応は決めておいて、その分のお金も自分で用意しておこう、ということくらいしか考えたことがなかった」とコメント。テレビ朝日の平石直之アナウンサーは「私も自分のものは必要ないと思っているし、死後に“生きた証”みたいなものはなくていいという考えだ。ただ、それは自分の死が現実のものとして迫っていないからであって、考えが変わることもあるかもしれないし、親や家族の思いを叶えてあげるという側面もあると思う」とした。
『週刊東洋経済』の山田俊浩編集長は「そもそも江戸時代まで、農民の方などは土葬され、しばらく経ったらどこにお墓があるのか分からなくなってしまうということも当たり前だった。それが明治以降、お墓が今のような形になり、家の権威を象徴するような意味合いが出てきて、“隣よりも立派でなければならない”とか、“こんなお墓はみっともない”というこだわりも出てきた。しかし、車はいらないという人が増えているように、モノで勢いを示したり、満足を得たりすることがなくなっている今、形にこだわらず、より精神的なものでいいのではないか、というのが潮流なのだと思う」と指摘していた。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)
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