9月10日に渋谷O-EASTで開催された「ROAD to ONE 3rd:TOKYO FIGHT NIGHT」。メインの青木真也、さらに猿田洋祐と内藤のび太によるストロー級の世界頂上対決などが注目を集める中、「独特すぎるファイトスタイル」で異彩を放ったのが、“足関十段”の異名を持つベテランの今成正和だ。ノーガードで腕をダラりと下げ、スタスタとケージの中を動き回る独特なスタイルに、ネットからは「まるで妖怪やん」「バイオハザード」「ゾンビみたい…」などの反響が続々と寄せられた。
「ストライカー vsグラップラー」
根津優太と今成の一戦は、スタイルこそ正反対でありながら、文字どおり実力者同士の戦いとなった。今成といえば、相手の足もとに飛び込んでヒールホールドで仕留める「今成ロール」でお馴染みだが、このトリッキーなファイトスタイルが、初めて見た多くのファンの心を掴んだ。
試合開始とともに、今成が地団駄を踏むようなフェイントをかけつつ、根津の足を狙う。スッと近づいては地を這うように獲物を狙うような独特の動きに、ABEMAでゲスト解説を務めたSKE48・松井珠理奈も「ブレイクダンスみたいな動きですね…」とコメント。さらに自ら寝そべって相手を引き込もうとする動きに対して、視聴者からも「酔っぱらいムーブ」「格ゲーの動きみたい」との反応が。
それほど、今成の動きは予測不能だ。寝て待っていたかと思うと、いきなり起き上がり蹴りを見せながら前進。一転、根津の左のパンチを避けた流れで沈み込んで低空で足取りを狙う。得意のパターンに持ち込むまでのバリエーションがじつにユニークであり、豊富だ。
今成の「ノーガード戦法」も注目を集めた。腕をダラりと下げ、ケージの中をスタスタと歩きながら対戦相手に迫っていく姿に実況解説の清野茂樹アナが「普通の散歩している人みたいですね」と表現。この表現に対して、ネット上には「散歩している人ww」の文字が躍り、無表情で根津に迫っていく今成の姿には「プレッシャーえぐい」「達人感出しすぎw」「オモロイ」などコメント欄も大盛り上がり。
試合を通して足関節にこだわり続けた今成だったが、対策万全の根津はうまくいなしながらローキックを織り交ぜて有効打を重ねていった。そんな「かみ合わない様でかみ合っている」緊張感とワクワク感に満ちた奇妙な攻防を経て、根津が判定で勝利を収めた。
打撃主体、もしくはあらゆる格闘技の技術が求められる現代のMMAの世界で「足関節一筋」はまさに異端の存在といえる。勝負に負けはしたものの、今成が自分を貫くことで放った異彩は、初めて目にしたファンに間違いなく衝撃を与えたようだった。
その証拠に判定負けを喫した今成に対して「仙人」「記録より記憶 今成最高」「らしく負けたw」「今成さんファンになったわ!」「これはコレで面白かった」など、数多くの労いの声が寄せられていた。
(C)SUSUMU NAGAO