「岸田氏を2位にしたい、石破氏を3位にしたい実力者」の存在か 自民党総裁選、菅氏陣営から動いた"20票"のナゾ
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 きのう投開票が行われた自民党総裁選。総裁に選出された菅氏が400票近くを固めたとの事前の票読みもあったが、蓋を開けてみれば、それよりも20票あまり少ない377票。この差分が、実は菅氏から岸田氏に動いた票ではないかとの見方が広がっている。

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■「来年を見据えたドロドロした権力闘争」

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 テレビ朝日政治部の官邸キャップ・吉野真太郎記者は「石破さんも岸田さんも、結果だけを見れば完膚なきまでの負け方だ。しかし、総裁選は勝ち方だけでなく、負け方も重要だ。我々の票読みでは、石破営は69だったので、これは議員票も地方票もぴったりだった。ということは、菅さんに投票すると思われていた人の20人くらいが岸田さんに流れたということだ。そして、この20票がなければ2位と3位は逆転していたことになる。つまり、菅陣営の中に、石破さんを2位にしたくない人、あるいは、岸田さんに“次の目”を残すことを意図した人たちがいたということだ。これは来年を見据えたドロドロした権力闘争、政局的な動きだ」と話す。

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 元産経新聞政治部長で政治ジャーナリストの石橋文登氏も「吉野さんのおっしゃる通り、岸田さんを2位に、石破さんを3位にしたい勢力がいたということだ。ただ、国会議員票を流すのは、そう簡単なことではない。候補者が本当に競っている時には、議員たちが投票台で名前を書いているときの書き順や画数をチェックすることもある。そして、国会議員はお喋りが多いので、すぐにバレてしまう。そういう中で子分に口を割らせず、“岸田”と書かせることができる有力政治家はそんなにいない。麻生さんだったら漏れる(笑)。パッと思い付くのは、二階さん、菅さん、あるいは森山さんあたりだが、二階さんは勝ちにいく時には情け容赦ないからそういうことはしないだろうし、菅さんもやるわけがないと思う。実は安倍さんだったという可能性もある」と語った。

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 無派閥である菅新総裁を支える“菅グループ”の中核をなすといわれる「ガネーシャの会」メンバーで経済産業副大臣の牧原秀樹衆院議員は「今回は揺るぎなく菅官房長官だったが、私も無派閥なので、1期目の時の総裁選では“誰にしようかな”と迷ったこともある。“中高の先輩だから”とか、“あの時お世話になった”とか、“この人とは政策が合う”とか、投票の理由は色々あると思うが、ある議員は“直接電話をくれたらコロッと来てしまって入れちゃうんだけどな。でも電話は来なかったな”という話をされていた。つまり、派閥がこの人にと決めたからといっても、最終的には1人の議員として直前に揺れることはあり得る。むしろ、全然いいと思っていないのに派閥で言われたから入れるというよりは、その方が健全ではないかと思う。例えば、菅先生は大阪の方(維新)と仲が良いので、そうでない大阪出身の自民党議員の中には、“なかなかつらい”という方もいるという話もある。今回も、そういった様々な理由から、菅さんではなく岸田さんに入れようと考えた議員がいたということかもしれない」とした。

■厳しい状況に追い込まれた石破元幹事長

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 一方、3位となった石破氏は、強いとされていた地方票でも、菅氏に差をつけられる結果となっており、今後を心配する声もある。

 吉野記者は「岸田さんは国会議員票で低迷したものの、“あの石破さんを破った”という形を作ることはできたという意味ででは、分のある負け方だった。しかし石破さんは、地方票でも菅さんの半分しか取れなかった。そもそも石破さんの“ビジネスモデル”は安倍総理のアンチを受け皿にした、野党的なものだった。ところがその安倍さんが突然退陣し、菅さんが先制攻撃で一気に勝負を決めてしまった。愚直なところや、地方重視という点で石破さんと菅さんは“キャラ被り”もある。この新たなライバルに対し、石破さんは戦術を組み立て、陣容を整える間もなかった。菅さんは“豊臣秀長が好き”とおっしゃっていたが、むしろ織田信長亡き後の豊臣秀吉そのものだったと思う。石破陣営のある人は意気消沈気味に“来年までモチベーションが保てない”と話していたが、状況はかなり苦しいと思う」と話す。

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 石橋氏も「しんどいと思う。これまでに総裁選に4回出ているが、議員票は出る度に減っていた。これはどういうことなのか。精力的に地方を回るので地方票は集めるが、同じ努力をなぜ議員に対してもしないのかと思う。今まで支えていた19人の水月会(石破派)メンバーも、“次も石破でいきます”と本当に言うのかどうか。次の総裁選は黄色信号ではないか。小池都知事と組んで新党結成となってもおかしくはない」との見方を示した。

 牧原議員は「私は自民党青年局長の仲間たちと“ぜひ党員投票をしてくれ”ということで議員150人分の署名も集めた。やはり1カ月、2カ月余分に時間がかかったとしても、きちんとした総裁選挙をやって欲しかった。結局、安倍総理の突然の辞任という自民党内の事情によって、全ての党員による予備投票を行う形になったが、やはり準備が整っていた方、あるいは20人以上の派閥の親分しか出にくい状況だった。来年行われる任期終了に伴う総裁選は若手や女性の方が挑戦できるものにして、自民党には次の人材もいるんだということを見せていく必要があると思う」と指摘した。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

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